矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2014.06.13

COMPUTEX TAIPEI 2014にみるデバイス開発の潮流

2014年6月3日(火)~6月7日(日) にかけて、COMPUTEX TAIPEI(台北国際コンピュータ見本市(台北國際電腦展))が開催された。
台湾、中国の企業1,500社以上が出店、PCパーツ、タブレット、スマートフォン、周辺機器、ディスプレイ関連製品などが展示されている。出展製品をみていると、その年以降のICTのトレンドが見えることから、筆者もここ3年ほど参加している。
本書では2014年の出展の特徴や気になったものを取り上げつつ、今後のトレンドを述べていきたい。

アジアでは最大級の展示会

■実物があるので、個人的にはワクワク感をもって参加
同展示会は、ICT製品の企画・製造の中心地となりつつある台湾が、総力を挙げて開催しており、アメリカCES(Consumer Electric Show)、ドイツCeBIT(Centrum fur Buroautomation, Informationstechnologie und Telekommunikation)、モバイル関連ではスペインMobile World Congressなどに並ぶ大規模な展示会である。
開催側の発表によると、約1,700の出展企業が5,000以上のブースで繰り広げる、アジア最大、世界No. 2のICT展示会とのこと。
また、世界173ヵ国 ・地域から38,000人以上の来場、150以上の最新トレンドの基調講演とフォーラム、40以上の新製品発表イベントが開催されている。
従来までは、台北南港国際展示場のであったが、ここ数年は台北貿易センター(台北101近く)も加え、大型化が進んでいる。
やはり、パネルや展示だけではなく、実物を手に触れることができる展示会は、個人的にはワクワク感を持って、楽しむことができた。

2014年は予想通り、スマートフォン、スマートウォッチの出展が大幅に増加

■単純なハードウェアだけではなく、ソリューション・生活シーンの展示も
2014年の出展において、個人的に気になったのは下記である。

  • スマートフォン・スマートウオッチの出展の多さ
  • スマートハウスなどソリューション系の展示の増加
  • モバイルPOSやAndroid POSの出展

2013年はAndroidのタブレットの出展の多さに驚いた。2014年はAndroidスマートフォンとスマートウオッチがきっと来るだろうと予想していたが、その通りであった(40社以上が出展)。
2013年のタブレットを見たときもそうだったが、質感は想像以上によい印象である。タブレットでは、以前は、バリあり、ズレありの、明らかに格落ちであった。しかし、設計、金型作成の技術が向上したためであろう、ハイエンドのタブレット、スマートフォンと遜色ない出来であった。

また、スマートウオッチも多数展示されていた(20社程度)。スマートフォンとbluetoothで接続し、メールや電話の着信などがわかったり、体温や心拍数をデータ化するサービスなどがあった。
単純な表示機能のものから、液晶パネルで操作できるものなど、バリエーションは豊富である。ただ、アプリケーションとしては、まだまだこれから用途開発が必要といった感じである。
また、ウェアラブルデバイスで注目されている「グラス型」であるが、一部出展にとどまった。製品化および汎用化までは時間がかかりそうである。

2013年は、ルーターやスイッチ、モデルなど通信機器ベンダーがいくつか出展していたが、今年はスマートハウス(現地では「スマートファミリー」という言葉を使うケースも)やWebカメラなどとのソリューションの展示が大幅に増加していた。
PLCモデム(電力線通信)やADSL2など日本ではなじみのなくなった製品あったが、各部屋の機器と接続したアプリケーションが展示されていた。
 各メーカーとも単純な機器展示から付加価値提案に力を入れる傾向にあった。

今年は、POSのブースも拡大しており、Android POSやMobile POSなどの展示があった。小売りやサービスのソリューションの拡大が見込まれる中国市場への売り込みと思われる。

2015年はウェアラブデバイスのグラス型(メガネ型)や、映像、スマートハウス関連の出展が増加するものとみている。

日本でも世界をリードするICT展示会を

■アニメーション、映像配信関連の展示会に期待
CEATEC JAPAN、Interop Tokyoなどの展示会も開催されているが、ハードウェアの出展が少なく、ソリューション関係の展示ばかりで、ワクワク感が少ない。
今となってハードウェアの展示会をするのは難しいものがある。ICTで日本独自のコンテンツとなると、アニメーション、漫画が挙げられる。また、これらの配信技術、地デジや4Kの映像サービスも世界でも先駆けて提供するなど、映像関連の技術の展示会の方向もあると考える。
また、展示会に対する台湾政府および事業者熱意の違いを大きく感じた。事前申請入場者には開催期間中に地下鉄フリーパスを提供したり、2013年では台湾中で利用できるiTAIWAといった公衆無線LANサービスが利用できた、主要ホテルへの無料のシャトルバスが手配されるなど、至れり尽くせりである。
こうした国のバックアップで観光客だけではなく、ビジネス目的の来日外国人を増やし、また、日本を周遊してもらうことで経済効果を高めることが望まれる。東京オリンピックで盛り上がる中、継続的な来日外国人の誘致のための展示会が日本経済を支えていく。

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