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2017.12.14
オープンイノベーションの実現に向けたアクセラレータープログラム相次ぐ――手掛ける上で待ち構えるさまざまな障壁とそれでも手掛けるべきメリット

業種問わずアクセラレータープログラム、相次ぐ

ニコンや森永製菓、学研、ヤマハ、キリン、LIXIL、第一勧業信用組合、仙台市――さまざまな業種の企業・組織を並べたが、実は「共通点」がある。ピン!と来るだろうか。実はいずれもアクセラレータープログラムを手掛けている。こうした企業を見ただけでも分かる通り、業種等を問わずアクセラレータープログラムを開催していることが分かるであろう。こうした動きは、2015年ころから徐々に登場してきている。

背景にある理由の1つとして、新規事業の創出に際して自社内の知見だけでは限界が見えてきたため、外部企業の知見を取り込もうとする「オープンイノベーションの機運の高まり」がある。

アクセラレータープログラムとは、大手企業がスポンサーとなり、起業家やスタートアップとともに事業共創を目的として開催されるプログラムである。基本的な流れについて大まかではあるものの、①同イベントの説明会を開催、②スタートアップを対象に協業提案を盛り込んだ事業アイデアの募集、③集まった事業アイデアから支援企業を選出するためのピッチ大会出場企業選出に向けた書類審査、④ピッチ大会を通じて事業共創したい企業を選出、⑤選出企業の事業アイデアの具体化(3~6ヶ月弱)、⑥本選となるデモデイを開催、協業先・投資先を選出――といった流れとなっている。

【図表:アクセラレータープログラムの流れ】

アクセラレータープログラムの流れ

矢野経済研究所作成

今回、国内トップクラスのアクセラレーターであるゼロワンブースターが主催した「0→Booster Conference」に参加。実際に同社とともに同プログラムを開催した企業の担当者によるパネルディスカッションを通じて語られた、開催までに経営層の承認を得るまでの苦労や運用に際して待ち構える障壁やそれでも手掛けるプログラムのメリットなどについてリアルな話を基にまとめておきたい。

【写真:アクセラレータープログラム実施企業の知見】

写真:アクセラレータープログラム実施企業の知見

登壇者:(左手から) モデレーター:株式会社ゼロワンブースター 内田光紀 氏、 株式会社学研プラス 北居誠也 取締役、 キリン株式会社・事業創造部 西前純子 氏、 ヤマハ株式会社・研究開発統括部 新規事業開発部VAグループ 畑紀行 氏

【写真:アクセラレータープログラム運用の実際】

写真:アクセラレータープログラム運用の実際

登壇者:(左手から) モデレーター:株式会社ゼロワンブースター 内田光紀 氏、 株式会社SEE THE SUN 金丸美樹 代表取締役社長、 キリン株式会社・事業創造部 川久保武 氏、 株式会社LIXIL シニアライフカンパニー 古波鮫大己 経営企画室長

アクセラレーターの開催に行き着く上でのさまざまな障壁と乗り越え方

オープンイノベーションの機運などを背景として開催されているアクセラレータープログラム。昨今、スタートアップと協業する企業が増えてきたため、新規事業担当者の中には「我が社でも取り組んでみよう」と考える方もおられるだろう。そこで実際に開催に至るまで課題から経営層の承認を得るまでに待ち構える課題や新規事業担当者が語る乗り越えるための施策などについて記しておきたい。

■自分の中にある忖度の排除と腹落ちするまでの理解、そして実際に動く決意
まず立ちはだかる壁は「自分自身」である。意外と思われるかもしれないが、2017年3月から取り組んでいる、「ヤマハアクセラレータープログラム」をけん引するメンバーの一人、研究開発統括部 新規事業開発部VAグループの畑 紀行氏はパネルディスカッションの中で、「自分の中で、勝手に既存事業から怒られるだろうと忖度(そんたく)していた」とコメントしている。

また、経営層を説得する上で自分自身がアクセラレーターについて理解する必要がある。2015年にゼロワンブースターとしても初めてとなる「学研アクセラレーター」をけん引した学研プラスの北居誠也 取締役は、「当時、国内でアクセラレータープログラムが皆無であったため、自分自身が理解するまでに時間がかかった」という。忖度や自分自身が腹落ちするまで理解しなければ、経営層を巻き込むことが難しいということが理解できる。

新規事業を検討する際に、社内横断チームを設置しようとの動きがある。しかし、アイデア出しなど報告書の作成で終わるとの声もよく聞く。しかし、紙(=シミュレーション)ではなく、実際に新規事業を立ち上げPDCAを回さなければ何も始まらない。森永製菓・新領域創造事業部 兼 ㈱SEE THE SUN代表取締役社長の金丸 美樹氏は、「以前に社内横断チームで新規事業を考えた際には、机上の空論やマーケティング分析をして資料を作成したものの、結局実践には至らなかった。動かなければ何も始まらない」。

こうした自分自身の中に抱えるさまざまな課題を解決することが、次に待ち構える経営層への説明、企画を通す上で重要となる。

■味方となる役員を含め良好な関係を構築した上で経営層の説得に挑む

①KPIやメリットを問われる前に、経営層のうち理解を示す味方作りが重要
自分自身の中にある課題を乗り越えた先に、プログラムの企画を通すべく経営層への説明が待っている。そこで壁となるのが「アクセラレータープログラムを進めるに際してのKPIや実施する上でのメリット」であろう。これについてキリン・事業創造部の西前純子氏は、「実施するメリットとして、学研の先行事例を活用して説明した。ここでよかった点として、社内に誰も手掛けたことがないため、絶対に反対する人もいないため、一点突破で通した」。とはいえ、「我が社では難しいだろうな・・・」と落ち込む新規事業の担当者もいるのではないだろうか。

実はプログラムの企画を実現した裏で、各社の新規事業担当者が共通して実施しているのが「経営層と良好なリレーションを構築、同プログラムに理解を示す味方を引き入れておくこと」である。登壇した各社の担当者は共通して「プログラムに共感してもらえる経営層の味方を作る必要があった。その意味では経営層との人間関係を良好に保つことがアクセラレーターを実現する上での一番のポイント」と説く。

こうした経営層との良好な関係構築は、プログラムの企画を通す際のみならず、プログラムを運用する上でも重要なポイントとなる。プログラムの運用においては、経営層のデモデイへの参加や選出したスタートアップへのメンター役として関与するなど、社内外に「本気度」を示す上で、経営層のコミットメントが必須となるからである。

なお、筆者自身も複数のアクセラレータープログラムの事前説明会やデモデイに観客としているが、多くの場合、代表取締役をはじめとした経営層が必ず参加、熱心にスタートアップと意見交換を行うなど、高い関心を持ち積極的にコミットしている傾向にある。

②経営陣に対して、先行事例を挙げて説得する上で事前に考えておくべきこと
先行事例があるものの、新規事業は中長期的に手掛けていくものであるため、数ヶ月にわたる同プログラムを実施したからといって、スピーディに将来を担う新たな事業が(タケノコのように)立ち上がるわけではない。

ヤマハの畑氏が指摘するように「事例を挙げた先に経営層から問われる質問が、『先行企業がプログラムを実施した結果、どの程度、事業が拡大したのか』だ。現状、先行企業においても新規事業が大成功したとは現時点では明確にいえないのが実情だ。そうした問いに対して、その会社なりにどのような答えが用意できるかがポイント」と指摘する。ヤマハではそうした問いに対して、スタートアップとのシナジーを上げたという。

問いに対する答えを見出す上でのヒントとして、学研プラスの北居氏は「売上に反映していなくても、市場の評価として、どのように受け入れられているのかが、1つの指標となっている。プログラムで選出したスタートアップに学研が出資することで、安心感を持って受け入れられているとの声に加えて、ユニークな事業を手掛けるスタートアップに対して、実は学研が出資していることで、学研自身が受ける効果を強みとして主張するなど、最近シナジー効果を実感できるようになってきた」と話した。

また、LIXIL シニアライフカンパニーの古波鮫大己 経営企画室長は「まずは小さくても成功事例を出すことが重要と考えた。そこでアイデアの募集に際してもシード・アーリーステージではなくミドルステージでLIXILと協業できるスタートアップを徹底的に探した。協業に際しても双方の持つリソースを使い倒すことでWin-Winをめざした」。

経営陣からは、先行事例以上に、「プログラムを実施することによるメリット」や、「自社において成功をどのように定義するのか」が問われている。ヤマハのように具体的に考えられるシナジー効果を出すことを目標とするのか、もしくはLIXILのように小さくても何らかの成功事例を出すことを目標とするのか、各社なりの回答を用意しておくことが重要といえる。

プログラム運用に際しても苦労は絶えない

■企画を通した後も経営層のコミットメントが必須
先に記載したように、プログラムのデモデイやメンター役として、経営陣のコミットコメントは必須となる。経営層を巻き込むための施策として、キリン・事業創造部の西前氏からは、「プログラムのメンターとなる役員に対して個別に説明し理解を得たほか、進捗をまめに共有することで関心を持ってもらった」とのアドバイスがあった。

「オープンイノベーションを持って新規事業に本気で取り組む意思」を社内外にアピールする上でも、経営層の積極的な新規事業への関与を促すための工夫を絶えず行っていくことがプログラムを成功させる上での重要なポイントとなる。

■アイデア募集に際してのキーワード設定がプログラムの方向性を決める
プログラムのうち、最初のスタートアップへのアイデア募集フェーズでの「キーワード設定」も重要となる。キリン・事業創造部の川久保氏は、「1回目は探索フェーズであったため、特にキーワードを設定せずに幅広いアイデアを募集すべく実施した結果、応募企業側が忖度し、(キリン側の意図とは異なり)既存事業である飲食事業やスポーツ関連の事業アイデアが多く集まってしまった。そこで2回目は(1回目とは逆に)狙いたい市場や技術をキーワードに落とし込むことで、少し幅が広がった」という。

事業アイデアを募集する際には、応募企業が忖度する可能性がある点を理解した上で、募集に際しての忖度を排除する上でもキーワードを設定する必要があるようだ。その意味では探索的に広く募集するのか、既存事業との関連性を重視したキーワードとするのかなど、「キーワード」設定はプログラムの方向性に関わるものとなる。

■大企業とスタートアップのパワーバランス~スタートアップにとって大企業は「one of them」~
大手企業がスタートアップと関わる上で注意したいのが、表面上、協業と言いつつ、スタートアップを下請けやサプライヤーとして見なしてしまう点である。「協業相手」として関わることが重要となる。

その点についてLIXIL シニアライフカンパニーの古波鮫氏は「圧倒的にこのスタートアップが欲しいと現場から言わせることが重要。そこでカンパニーのヘッドに対して、①下請けとして扱うようであればスタートアップは逃げていく。②LIXILは選出したスタートアップにとって『one of them』であるといった点を理解してもらった上で進めたため上手くいっている」とした。加えて、工夫した点として「デモデイの際にプレゼンに留まらず展示会を同時に実施したことは良かった。実際にプロトタイプを創ることで、ベンチャーの目線も事業部側の目線もプロトタイプにフォーカスするため、双方の立場としての評価ではなく、プロトタイプを実現したい想いを共有化ですることができた」として、展示会の実施も併せて行うことによる効果を指摘した。

また、㈱SEE THE SUNの金丸 代表取締役社長は「同プログラムを開始する前にアイデアソンを実施した。アイデアソンに参加した森永製菓の若手社員がスタートアップに対して『自分たちもそれなりに経験を積み知見もあったと思っていたが浅かった』と体感し、起業家に対してリスペクトした状態で、同プログラムを実施したため、下請け的な見方はなく良かった」としている。

実はスタートアップにとって大企業は「one of them」であるため、「絶対にそのスタートアップと協業したい」と考える大企業にとっては、交渉力の点で不利となることを理解した上で関わらなければ、スタートアップとのWin-Winの協業は実現しない。その点では従来の下請け的な位置付けなどからのパラダイムシフトが大企業に求められているといえる。

【図表:実は選択権はスタートアップが握っている】

実は選択権はスタートアップが握っている

矢野経済研究所作成

■Win-Winを実現すべく大企業はスタートアップに対して何ができるのか
大企業がスタートアップと協業する上で、スタートアップに対して何ができるのか――。大規模な予算の提供であれば、ベンチャーキャピタルやコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)などが担う領域である。ではほかに何ができるのか。㈱SEE THE SUNの金丸 代表取締役社長も「Win-Winの関係を構築する上で大企業は何が提供できるのかは最も悩むポイント」と指摘する。その上でヒントとして「協業しやすいのは、大手企業自身が進出したいものの、労力を割いてまで進出する必要がない市場では協業しやすい。スタートアップ側が既に該当領域に進出している場合には、森永製菓として関連する領域はサポートできる。ただし全てが上手くいくわけではなく、ピボットする場合もある。その際には両社に意識の差が生まれる。そこで、森永製菓ではベンチャー留学制度を社内に設け、協業先のスタートアップにジョインすることで上手く協業を進めてきた」。

また、スタートアップと大企業との意識の溝を埋めることも必要となる。スタートアップ側から見た場合、大企業はヒト・モノ・カネ・情報というリソースを十分に有しているにも関わらず、なぜスタートアップと協業する必要があるのかと考えるのは当然であろう。

この点について、LIXIL シニアライフカンパニーの古波鮫氏は「ミドルステージのスタートアップを協業先として選出した結果、スタートアップ側からはLIXILは資金も人材もあるため、さまざまなことができる。それにも関わらずなぜスタートアップに頼るのかとの意識があった。一方、LIXIL側は実現できていないことが多かったため、その意識の溝を埋めることに腐心した。そのためLIXILには何ができないのか、そしてスタートアップに何を求めるのかを明確にすることから始めた」。

このように大企業とスタートアップが協業する際には、両社の意識の溝を埋めるべく、大企業側は協業にあたって、「①何ができて、何ができないのか、②スタートアップに対して何を求めるのか」を明確にしておく必要があるといえよう。

■経営層の考える新規事業への期待値との調整
キリン・事業創造部の川久保氏は、1回目のアクセラレータープログラムにおいて、シード・アーリーステージのスタートアップとともに進める新規事業の規模感と経営層の考える新規事業の規模感に大きな差があったと指摘。そこで「2回目のプログラムでは、まず期待値の調整を行った。具体的には売上規模以外の面(人材育成や組織風土の改善など)での協業メリットを強く打ち出すことにした」。

障壁を乗り越えてでも進めたい、アクセラレータープログラムにおける大手企業側のメリット

■探索フェーズには最適
アクセラレータープログラムは、幅広く事業アイデアを集めたい「探索フェーズ」には大きなメリットがある。キリン・事業創造部の西前純子氏は、「探索フェーズであるため、KPIや定量的な目標はなかった。狙いは①スタートアップと協業して新たな事業を創出する、②プログラムを通じて我々自身がスタートアップとの協業を通じて学ぶ、③仕組みの導入を通じて組織にポジティブな影響を及ぼす――という3つの狙いがあった」という。

また、学研プラスの北居氏も「教育ICTの事業化に向けて当初はベンチャー企業に1社ずつ会っていたが、効率が悪い点もあったため、多くの企業と繋がり、アイデアを募集できるプログラムに魅力を感じた」と指摘。

西前氏や北居氏が指摘するように、アクセラレータープログラムは募集方法によるものの、100社を超す企業から事業アイデアの応募があるため、新規事業として何に取り組むべきか探索するフェーズには最適な手法といえるだろう。

■協業することで、幅広い事業領域と事業の可能性について理解できる
アクセラレータープログラムは、社内にスタートアップの新しい考え方や技術力など刺激を与える上でもメリットがある。大企業が抱える課題として、長年にわたり既存事業を続けていると、中身に詳しくなる一方、既存事業から外れたトレンドや新しい考え方が社内に入ってこないリスクが生じる(=T・レビットのいう「近視眼的マーケティング」)。そこで、ヤマハでは、「自社内だけでは多様性に欠ける。そこで社外からの刺激を入れる必要がある」(畑氏)としてアクセラレータープログラムを手掛けている。

また、キリン・事業創造部の川久保氏は「会社としても個人としても学びが大きい。まず同プログラムを実施したことで、植物工場の会社や画像認識の会社など多彩なスタートアップの事業アイデアを集めることができた。また、こうした可能性のある企業とともに4カ月にわたって膝を突き合わせて真剣に事業の成長性を考えるため、幅広い事業領域と事業の可能性について非常に深く理解できるようになった点で大きなメリットがあった」と明かす。

■スタートアップとの比較や経営者視点を磨くほか、部署間の連携など変化も実感
アクセラレータープログラムは、関与した大企業の従業員がスタートアップと濃密な時間を過ごすことで、意思決定や開発などさまざまな面で自社と比較し、改善点を探すきっかけにもなる。また、部署間の協力関係が必要とされるため、部署ごとの縦割り意識が強い組織においては刺激を与えることにもなるだろう。

まずキリン・事業創造部の川久保氏は「個人としてはスタートアップと密接に関わることでスタートアップの意思決定の速さや行動力の差を痛感した」。また、㈱SEE THE SUNの金丸 代表取締役社長は「森永製菓ではベンチャー留学制度を社内に設けることで、社員に経営者視点を身に着けさせるトレーニングとしても活用した」など、社員教育の面でのメリットを挙げる。

また会社全体の変化について、㈱SEE THE SUNの金丸 代表取締役社長は「森永製菓として、同プログラムを実施したことで社内の雰囲気が変わってきており、新しいことを手掛ける際にも部署間で協力するなど、徐々にではあるものの、社内の雰囲気が変わりつつある」など、組織間の壁がアクセラレータープログラムを実施することで、和らぐなどの効果も出てきている。

まとめ・「他社の明確な成果」を待ってからでは既存市場が浸食される可能性も

今まで記載してきたように、アクセラレータープログラムはまだ始まったばかりであり、乗り越えるべき障壁も多い分、手掛けた際に得られるメリットも多い。しかし、最初に障壁があるからだろうか。まだ現時点では業界トップクラスの企業1社もしくは2社に留まっており、「そのあと」が続いていないのが実情である。

もちろん、先行事例において明確な成果が出てくれば、少なくとも経営層を説得する上での障壁は下がるため、「そのあと」が続く可能性もあろう。しかしながら、新規事業は中長期的に育成していくものであるため、他社の明確な成果を待った上で始めるのでは、明らかにスタートが遅れるどころか、いつの間にか先行する大手企業と協業したスタートアップによる参入が始まり、既存の市場が浸食されていく可能性も否定できない。

アクセラレータープログラムをはじめとしたさまざまな手法によって、オープンイノベーションは今後、更に加速、業界の壁が取り払われ、融合が始まる環境下において、日本企業は、業界はどのように変わっていくのだろうか。今後も引き続きアクセラレータープログラムの面からも業界動向をみていきたい。

山口 泰裕(ヤマグチ ヤスヒロ)研究員

ITを通じてあらゆる業界が連携してきています。こうした中、有望な業界は?競合・協業しうる企業は?参入障壁は?・・・など戦略を策定、実行に移す上でさまざまな課題が出てきます。現場を回り実態を掴み、必要な情報のご提供や戦略策定のご支援をさせて頂きたいと思います。お気軽にお声掛け頂ければと思います。

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