レポートサマリー
2023.04.26
クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場に関する調査を実施(2023年)
2022年のクラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場規模は順調に成長。クラウドマネージドサービスの認知、利用が広がり始めていることがプラス要因に。
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内のクラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場を調査し、市場規模推移・予測、クラウドベンダ動向、新サービス普及状況等を明らかにした。
【図表:クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場規模推移と予測】
矢野経済研究所調べ
注:事業者売上高ベース
注:2023年以降は予測値
注:市場規模にSaaS(Software as a Service)は含まない。
注:表中のCRGRは、2020年から当該年までの年平均成長率
2022年のクラウド基盤(IaaS/PaaS)サービスの市場規模(事業者売上高ベース)は、前年比20.0%増の1兆5,600億円と推計する。市場は引き続き、業務上のデータ・システム等の既存要件を維持しながらほかの環境への移行または新規システムに乗り換えるマイグレーション案件が中心ではあるものの、その対象領域が拡大していることや、競争力の確保、生産性向上のために、必要量に応じて使用料を支払い他者とクラウド環境を共同利用するパブリッククラウドを導入・利用する企業が増加していることなどから、順調に成長した。ベンダ側の知見も増え、マイグレーションに要する期間が短縮したことも市場の伸びに繋がったと考える。また、近年は、大規模情報システム部門を持つ企業などを中心に、システム/アプリケーションの内製化に取り組む企業も出始めている。このことも市場の成長要因のひとつとみる。さらに、ハイブリッドクラウド/マルチクラウドの普及が進み、クラウドマネージドサービスの認知、利用が広がり始めていることも、市場にプラスに働いていると考える。
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■ソブリンクラウドは2023年以降、本格普及へ
ソブリンクラウドとは、クラウドサービスのうち、特にセキュリティ、プライバシー、データ主権について、各国の法的規制に準じていることが保証されているサービスをさす。
クラウドのメリットのひとつは、場所を選ばずどこからでも利用できることだが、データが保存されている物理的な場所に注意しなければならない場合がある。例えば、EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)では、EU域外へのデータの持ち出しを原則として禁止しており、プライバシーの保護を行うよう強く求めている。GDPRが施行されたことにより、EU域内でデータを取り扱う際には、従来以上の配慮が必要となった。
近年、既存システムのクラウド移行が進んでいるが、GDPRなどのケースを考えると(EU以外の国・地域でも同様・類似の課題はある)、民間企業や公的機関が扱う重要なデータを外資系クラウドサービスに置く場合についての対処について、検討する必要がある。そこで、ソブリンクラウドといった、セキュリティ、プライバシー、データ主権について各国の法的規制に準じていることが保証されているサービスが求められている。
ソブリンクラウド上に保存されたデータは、国外で利用されることはない。そのクラウドが存在する国の司法権の範囲内で、保存・処理されることが保証されている。また、ソブリンクラウドを利用すれば、クラウド上の重要なデータに対し、第三国からアクセスされることも回避可能となっている。秘匿性の高いデータを取り扱う組織・企業は数多く存在する。そのため、ソブリンクラウドは、今後、サービスを選定する際の選択基準のひとつになると考える。現状、ソブリンクラウドに対する認知は不十分だが、ベンダが普及に努め始めており、2023年以降、日本でもソブリンクラウドに対する需要は加速していくと考える。
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市場の成長要因には、やはりDXが挙げられるが、一気に進められるものではない。全てのシステムを最初からクラウドサービス等の利用を前提としたクラウドネイティブにする必要はなく、既存システムをクラウドに移行した後でクラウドネイティブに改修または再構築することでDXを加速できる。既存システムをクラウドに移行するケースは今後さらに増え、今後も本市場は高い成長が見込まれると予測する。
また、工数の削減や生産性の向上といった成果を生み出すDXは堅調に拡大しているが、工場内のデータを活用し、競争力向上を図るようなDXは今後の発展の余地がある。工場や店舗、病院などにおけるデータの蓄積、可視化、クラウドへの移行などは一定程度進んでいる。しかし、そこからビジネスの洞察を得るようなデータの利活用は不十分である。この領域でDXを推進していくためには短期間で試行錯誤(トライ&エラー)を繰り返すアジャイル型の発想が必要である。状況に応じた使い方ができるクラウド基盤サービスは、ますます欠かせないものになると考える。
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Ⅰ クラウド基盤サービス市場の動向
■ クラウド基盤サービス市場の動向
クラウドコンピューティングの分類
クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービスの売上高(2020~2026年予測)
利用しているクラウドサービスの5~10%の価格上昇時の対応(事業者ベース)
IaaS/PaaS別 クラウド基盤サービスの売上高(2020~2026年予測)
クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービスの売上高シェア(2021~2023年予測)
DXに対する意欲(平均/初めて聞いたを除く)(2022)
DXに対する意欲(平均/初めて聞いたを除く)(2019)
ITベンダの見直しや新規開拓の検討/実施
BCP策定状況
マルチクラウドの導入状況
プライベートクラウドサービスの売上高(2021~2026年予測)
■ アンケート結果の分析
クラウドコンピューティングの分類
クラウドコンピューティングの利用状況と利用意向
ITベンダのクラウド基盤 利用状況推移(2010-2022年)
パブリッククラウドの利用率(2013-2022年)
プライベートクラウド(自社クラウド基盤)の利用率(2010-2022年)
利用開始予定時期
パブリッククラウドの予算感(平均値、中央値、回答社数)
パブリッククラウド利用予算の推移(2013-2022年)
利用中のパブリッククラウド(MA)
導入検討中のパブリッククラウド(MA)
利用中のパブリッククラウドベンダ(MA)
導入検討中のパブリッククラウドベンダ(MA)
パブリッククラウドの利用目的
将来のクラウド移行希望割合
将来のクラウド移行希望割合推移(2020-2022)(0%と100%を除く)
「一切移行しない」の割合推移
■ 集計編
プロフィール
業種
売上高規模
従業員数規模
情報システム要員数規模
業種別 情報システム要員数規模
売上高規模別 情報システム要員数規模
従業員数規模別 情報システム要員数規模
利用状況
プライベートクラウド(自社クラウド基盤)の利用率
業種別 プライベートクラウド(自社クラウド基盤)の利用率
売上高規模別 プライベートクラウド(自社クラウド基盤)の利用率
従業員数規模別 プライベートクラウド(自社クラウド基盤)の利用率
プライベートクラウド(自社クラウド基盤)の導入/導入予定時期
業種別 プライベートクラウド(自社クラウド基盤)の導入/導入予定時期
売上高規模別 プライベートクラウド(自社クラウド基盤)の導入/導入予定時期
従業員数規模別 プライベートクラウド(自社クラウド基盤)の導入/導入予定時期
エクスターナル・プライベートクラウドの利用率
業種別 エクスターナル・プライベートクラウドの利用率
売上高規模別 エクスターナル・プライベートクラウドの利用率
従業員数規模別 エクスターナル・プライベートクラウドの利用率
エクスターナル・プライベートクラウドの導入/導入予定時期
業種別 エクスターナル・プライベートクラウドの導入/導入予定時期
売上高規模別 エクスターナル・プライベートクラウドの導入/導入予定時期
従業員数規模別 エクスターナル・プライベートクラウドの導入/導入予定時期
利用中/検討中のエクスターナル・プライベートクラウド(MA)
業種別 利用中/検討中のエクスターナル・プライベートクラウド(MA)
売上高規模別 利用中/検討中のエクスターナル・プライベートクラウド(MA)
従業員数規模別 利用中/検討中のエクスターナル・プライベートクラウド(MA)
パブリッククラウド(SaaSを除く)の利用率
業種別 パブリッククラウド(SaaSを除く)の利用率
売上高規模別 パブリッククラウド(SaaSを除く)の利用率
従業員数規模別 パブリッククラウド(SaaSを除く)の利用率
パブリッククラウド(SaaSを除く)の導入/導入予定時期
業種別 パブリッククラウド(SaaSを除く)の導入/導入予定時期
売上高規模別 パブリッククラウド(SaaSを除く)の導入/導入予定時期
従業員数規模別 パブリッククラウド(SaaSを除く)の導入/導入予定時期
利用中/検討中のパブリッククラウド(SaaSを除く)(MA)
業種別 利用中/検討中のパブリッククラウド(SaaSを除く)(MA)
売上高規模別 利用中/検討中のパブリッククラウド(SaaSを除く)(MA)
従業員数規模別 利用中/検討中のパブリッククラウド(SaaSを除く)(MA)
パブリッククラウド(SaaSを除く)の利用予算
業種別・売上高規模別・従業員数規模別 パブリッククラウド(SaaSを除く)の利用予算(平均値・中央値)
パブリッククラウド(SaaSを除く)の利用目的(MA)
業種別 パブリッククラウド(SaaSを除く)の利用目的(MA)
売上高規模別 パブリッククラウド(SaaSを除く)の利用目的(MA)
従業員数規模別 パブリッククラウド(SaaSを除く)の利用目的(MA)
全システムにおける外部クラウドサービスの将来シェア
業種別 全サービスにおける外部クラウドサービスの将来シェア
売上高規模別 全システムにおける外部クラウドサービスの将来シェア
従業員数規模別 全システムにおける外部クラウドサービスの将来シェア
■アンケート票
Ⅱ クラウド関連サービス市場の動向
クラウドマネージドサービスの売上高(2020~2026年予測)
データセンターサービスの売上高(2019~2025年予)
インターネットトラヒックの推移
半導体・情報通信産業の成長戦略「工程表」
DCIMの売上高(2020年~2027年予測)
Ⅲ その他関連市場の動向
第三者保守サービス各ベンダの主な強み
第三者保守サービスの売上高(2019~2025年予測)
各事業者のLCMサービスの主な特徴
LCMサービスの市場規模(2021~2025年予測)
Ⅵ 企業個票(PC LCM)
■株式会社インターネットイニシアティブ
GIO P2 Gen.2(イメージ)
IIJクラウドデータプラットフォームサービス (データ連携イメージ)
■NTTコミュニケーションズ株式会社
Smart Data Platform(イメージ)
■グーグル・クラウド・ジャパン合同会社
■株式会社セールスフォース・ジャパン
■日本電気株式会社
NECマルチクラウド運用サービス
NEC Multimedia OLAP for 映像分析サービスの利用イメージ
■日本アイ・ビー・エム株式会社
ソブリンの代表的要件に対するIBM Cloudの主要サービス
■日本オラクル株式会社
■日本マイクロソフト株式会社
■株式会社日立製作所
VMware Sovereign Cloud frameworkおよび日立の取り組み
EverFlex from Hitachiにおける強化ポイント
IT基盤運用高度化オファリングの提供イメージ
■富士通株式会社
FJcloud-OおよびFJcloud-Vの主な特長
FUJITSU Hybrid IT Service Digital Application Platformサービスラインナップ
■株式会社NTTデータ
Digital Hybrid Cloud概念図
Foresight起点のコンサルティング力強化(イメージ)
■キンドリルジャパン株式会社
運用の高度化の実現(イメージ)
顧客ビジネスの高度化(イメージ)
■エフ・アイ・ティー・パシフィック株式会社
Ⅴ 企業個票(第三者保守)
■株式会社エスエーティ
■データライブ株式会社
EOSL 延長保守サービスの概要
第三者保守サービスのメリット
■ネットワンネクスト株式会社
品質管理センターの機能と業務の流れ
エキスパートオペレーションセンター(XOC)のサービス
■ブレイヴコンピュータ株式会社
つなぎ保守」7つの強み
「つなぎ保守」のサービスプラン
企業個票(PC LCM)
■株式会社NTTデータ ウェーブ
Wave PC Mate(イメージ)
Wave PC Mateの主なサービス内容
テンプレート適用イメージ
■JBサービス株式会社
■株式会社パシフィックネット
LCM as a Service概要
排出管理BPOサービス内容
■横河レンタ・リース株式会社
Cotoka for PCサービス概要図
Cotoka for PC の顧客提供価値のイメージ
プラン比較
■レノボ・ジャパン合同会社
PC・タブレット向け レノボのライフサイクルサービス
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■アナリストオピニオン
●変革に向けて動き出す中小企業
●「AWS Summit Tokyo」
●マネージドクラウドサービスが市場拡大に貢献
●なるかクラウド基盤市場変革 妥協のないオラクルクラウド
■同カテゴリー
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調査要綱
調査対象: 国内クラウド関連ベンダ(パブリッククラウド及びその周辺サービス提供事業者)、国内民間企業等
調査期間: 2022年12月~2023年3月
調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング調査、郵送及びWebによる法人アンケート調査併用
※クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービスとは: 本調査における IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)とは、いずれもパブリッククラウド(サービス提供事業者のクラウド基盤)を利用し、インターネット経由で提供される仮想化技術、自動化技術等を施したクラウドコンピューティング環境をさす。
クラウド基盤サービス市場規模は、クラウドベンダ(サービス提供事業者)の事業者売上高ベースにて算出した。なお SaaS(Software as a Service)は含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
IaaS、PaaS
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小山 博子(コヤマ ヒロコ) 主任研究員
直接お話を聴かせて頂ける機会を大切にしています。冷静かつ緻密な分析を行い、有意義な情報のご提供をさせて頂きますとともに、「やって良かった」と思って頂ける調査のご提案を致します。