矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2022.08.24

ポイントサービス市場に関する調査を実施(2022年)

幅広い業種で共通ポイントが導入され、マルチポイント化が進展。生活の様々な場面でポイントが付与されるとともに、購買以外のケースでもポイント活用が進む。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内ポイントサービス市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

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【図表:民間・行政主体別国内ポイントサービス市場規模推移と予測】

【図表:民間・行政主体別国内ポイントサービス市場規模推移と予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:ポイント発行額ベース
  • 注:2022年度は見込値、2023年度以降は予測値
  • 注:特定の企業・団体や企業グループが提供するサービスや商品の購入等に対して、発行されるポイントやマイレージ等を対象とし、市場規模は民間企業等によるポイント発行額と行政主体の政策によるポイント発行額の合算値である。

 

ポイントサービス市場の概況

2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で消費が落ち込む業種が生じたことで、民間企業等におけるポイント発行額は前年度比98.1%の規模に減少した。一方、2020年度にGo To Eatキャンペーンやマイナポイント事業等により、行政主体の政策で1,729億円規模のポイントが発行されたことで、民間のポイント発行額の減少分を補い、2020年度の国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は、前年度比103.1%の2兆691億円と推計した。
2021年度以降は徐々に消費が回復することで民間のポイント発行額は拡大傾向にあるものの、行政主体のポイント発行額が半減したため、2021年度のポイントサービス市場規模は同101.5%の2兆1,001億円と微増に留まった。2022年度には民間のポイント発行額は同106.0%まで増加を、ポイントサービス市場規模は同102.5%の2兆1,533億円を見込む。

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ポイントサービス市場の注目トピック

■共通ポイントのサービス動向
業種・業態に関わらず提携先で利用できる共通ポイント(Tポイント、Ponta、楽天ポイント、dポイント等)のサービス事業者は、日常生活で会員の利用頻度が高い小売業者や飲食事業者だけでなく、電気・ガス等の生活インフラ提供事業者やWebサービス提供事業者、金融機関、交通機関等の幅広い業界へと提携先を拡大している。すでに共通ポイントが利用できる加盟店において他の共通ポイントを導入する動きも加速しており、マルチポイント化(1店舗で複数のポイントを発行)が進んでいる。

また、共通ポイント事業者は、収集したデータ等を分析することで加盟店へのマーケティング支援を実施している。会員の価値観の分析や移動データの活用に向けた取組みもみられる。
さらに、共通ポイント事業者はデジタルカードの提供拡大にも注力している。デジタルカードを発行できるプラットフォームとなるスマートフォンアプリは会員との接点を強化できるというメリットがあり、共通ポイント事業者はスマートフォンアプリを通じて個々の会員に適した情報を配信するなどして、加盟店の売上向上を一層支援していくだろう。

コード決済事業者の大規模キャンペーン等を通じて、単なるポイント付与は差別化要素とはなりにくく、ポイント付与が当たり前となるなかで共通ポイントサービスの提供だけでは他サービスと差別化することは難しいと考える事業者もみられる。そのため、加盟店に対してダイナミックプライシングやデジタル屋外広告等を活用したデジタル化等の支援に注力する動きがある。
また、購買以外でのポイントの活用に関する取組みもみられる。ポイント付与によるSDGsの促進や、特定の団体に対するポイントを用いた応援・寄付等、購買時の付与・充当以外のポイント活用が一層進むと考える。

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ポイントサービス市場の将来展望

2026年度の国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は2兆5,373億円まで拡大すると予測する。今後、徐々に消費が回復することでポイント発行額は拡大し、さらにマイレージ事業者は航空サービスの利用だけでなく、生活の様々な場面でポイントを付与する取組みを進めており、ポイントサービス事業者のさまざまな取組みが広がっていくことで、ポイント発行額拡大につながると考える。

また、共通ポイントが多くの店舗・サービスでオンライン・オフラインを問わずに利用できるようになってきており、ポイント発行額の拡大を牽引するとみる。共通ポイントを導入する企業においてはマルチポイント化が進んでおり、1社で複数の共通ポイントを発行するケースも多い。加盟店で共通ポイントを利用できる環境が一層整備されるほど、会員にとっては購買時の共通ポイントの付与が当たり前となる見込みである。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 業界・提携先別共通ポイント
  • 国内ポイント発行額の推移(2019~2022年度見込)
  • ポイント発行額の業種別シェア推移(2019~2026年度予測)
  • ポイント発行額の業種別シェア比較(2021年度)
  • カード媒体の種類と概要
  • 国内ポイント発行額の推移(2021~2026年度予測)
  • 共通ポンとサービス/ポイント交換サービスの分類
  • 主要共通ポイントサービスの概要
  • 業界・提携先別ポイント
  • ポイント付与(共通ポイントサービス提供事業者が利用者に共通ポイントを付与)
  • 加盟店における共通ポイント発行手数料(1ポイント当たり)
  • 共通ポイントサービス市場規模推移(ポイント発行額ベース)
  • 2021年度シェア
  • 事業戦略
  • 加盟店拡大に向けた取組み
  • 共通ポイント事業者のスマートフォンアプリの現状
  • スマートフォンアプリを活用した取組み
  • 共通ポイント事業者が加盟店に提供するコンサルティングの内容
  • データ分析やCRMに関連した取組み
  • 今後の方向性
  • マルチポイントに関する見解
  • 共通ポイントサービス市場規模予測(ポイント発行額ベース)
  • 2026年度シェア
  • 共通ポイントサービス提供事業者の実態
    • 株式会社NTTドコモ(dポイント)
    • 株式会社Tポイント・ジャパン(Tポイント)
    • 楽天ペイメント株式会社(楽天ポイントカード)
    • 株式会社ロイヤリティ マーケティング(Ponta)
  • 主要ポイント交換サービスの概要
  • ポイント交換サービス市場規模推移(流通額ベース)
  • ポイント交換サービス提供事業者の実態
    • ジー・プラン株式会社(Gポイント)
  • 主要マイレージサービスの概要
  • 事業戦略
  • 既存会員の活性化に関する取組み
  • マイルの消費拡大に向けた取組み
  • マイルの蓄積拡大に関する取組み
  • 会員組織に関する取組み
  • 今後の方向性
  • マイレージサービス提供事業者の実態
    • ANA X 株式会社(ANAマイレージクラブ)
    • 日本航空株式会社(JALマイレージバンク)
  • 小売業における共通ポイント導入事業者のポイント発行状況
  • 主要コンビニエンスストアの導入ポイント
  • スーパーマーケットのポイントカード導入率推移(2017~2021年)
  • スーパーマーケット全店売上高推移(2017~2021年)
  • 主な家電量販店のポイントサービスの比較
  • 主要ポイントサイト運営事業者の概要
  • ポイントサイト市場規模推移と予想(売上高ベース)
  • ショッピング取扱高推移(イシュアベース)
  • クレジットカード市場のポイント発行額推移
  • 主要プリペイド型非接触IC型電子マネーの実績動向
  • 非接触IC型電子マネーの決済額推移
  • 非接触IC型電子マネーにおけるポイント発行額推移
  • 主要コート決済サービスの加盟店手数料
  • コード決済の取扱額推移
  • コード決済におけるポイント発行額推移
  • 主要ポイント管理・顧客管理システム/CRM-FSPソリューション製品一覧
  • CRM-FSPの実践を阻害する要因 事業戦略
  • データ分析やCRMに関する取組み
  • スマートフォンアプリの活用に関する取組み
  • 事業方向性
  • カードレス化の進展に関する見解
  • ユーザー企業におけるデータ分析に関する見解
  • ポイントソリューションベンダの実態
    • 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(CAFIS Explorer)
    • 大日本印刷株式会社(POINT TACTiX)
    • 株式会社日立ソリューションズ(PointInfinity)
    • 富士通Japan株式会社(ValueFront ポイントサービス

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関連リンク

■レポートサマリー
ポイントサービス市場に関する調査を実施(2020年)
ポイントサービス市場に関する調査を実施(2019年)
共通ポイント・ハウスポイントに関する法人アンケート調査を実施(2021年)

■アナリストオピニオン
価値向上を図る共通ポイント 他事業者との提携により活用範囲を拡大
ポイントカード発行の真の目的はFSP実現にあり

■同カテゴリー
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調査要綱

調査対象:共通ポイントサービス提供事業者、マイレージサービス提供事業者やポイント交換サービス提供事業者のほか、ポイント関連ソリューションベンダ等
調査期間:2022年4月~7月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用

※ポイントサービス市場とは:本調査におけるポイントサービス市場は、特定の企業・団体や企業グループが提供するサービスや商品の購入等に対して、発行されるポイントやマイレージ等を対象とし、市場規模は民間企業等によるポイント発行額と行政主体の政策によるポイント発行額の合算値である。
ポイントの総発行額には、特定の企業が発行するポイントやマイレージに加え、特定の決済(クレジットカード、電子マネー、コード決済等)により付与されるポイント、業種・業態に関わらず提携先で利用できる共通ポイント(Tポイント、Ponta、楽天ポイント、dポイント等)等が含まれる。

<市場に含まれる商品・サービス>
ポイントサービス、共通ポイントサービス、ポイント交換サービス、マイレージ、ポイントサイト、ポイントソリューション

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