矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2022.02.15

ローカル5Gソリューション市場に関する調査を実施(2021年)

コロナ禍の影響でローカル5Gソリューションの実証試験/PoCが後ろ倒しへ。工場では当面、IoTの普及が優先されるが、2025年頃には5Gベースの工場IoTも登場すると考え、本格的な実装は2025年度以降となる見通し。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の5Gソリューション市場を調査し、製造、建設、物流、医療、セキュリティ、社会インフラ、スタジアム/ライブソリューションなど分野別の5G活用およびIoT型ソリューションの普及動向、将来展望を明らかにした。ここでは、ローカル5Gソリューション市場予測、分野別の普及動向などについて公表する。

「ローカル5Gソリューション市場に関する調査を実施(2021年)」 小見出し一覧

【図表:ローカル5Gソリューション市場規模予測】

【図表:ローカル5Gソリューション市場規模予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:事業者売上高ベース
  • 注:2021年度は見込値、2022年度以降は予測値
  • 注:ローカル5Gネットワークを構築するためのシステム/アプリケーション開発費、通信モジュール、端末/デバイス、電波利用料/回線利用料・通信費、プラットフォーム/クラウド利用料、運用管理費などを対象とした。但し、ローカル5Gネットワークのインフラ設備(基地局など)の費用や工事費は含んでいない。

 

ローカル5Gソリューション市場の概況

5G(第5世代移動体通信サービス)は、従来の3Gや4G/LTEなどに比べて高速・大容量、低遅延、多接続などの機能に大きな強みを持つ。一般企業や地方自治体、学校法人などの敷地内や建物内など特定範囲(狭域)限定で構築されるローカル5Gネットワークにおいても、そのメリットを生かした映像配信や、遠隔作業支援、多接続に対応したIoT(Internet of Things)型ソリューション、特定エリア内でのAGV(無人搬送車)、ロボットなどに利用されていく見通しである。

ローカル5G活用への期待の大きい分野は製造業である。製造業では今後、デジタル工場がターゲットの一つになっており、特にCPS(Cyber-Physical System)の実現がポイントになる。製造業でのCPS実現においては、ローカル5Gの活用が肝要と考える。大量データの収集・処理を可能にするローカル5Gは、CPS実現には不可欠のテクノロジーで、この両者が並立して本格的なデジタル工場が実現する。
その他分野でも、i-ConstructionなどでICTソリューション活用を進めている建設業、遠隔医療/遠隔手術/遠隔診断用途が期待される医療分野、都市マネジメント向けにリアルデータを迅速・最適な形で反映することが必要なスマートシティなどもローカル5Gの活用分野として有望視される。
現状、ローカル5Gは免許取得した大手ITベンダーを中心に開発が進んでおり、当面は各ベンダーの自社工場や事業所などでの実証試験/PoC(概念実証)を中心にユースケース(Use Case)を積み上げ、その後に商用化(外販)や外部への実装が増えていくことが想定されている。

▲小見出し一覧に戻る

 

ローカル5Gソリューション市場の注目トピック

■ローカル5Gを活用した製造/工場向けIoTソリューション
工場現場では、現在でも多様なIoTソリューションが活用されている。この既存IoTを5Gネットワークに置き換えることで現在の仕組みが高度化し、従来のIoT(4G/LTEベース)では実現が難しかった、大量データの収集や低遅延化によるAGVの自動運転、画像ベースでのトータル品質保証といった取り組みが実現すると考える。

具体的には、遠隔監視・モニタリングや検品・品質保証、環境計測(温湿度等)、現場作業者の作業支援、教育・研修/トレーニングなど、IoTのさまざまな用途での5G活用が見込まれる。このように、工場でのIoT活用を目指す上で、5Gネットワークが持つ特徴は武器になる。
当面は、ローカル5Gの基盤となるIoTの普及が優先されるが、2025年頃には工場でのIoT活用も本格化し始めると見られ、その頃には5Gベースの工場IoTも登場すると考える。
つまり、製造/工場向けローカル5Gでは、既存の工場向けIoTを更新する過程で、ローカル5Gを含めた5G型IoTが普及する可能性が高い。また用途によっては、初めからローカル5G仕様の工場となるケースも想定出来る。

▲小見出し一覧に戻る

 

ローカル5Gソリューション市場の将来展望

ローカル5Gソリューション市場は2020年度から立ち上がっているが、コロナ禍の影響で休止や延期・順延になるプロジェクトもあり、ほぼテスト導入や実証試験/PoCの段階に止まった。2021年度においてもPoC主体である点は変わらないが、徐々に実装段階のプロジェクトも現出している。
ローカル5Gは、2025年度以降、製造や工場現場を中心に建設、医療、スマートシティといった分野が牽引して実装が本格化し、2030年度のローカル5Gソリューション市場(事業者売上高ベース)を650億円になると予測する。

▲小見出し一覧に戻る

 

参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • モバイル5G/ローカル5Gの差異・特徴
  • 従来型IoTからローカル5G型IoTへの流れ
  • ローカル5Gの普及見通し(製造/工場)
  • ローカル5Gの普及見通し(農林水産/畜産)
  • ローカル5Gの分野別の適用見通し
  • 中・長期的に期待されるIoT活用での先進事例イメージ
  • 分野別のIoT活用の見通し(3~4年後)
  • 5G型IoT市場規模推移(2020~2030年度予測)
  • ローカル5G市場規模推移(2020~2030年度予測)
  • ローカル5G市場の内訳(2025年度予測)
  • 分野別のローカル5G市場規模推移(2020~2030年度予測)
  • ローカル5G市場での分野別構成(%)
  • ローカル5G普及への課題
  • 製造/工場でのIoT活用ロードマップ
  • 製造/工場でのIoT活用の現状
  • 製造/工場でのIoT活用の見通し(3~4年後)
  • 製造/工場での基礎データ
  • 「IoT×製造」によるイノベーション
  • 製造/工場でのIoT/データ活用事例
  • ローカル5Gの普及見通し(製造/工場)
  • 製造/工場でのローカル5G市場規模推移(2020~2030年度予測)
  • 主要企業の5Gソリューションへの取り組み
  • 建設業を取り巻く現状と課題
  • 建設業法・入契法改正のポイント
  • 新技術やデータを活用した生産性向上や働き方改革
  • i-Constructionを進めるための視点
  • 建設現場を最先端の工場へ
  • 建設現場へ最先端のサプライチェーンマネジメントを導入
  • 建設関連の基礎データ
  • i-Construction推進に向けたロードマップ
  • 建設・不動産・建物関連でのIoT活用事例
  • 5Gソリューションへの取り組み
  • 今後期待される5G型 IoTソリューション
  • 建設における国内ローカル5G市場規模推移(2020~2030年度予測)
  • 総合物流施策大綱(2021~2025年度)
  • 物流/倉庫でのIoT活用の現状
  • 物流/倉庫でのIoT活用の見通し(3~4年後)
  • 物流/倉庫での通信ネットワーク
  • 物流/倉庫関連での基礎データ
  • 無人搬送車システム納入実績
  • 物流/倉庫関連でのIoT活用事例
  • 東急不動産、NTT東日本、PALの3社連携によるローカル5Gスマート物流
  • ローカル5Gの普及見通し(物流/倉庫)
  • ローカル5Gの取り組みイメージ
  • ローカル5Gの実証イメージ
  • 物流/倉庫での国内ローカル5G市場規模推移(2020~2030年度予測)
  • 主要企業の5Gソリューションへの取り組み
  • 流通小売でのIoT活用ロードマップ
  • 流通小売でのIoT活用の現状
  • 流通小売でのIoT活用の見通し(3~4年後)
  • 流通小売での基礎データ
  • 流通小売でのIoT/データ活用事例
  • ローカル5Gの普及可能性(流通小売)
  • 流通小売での国内ローカル5G市場規模推移(2020~2030年度予測)
  • 主要企業の5Gソリューションへの取り組み
  • ローカル5G普及への課題
  • 防犯/セキュリティでのIoT活用(現状)
  • 防犯/セキュリティでのIoT活用の見通し(3~4年後)
  • 防犯/セキュリティでの基礎データ
  • 防犯/セキュリティでのIoT/データ活用事例
  • 主要企業の5Gソリューションへの取り組み
  • 防犯/セキュリティでのローカル5G市場規模推移(2020~2030年度予測)
  • 遠隔医療の定義
  • 遠隔医療の分類
  • オンライン診療システム市場の形成過程
  • オンライン診療関連サービスを提供する事業者が参照すべきガイドライン
  • 遠隔医療/オンライン診療/オンライン受診勧奨/遠隔健康医療相談の関連性
  • オンライン診療の主な利点
  • 医療(遠隔医療)での基礎データ
  • 医療(遠隔医療)でのIoT/オンライン診療システム参入企業
  • 医療(遠隔医療)でのIoT/在宅医療向けオンライン診療システム
  • 医療(遠隔医療)での5Gソリューションへの取り組み
  • 医療(遠隔医療)での国内ローカル5G市場規模(2020~2030年度予測)
  • 遠隔医療の普及拡大イメージ
  • 社会インフラ向けITソリューション需要の背景
  • 建設後50年以上経過する社会資本の割合①
  • 建設後50年以上経過する社会資本の割合②
  • 「国土強靱化予算」における防災IT関連の内訳
  • 社会インフラ/各種施設での監視カメラ設置台数の推計(2020年度)
  • 社会インフラでのIoT活用の現状
  • 社会インフラでのIoT活用の見通し(3~4年後)
  • 分野別の社会インフラIT市場規模推移
  • インフラ対象/インフラ構造物の定量データ
  • 社会インフラでのローカル5G/5Gソリューション活用事例①
  • 社会インフラでのローカル5G/5Gソリューション活用事例②
  • ローカル5Gの普及可能性
  • 社会インフラでの国内ローカル5G市場規模推移(2020~2030年度予測)
  • スマートシティでのIoT活用の現状
  • スマートシティでのIoT活用の見通し(3~4年後)
  • 主なスマートシティ事例①(エネルギー管理)
  • 主なスマートシティ事例②(MaaS関連)
  • 主なスマートシティ事例③(都市マネジメント)
  • 主要企業の5Gソリューションへの取り組み
  • スマートシティでのローカル5G市場規模推移(2020~2030年度予測)
  • 主なスマートシティ事業事例(自治体別、実証実験含む)
  • 農林水産/畜産でのIoT活用の現状
  • 農林水産/畜産でのIoT活用の見通し(3~4年後)
  • 農林水産/畜産での基礎データ
  • 農林水産/畜産でのIoT/データ活用事例
  • ローカル5Gの普及見通し(農林水産/畜産)
  • 農林水産/畜産でのローカル5G市場規模推移(2020~2030年度予測)
  • 主要企業の5Gソリューションへの取り組み
  • 1GIGAスクール構想の実現に向けたロードマップ(計画当初)
  • 1普通教室の無線LAN/校内LANの整備率推移
  • 1教育用PC1台あたりの児童生徒数の推移
  • 1普通教室の大型掲示装置の整備率推移
  • 1統合型校務支援システムの整備率推移
  • 1指導者用・学習者用デジタル教科書の整備率推移
  • 1学校種別の基礎データ(2020年度:2021年3月時点)
  • 1各教科等の指導におけるICTの効果的な活用について
  • 1学校での国内ローカル5G市場規模推移(2020~2030年度予測)
  • スタジアム/ライブ会場においてIoTがもたらす効果
  • アフターコロナ時代におけるスポーツ観戦でのIoT
  • 「TOKYO Data Highway基本戦略」の概略
  • スタジアム/ライブ会場でのIoT/データ活用事例
  • スタジアム/ライブソリューションでの通信ネットワーク
  • 体育・スポーツ施設の件数
  • サッカースタジアムの概要
  • 東京オリンピック・パラリンピックでの5G導入の概要
  • スタジアム/ライブ会場での5Gソリューションへの取り組み
  • 5G活用によるスタジアムでのサービス向上 スタジアム/ライブソリューションでの国内ローカル5G市場規模(2020~2030年度予測)
  • “新たなスタジアムのあるべき姿”を実現する手段としての5Gの位置づけ

▲小見出し一覧に戻る

 

関連リンク

■レポートサマリー
ローカル5Gソリューション市場に関する調査を実施(2020年)
IoT/M2M(機器間通信)市場に関する調査を実施(2022年)
社会インフラIT市場に関する調査を実施(2021年)

■同カテゴリー
[ICT全般]カテゴリ コンテンツ一覧
[通信/放送/ネットワーク]カテゴリ コンテンツ一覧
[情報サービス/ソリューション]カテゴリ コンテンツ一覧
[コンピュータ/システム]カテゴリ コンテンツ一覧

▲小見出し一覧に戻る

 

オリジナル情報が掲載されたショートレポートを1,000円でご利用いただけます!

同タイトル、市場調査資料の一部の内容について、概要をまとめたリーズナブルな調査資料です。
※プレスリリースに以下の情報が追加されています。
  • セグメント別の動向
    • 5Gを活用したIoTソリューション動向
  • 注目トピックの追加情報
    • ローカル5Gを活用した建設向けIoTソリューション
    • ローカル5Gを活用した物流/倉庫向けIoTソリューション
  • 将来展望の追加情報
以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください

利用方法を確認する


調査要綱

調査対象:ITベンダー、移動体通信事業者、インフラ事業者、ユーザ企業、地方自治体など
調査期間:2021年9月~2022年1月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話による調査、郵送アンケート調査、ならびに文献調査併用

※ローカル5Gとは:ローカル5Gとは、MNO(移動体通信事業者)が広域で提供する5G(第5世代移動体通信サービス)とは異なり、一般企業や地方自治体、学校法人などが総務省に免許を申請し、団体の敷地内や建物内など特定範囲(狭域)限定で構築する、5Gのプライベートネットワークをさす。
従来の4G/LTEやWi-fi、有線LANなどの通信ネットワークと比較すると、5G回線としての高速・大容量(映像配信や製造機械での大量データ対応)、低遅延(協働ロボットや診療など遠隔作業支援)、多接続(スタジアムでの参加型アミューズメントや交通流等の都市データ対応)などのメリットがあり、IoT(Internet of Things)型ソリューションや特定エリア内でのAGV(無人搬送車)、ロボットなどでの利用が期待される。

※ローカル5Gソリューション市場とは:本調査におけるローカル5Gソリューション市場とは、ローカル5Gネットワークを構築するためのシステム/アプリケーション開発費、通信モジュール、端末/デバイス、電波利用料/回線利用料・通信費、プラットフォーム/クラウド利用料、運用管理費などを対象として、それらのハードウェア、ソフトウェア、サービスなどを提供する事業者の売上高ベースで算出した。
但し、ローカル5Gネットワークのインフラ設備(基地局など)の費用や工事費は含んでいない。

<市場に含まれる商品・サービス>
システム/アプリケーション開発費、通信モジュール、端末/デバイス、電波利用料/回線利用料・通信費、プラットフォーム/クラウド利用料、運用管理費など

関連マーケットレポート
早川 泰弘(ハヤカワ ヤスヒロ) 主任研究員
産業調査/マーケティング業務は、「机上ではなく、現場を回ることで本当のニーズ、本当の情報、本当の回答」が見つかるとの信念のもと、関係者各位との緊密な関係構築に努めていきます。日々勉強と研鑽を積みながら、IT業界の発展に資する情報発信を目指していきます。

YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。

YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。

東京カスタマーセンター

03-5371-6901
03-5371-6970

大阪カスタマーセンター

06-6266-1382
06-6266-1422