矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2020.10.30

車載ソフトウェア市場に関する調査を実施(2020年)

2020年は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて新車販売台数減少が見込まれており、2020年の車載ソフトウェア(4分野)市場は前年比92.2%の8,298億円を見込む。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内外の車載ソフトウェア市場を調査し、 市場構造の変化推移、品目別市場動向、品目別市場規模推移、将来展望を明らかにした。ここでは、国内の車載ソフトウェア(4分野)市場規模の推移・予測について公表する。

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【図表:国内の車載ソフトウェア(4分野)市場規模推移・予測】

図表:国内の車載ソフトウェア(4分野)市場規模推移・予測
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:2020年は見込値、2021~2025年と2030年は予測値
  • 注:①OEMの車載ソフトウェアに関わる設備投資・研究開発投資費用、②OEM・Tier1の車載ソフトウェア開発費(人件費含む)、③車載ソフトウェア開発ツールベンダ売上高(ツールに加え、開発・コーディング、テストなどの請負業務含む)、④自動車産業向けのCAD/CAM/CAE/PLMベンダ売上高を対象として、市場規模を算出した。

車載ソフトウェア市場の概況

国内の車載ソフトウェア市場は2019年まで拡大基調で推移したものの、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて新車販売台数減少が見込まれており、2020年の車載ソフトウェア(4分野)市場は前年比92.2%の8,298億円を見込む。

しかし、その後はOEM(自動車メーカ)の、特にCASE(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric)対応などの設備投資・研究開発投資が引き続き伸びていく見込みで、2030年まで右肩上がりの成長を続けていく見通しである。2025年の車載ソフトウェア(4分野)市場は1兆1,038億円、2030年には1兆3,140億円に達すると予測する。

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車載ソフトウェア市場の注目トピック

■2020年は日本OTA元年である
世界のOEMは、2015年くらいからOTA(Over The Air:車載ソフトウェアの遠隔更新サービス)開発を続けているが、2020年9月時点ではテスラのように「OTAによる有料のECUプログラム更新ビジネス」を普及させているOEMはない。他のOEMではほぼリコール対応OTAだけであり、2020年9月時点での世界OTA市場全体の95%がリコール対応OTAである。

だが、2020年冬からトヨタはレクサスLSで、高速レベル3自動運転用ソフトウェアのバージョンアップを有料OTAで実施する。これは、高速道路の入り口から出口まで「ハンズオフ(手放し)」で走れることを狙うもので、こうした「遠隔更新」こそがOTAの本来の姿である。この有料OTAの動きは、2019年に道路運送車両法の一部を改正する法律案が閣議決定されたことに基づいている。それまでの法律は自動運転車を想定したものになっていなかったが、「高速道路でのレベル3の自動運転や、限定された地域での無人運転車走行」にも対応すべく法案改正が行われた。トヨタだけでなく世界のOEMは、有料OTA事業においてテスラに追随していくものと思われる。どうやら2020年はOTA元年ともいえる年になりそうだ。

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車載ソフトウェア市場の将来展望

今後、OTA(Over The Air)サービスでは、カーナビ用地図更新のような情報系ソフトウェアだけでなく、シャシー/ボディ系ソフトウェア、パワトレ系ソフトウェア、モーター電池制御ソフトウェアなども遠隔更新されるようになり、さらに将来的にはそれらが融合・解析されたデータで提供されるようになる見込みである。2030年頃になると、OTAサービスが一般的に普及し、​車両のソフトウェアが遠隔更新されるばかりではなく、逆に車両から収集したデータがコネクテッドサービスや車両のデザイン工程にまで反映されるようになり、データの双方向化が進んでいく見通しである。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 「ECUの構造と車載ソフトウェア」
  • 「自動車の一般的な開発・設計工程(研究・開発)」
  • 「2020年の自動車開発・設計工程(開発分担毎)」
  • 「2020年の自動車SW開発・設計分担毎の動き 断面図(レイヤー表記)」
  • 「2025年の自動車開発・設計工程(開発分担毎)」
  • 「2025年の自動車SW開発・設計分担毎の動き 断面図(レイヤー表記)」
  • 「2030年の自動車開発・設計工程(開発分担毎)」
  • 「2030年の自動車SW開発・設計分担毎の動き 断面図(レイヤー表記)」
  • 「車載ソフト開発の将来断面図(2020年→25年→30年)」
  • 「制御系ソフトウェアと情報系ソフトウェアの関係変化」
  • 「情報系 車載ソフトウェア進化推移(1990年代~2030年以降)」
  • 「車載ソフトウエアの市場区分」
  • 「車載ソフトウェアの市場規模算定の目安」
  • 「車載ソフトウェア4分野の市場規模推移(2018年~2030年,①設備投資・研究開発投資/②開発ツールベンダ/③PLM系/④OEM,Tier1の開発費用,国内,億円)」
  • 「車載ソフトウェア4分野の市場規模推移(2018年~2030年,①設備投資・研究開発投資/②開発ツールベンダ/③PLM系/④OEM,Tier1の開発費用,国内,億円)」
  • 「国内OEMの設備投資・研究開発投資における車載ソフトウェア金額推移(2018年~2030年,億円)」
  • 「国内OEMの設備投資・研究開発投資における車載ソフトウェア金額推移(2018年~2030年,億円)」
  • 「コロナ影響下における国内新車販売台数の前年比推移(2017~2030年)」
  • 「トヨタ自動車の研究開発投資(費)と設備投資の推移」
  • 「国内開発ツールベンダの3分野総市場規模推移(2018年~2030年,①組込ソフト開発ツール/②情報系・AI・自動運転ソフト/③受託開発,億円)」
  • 「国内開発ツールベンダの3分野総市場規模推移(2018年~2030年,①組込ソフト開発ツール/②情報系・AI・自動運転ソフト/③受託開発,億円)」
  • 「コロナ影響下における国内新車販売台数の前年比推移(2017~2030年)」
  • 「国内開発ツールベンダ31社の3分野総計市場規模推移(2018年~2030年,①組込ソフト開発ツール/②情報系・AI・自動運転ソフト/③受託開発の総計,億円)」
  • 「国内開発ツールベンダの①組込ソフト開発ツール市場規模推移(2018年~2030年,億円)」
  • 「国内開発ツールベンダの①組込ソフト開発ツール市場規模推移(2018年~2030年,億円)」
  • 「国内開発ツールベンダ31社の①組込ソフト開発ツール市場規模推移(2018年~2030年,億円)」
  • 「国内開発ツールベンダの②情報系・AI・自動運転ソフト市場規模推移(2018年~2030年,億円)」
  • 「国内開発ツールベンダの②情報系・AI・自動運転ソフト市場規模推移(2018年~2030年,億円)」
  • 「国内開発ツールベンダ31社の②情報系・AI・自動運転ソフト市場規模推移(2018年~2030年,億円)」
  • 「国内開発ツールベンダの③受託開発市場規模推移(2018年~2030年,億円)」
  • 「国内開発ツールベンダの③受託開発市場規模推移(2018年~2030年,億円)」
  • 「国内開発ツールベンダ31社の③受託開発市場規模推移(2018年~2030年,億円)」
  • 「自動車向けCAD/CAM/CAE/PLMの市場規模推移(2018年~2030年,③PLM系, 国内, 億円)」
  • 「国内OEM,サプライヤの開発費用規模推移(2018年~2030年,人件費,億円)」
  • 「国内OEM,サプライヤの開発費用規模推移(2018年~2030年,人件費,億円)」
  • 「国内OEMの開発費用市場規模推移(2018年~2030年,国内/オフショア,億円)」
  • 「国内OEMの開発費用市場規模推移(2018年~2030年,国内/オフショア,億円)」
  • 「国内サプライヤの開発費用市場規模推移(2018年~2030年,国内/オフショア,億円)」
  • 「国内サプライヤの開発費用市場規模推移(2018年~2030年,国内/オフショア,億円)」
  • 「国内OEMのユニット分野別開発費用推移(2018年~2030年,国内/オフショア,億円)」
  • 「国内サプライヤのユニット分野別開発費用推移(2018年~2030年,国内/オフショア,億円)」
  • 「車載ソフトのプラットフォーム開発の利点」
  • 「カーエレ産業構造の変化」
  • 「カーエレメーカのビジネスモデルの変化」
  • 「車載ECUアーキテクチャの統合化の進化」
  • 「OTA/テレマティクスのステージ別ロードマップと内容」
  • 「テレマティクス→OEMテレマティクス→OTA-2への変遷」
  • 「テレマティクスとは」
  • 「OEMテレマティクスとは」
  • 「OTA2とは」
  • 「OTA3とは」
  • 「OTA1/2の主要なアプリ区分」
  • 「ECUのソフトウェア・バージョンアップにおける参入ベンダーと役割」
  • 「ソフトウェアアップデート基準化案のイメージ(日本国内の場合)」
  • 「ルノー・日産・三菱自とMicrosoftのアライアンス・インテリジェント・クラウド概要」
  • 「ROS2の自動運転用プラットフォーム」
  • 「ROS2の主なベンダ」
  • 「MONETプラットフォームを活用したビジネスマッチング」
  • 「ソフトウェアプラットフォームの長所と課題」
  • 「V字開発ツールによる車載ソフトウェアの開発」
  • 「MBD開発(V字開発)市場とプレーヤの変化」
  • 「ウォーターフォールとアジャイル比較」
  • 「自動車のネットワーク化」
  • 「自動車のネットワーク化で、セキュリティ・リスクが増大」
  • 「車載セキュリティの3層」
  • 「車載セキュリティソリューションの目指す姿」
  • 「車載セキュリティ対策の予防・検知・回復」
  • 「車載セキュリティのレイヤーごとのアプローチ」
  • 「車載セキュリティの課題 ①環境的要因」
  • 「自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の加入地域」
  • 「自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の組織」
  • 「自動運転フレームワークドキュメントの項目」
  • 「自動運転技術に係る国際基準検討体制」
  • 「世界の地域別 車載セキュリティ 組織と活動概要」
  • 「自動車の主な機能安全規格一覧」
  • 「ドイツ人の考える製造業ピラミッド」
  • 「日本人の考える製造業ピラミッド」
  • 「AUTOSARによるカーエレシステムの変化」
  • 「AUTOSARの構造」
  • 「AUTOSAR APとCPの技術的な違い」
  • 「AUTOSARによる競争領域/非競争領域(標準領域)の違い」
  • 「AUTOSARによるタイプ別競争領域/非競争領域(標準領域)」
  • 「他のプラットフォームとの使い分け(共存)」
  • 「CASE時代における車両構造」
  • 「完全自動運転タクシー時代のタクシー産業市場規模」
  • 「日本と中国の製造業の違い」
  • 「豊富なEVのための資源」
  • 「車載SW『継続的』から『破壊的』にシフト」

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調査要綱

調査対象:国内外のOEM(自動車メーカ)、Tier1などのサプライヤ、車載ソフトウェア開発ツールベンダ、CAD/CAM/CAE/PLMベンダ他
調査期間:2020年4月~9月
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・eメールによる取材、ならびに当社データベース・各種文献の調査併用

車載ソフトウェアは、高級車には百数十個以上搭載されている組込み型コンピュータであるECU(Electronic Control Unit)に組み込まれているソフトウェアである。

本調査における車載ソフトウェア市場とは、①OEMの車載ソフトウェアに関わる設備投資・研究開発投資費用、②OEM・Tier1の車載ソフトウェア開発費(人件費含)、③車載ソフトウェア開発ツールベンダ売上高(ツールに加え、開発・コーティング、テストなどの請負業務含む)、④自動車産業向けのCAD/CAM/CAE/PLMベンダ売上高を対象として、市場規模を算出した。

<市場に含まれる商品・サービス>
(1)自動車用組込みソフトウェア、(2)開発ツール / プラットフォーム、(3)AUTOSAR関連、(4)車載サイバーセキュリティ関連、(5)MBD関連ツール、(6)OTA関連、(7)セントラルコンピュータ関連、(8)自動運転・AI関連ソフトウェアなど

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