矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2020.08.07

ポイントサービス市場に関する調査を実施(2020年)

2020年度の国内ポイントサービス市場規模は、ポイント発行額が大きく減少する業種も。マイナポイント事業がその減少分を一部補填する見通し。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内ポイントサービス市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

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【図表:ポイントサービス国内市場規模推移と予測 】

図表:ポイントサービス国内市場規模推移と予測
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:ポイント発行額ベース
  • 注:2020年度は見込値、2021年度以降は予測値
  • 注:特定の企業やグループが提供するサービスや商品の購入等に対して、発行されるポイントやマイレージ等を対象とし、市場規模はポイントの総発行額を指す。

ポイントサービス市場の概況

2019年度の国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は、前年度比106.0%の2兆69億円まで拡大した。複数の共通ポイントを導入する事業者数の増加や、キャッシュレス・消費者還元事業などを背景としたキャッシュレス決済に紐づいたポイント付与などを通じて、ポイント発行額は拡大している。

2020年度は、新型コロナウイルスの影響で消費が落ち込む見込みで、ポイント発行額が大きく減少する業種も出てくる一方で、マイナポイント事業がその減少分を一部補填する見通しである。2020年度の国内ポイントサービス市場規模は前年度比103.2%の2兆720億円、2021年度の同市場は同100.8%とほぼ横ばいに推移すると予測する。

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ポイントサービス市場の注目トピック

■コンビニ業界でのマルチポイント化の状況
小売業者などで、複数の共通ポイントサービスを導入する事業者が増加している。その中でも、コンビニエンスストアでの動向が注目されている。
これまでTポイントを軸にポイントサービスを提供してきたファミリーマートが2019年11月からdポイントと楽天ポイントを導入したことにより、消費者の行動がどのように変化するか、つまり、ファミリーマートで今までTカードを提示していたユーザが、楽天ポイントとdポイントの蓄積にどの程度シフトするか、ということが共通ポイント市場の争点の一つとなると考える。

ローソンやファミリーマートのように、その他のコンビニエンスストアも複数の共通ポイントを導入すれば、消費者は購買時の共通ポイント付与を当たり前と捉えるようになるであろう。そのため、ハウスポイントを発行しているコンビニエンスストアにおいても、共通ポイントの導入及びマルチポイント化(1社で数種類のポイントを発行)が進む可能性がある。

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ポイントサービス市場の将来展望

2024年度に国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は2兆4,193億円に至ると予測する。今後も複数の共通ポイントを導入する事業者が増加し、ポイント発行額は拡大していくとみる。新型コロナウイルスの影響でポイント発行額が減少した業種においても徐々に消費が回復することで、このような業種におけるポイント発行額は増加に転じる見込みである。

ハウスポイントを発行する企業は、ポイント付与による販促や、ID-POSを用いた顧客分析から個客マーケティングの実施に結びつける取組みを引き続き進めていくだろう。
一方で、共通ポイントを導入する企業においては、1社で複数の共通ポイントを発行するケースが益々増えていくであろう。多くの加盟店で共通ポイントを使用できるようになれば、会員にとっては、購買時の共通ポイントの付与が当たり前となるので、共通ポイントサービス事業者には他社との差別化を図るために、会員の利便性を向上する取組みや、加盟店に対してはポイント発行費用に対する販促効果やデータ分析を通じたマーケティング施策の送客効果の向上などが求められるであろう。

また、株式会社ロイヤリティ マーケティングとKDDI株式会社が資本業務提携した結果、4つの共通ポイントサービスが携帯キャリアと紐づけられた。今後共通ポイントサービス市場は、携帯キャリアにおける会員獲得競争の結果によって、利用される共通ポイントが変化していく可能性が高いと考える。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 業界・提携先別 共通ポイントの発行状況
  • 主要コンビニエンスストアの導入ポイント
  • 業界・提携先別 共通ポイント・ハウスポイントの併用状況
  • 国内ポイント発行額の推移(2017~2020年度見込み:億円)
  • ポイント発行額の業種別シェア推移(2017~2024年度予測)
  • ポイント発行額の業種別シェア比較(2019年度)
  • カード媒体の種類と概要
  • 国内ポイント発行額の推移(2019~2024年度予測:億円)
  • 共通ポイントサービス/ポイント交換サービスの分類
  • 主要共通ポイントサービスの概要
  • 業界・提携先別 共通ポイント導入事業者のポイント発行状況
  • 主な加盟店の共通ポイントの脱退・乗り換え
  • 共通ポイントにおける期間限定ポイントの比較
  • ポイント付与(共通ポイントサービス提供事業者が利用者に共通ポイントを付与)
  • 加盟店における共通ポイント発行手数料(1ポイント当たり)
  • 共通ポイントサービス市場規模推移(ポイント発行額ベース)
  • 2019年度シェア
  • 加盟店支援に関する戦略
  • ポイントの価値向上に向けた戦略
  • アフターコロナにおける戦略
  • 提携企業拡大に向けた取組み
  • 共通ポイント事業者のスマートフォンアプリの現状
  • スマートフォンアプリを活用した取組み
  • 共通ポイント事業者が加盟店に提供するコンサルティングの内容
  • 共通ポイントサービスにおけるデータの現状
  • データ分析やCRMに関連した取組み
  • 業界としての課題
  • 自社としての課題
  • 今後の方向性
  • マルチポイントに関する見解
  • マイナポイントに関する見解
  • 共通ポイントサービス市場規模予測(ポイント発行額ベース)
  • 2024年度シェア
  • 共通ポイントサービス提供事業者の実態
    • 株式会社NTTドコモ(dポイント)
    • 株式会社Tポイント・ジャパン(Tポイント)
    • 楽天ペイメント株式会社(楽天ポイントカード)
    • 株式会社ロイヤリティ マーケティング(Ponta)
  • 主要ポイント交換サービスの概要
  • ポイント交換サービス市場規模推移(流通額ベース)

■マイレージ

  • 主要マイレージの概要
  • ウィズコロナにおける戦略
  • アフターコロナにおける戦略
  • 会員拡大の方策
  • 既存会員の活性化に関する取組み
  • マイルの消費拡大に向けた取組み
  • 金融サービスに関する取組み
  • 会員組織に関S塗る取組み
  • 今後の方向性
  • マイレージサービス提供事業者の実態
    • ANA X 株式会社(ANAマイレージクラブ)
    • 日本航空株式会社(JALマイレージバンク)
■流通系のポイントサービスの動向
  • 小売業における共通ポイント導入業者のポイント発行状況
  • 主要コンビニエンスストアの導入ポイント
  • 主要コンビニエンスストアの売上高(全店)前年比
  • 主要コンビニエンスストアの年間売上高(チェーン全店)
  • スーパーマーケットのポイントカード導入率推移(2015~2019年)
  • 主な家電量販店のポイントサービスの比較
  • 主な家電量販店のQRコード決済サービス導入状況の比較
■ポイントサイト
  • 主要ポイントサイト運営事業者の概要
  • 主要ポイントサイト運営事業者のスマートフォンアプリの提供状況
  • ポイントサイト市場規模推移と予測(売上高ベース)
  • ポイントサイト運営事業者の実態
    • GMOメディア株式会社(ポイントタウン byGMO)
■クレジットカード
  • ショッピング取扱高推移(イシュアベース)
  • クレジットカード市場のポイント発行額推移
  • 主要カード発行会社のポイントを活用した施策一覧
■電子マネー
  • 主要電子マネーの実績動向
  • 非接触IC型電子マネーの決済額推移
  • 非接触IC型電子マネーにおけるポイント発行額推移
■QRコード決済
  • 主要QRコード決済のポイントサービスの比較
  • QRコード決済の取扱額推移
  • QRコード決済におけるポイント発行額推移
■マイナポイントに関する動向・見解
  • 主要決済サービスにおけるマイナポイント付与に際する追加のキャンペーン
  • 共通ポイント事業者のマイナポイントに関する見解
  • ポイントソリューションベンダのマイナポイントに関する見解

 

  • 主要ポイント管理・顧客管理システム/CRM-FSP ソリューション製品一覧
  • CRM-FSPの実践を阻害する要因
  • ウィズコロナにおける戦略
  • アフターコロナにおける戦略
  • 主要ポイントソリューションベンダ各社の強み
  • 自社の強みを活かした取組み
  • データ分析やCRMに関する取組み
  • スマートフォンアプリの活用に関する取組み
  • 業界における課題
  • 自社における課題
  • 事業方向性
  • カードレス化の進展に関する見解
  • ユーザ企業におけるデータ分析に関する見解
  • マイナポイントに関する見解
  • ポイントソリューション提供事業者の実態
    • 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(CAFIS Explorer)
    • 大日本印刷株式会社(POINT TACTiX)
    • 富士通エフ・アイ・ピー株式会社(ValueFrontポイントサービス)

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関連リンク

■レポートサマリー
ポイントサービス市場に関する調査を実施(2022年)
ポイントサービス市場に関する調査を実施(2019年)
共通ポイント・ハウスポイントに関する法人アンケート調査を実施(2021年)

■アナリストオピニオン
価値向上を図る共通ポイント 他事業者との提携により活用範囲を拡大
ポイントカード発行の真の目的はFSP実現にあり

■同カテゴリー
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調査要綱

調査対象:共通ポイントサービス提供事業者、マイレージサービス提供事業者、ポイントサイト運営事業者、ポイント関連ソリューションベンダ等
調査期間:2020年4月~7月
調査方法:当社専門研究員による直接面接取材、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

※ポイントサービスとは:本調査におけるポイントサービス市場は、特定の企業やグループが提供するサービスや商品の購入等に対して、発行されるポイントやマイレージ等を対象とし、市場規模はポイントの総発行額を指す。
ポイントの総発行額には、特定の企業が発行するポイントやマイレージに加え、特定の決済(クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など)により付与されるポイント、業種・業態に関わらず提携先で利用できる共通ポイント(Tポイント、Ponta、楽天ポイント、dポイントなど)等が含まれる。

<市場に含まれる商品・サービス>
ポイントサービス、共通ポイントサービス、ポイント交換サービス、マイレージ、ポイントサイト、ポイントソリューション

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