矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2020.02.27

社会インフラIT市場に関する調査を実施(2019年)

2018年度の国内社会インフラIT市場規模は、前年度比1.2%増の6,080億円。2024年度頃には社会インフラ向けITソリューションビジネスが本格化の見通し。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の社会インフラIT市場を調査し、市場規模、分野別の動向、入札や技術の動向、将来展望を明らかにした。

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社会インフラIT市場の概況

道路や鉄道、空港、港湾、河川、ダム関連、上下水道/浄水場などの水関連、防災・消防・警察関連の計8分野の社会インフラ管理におけるIT関連事業を対象として調査を実施し、社会インフラIT市場規模を算出した。2018年度の国内社会インフラIT市場規模(インフラ運営事業者の発注金額ベース)を6,080億円と推計した。
2018年度の市場は前年度比1.2%増と、2017年度(同2.9%減)から増加に転じて6,000億円の大台は維持した。分野別にみると、防災・消防・警察が伸長、規模の大きな道路、鉄道も堅調に推移し、水関連や空港が減少したものの、全体としては拡大に転じた。2019年度も道路、鉄道、防災・消防・警察分野は引き続き堅調で、2019年度の社会インフラIT市場規模は前年度比1.0%増の6,140億円を予測する。

【図表:社会インフラIT市場規模推移・予測】

図表:社会インフラIT市場規模推移・予測
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:インフラ運営事業者の発注金額ベース。
  • 注:2019年度以降は予測値。
  • 注:市場規模には、ハードウェア、ソフトウェア、工事(電気設備・通信設備)、SI、コンサルティング、回線利用料、サービスサポート、保守メンテナンス、要員派遣などを含む。

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社会インフラIT市場の注目トピック

■社会インフラ向けITソリューションの可能性
本調査では、社会インフラ管理におけるIT関連事業のうち、ITベンダーが提供するIoTサービス(クラウドを利用したサービス)やAI(画像解析、データ解析等)サービス、AR(Augmented Reality)/ VR(Virtual Reality)サービス、ドローン活用サービスなどを社内インフラ向けITソリューションと定義している。ITによる社会インフラ管理は、現状、ほぼレガシーなシステム上で実現されている。新たに作業現場を支援するサービスである社会インフラ向けITソリューション市場規模は、約50億円と若干程度(社会インフラIT市場規模の1%未満)にとどまる見込みである。

社会インフラIT市場は安定的に推移する見込みだが、今後、その内訳は変化すると予測する。レガシー型の社会インフラITから、IoTやAI、AR / VR、ドローンといった新たなテクノロジーが実装段階に入ってくると考えられ、2024年頃には社会インフラ向けITソリューションが本格的に普及を始める見通しである。

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社会インフラIT市場の将来展望

社会インフラIT市場は、首都圏ではラグビーW杯や東京オリンピック・パラリンピック後で社会インフラ投資(高速道路、幹線道路、鉄道、空港など)の一服感がある一方、2025年の大阪万博が控える近畿圏、リニア新幹線案件需要のあるJR東海エリアなど、これからも社会インフラ投資の盛り上がりが期待されるエリアも少なくない。
今後、公共投資の減少が見込まれる中でも、社会インフラIT投資は横ばい / 微減推移を維持する見込みで、2024年度の国内社会インフラIT市場規模(インフラ運営事業者の発注金額ベース)を6,020億円になると予測する。尚、2024年度頃には社会インフラ向けITソリューションビジネスが本格化し、数百億円規模のマーケットが形成されると予測する。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 調査結果のポイント
    • 市場動向
      • 社会インフラITの全体イメージと対象分野   
      • 社会インフラ向けITソリューション需要の背景要因
    • 市場規模及び分野別の構成
      • 社会インフラIT市場規模予測(2016~2024年度予測)   
      • 分野別の社会インフラIT市場規模推移
    • 社会インフラ向けITソリューション
      • 社会インフラ向けITソリューションの活用効果   
      • 社会インフラ向けITソリューションで生み出す価値   
      • 社会インフラIT市場におけるITソリューション比率予測

第Ⅰ章 総論編

  • 社会インフラITの背景
    • 建設後50年以上経過する社会資本の割合   
    • 社会インフラITの全体イメージ   
    • 社会インフラの対象分野   
    • 社会インフラITでの対象業務   
    • インフラ関連領域におけるITのスタンス  
    • 社会インフラITマーケット分析での考え方  
    • インフラビジネスにおけるITソリューションのスタンス  
    • 社会インフラ向けITソリューション需要が高まる背景要因  
    • 社会インフラ向けITソリューション活用効果  
    • 社会インフラ向けITソリューションで生み出す価値  
    • フィールドワーク支援ソリューションの活用イメージ  
    • フィールドワーク支援ソリューショングで使うIT技術  
    • インフラ向けフィールドワーク支援ソリューション事例  
    • 遠隔監視業務の変化  
    • インフラ関連での収集データ事例  
    • 社会インフラ向けITソリューション関連技術の普及イメージ
  • 社会インフラIT市場概要  
    • 社会インフラIT市場規模推移(2016~2024年度予測)    
    • 主なコンセッション事業一覧・社会インフラ向けITソリューション市場規模の推定    
    • 社会インフラIT市場におけるITソリューション比率予測  
    • 分野別の社会インフラIT市場規模推移    
    • 鉄道総研で取り組みR&Dテーマ  
    • 社会インフラITの地域別構成(2016~2018年度平均)  
    • 社会インフラITのメーカーグループ構成(2016~2018年度平均)  
    • 公共事業費の推移(2000~2018年度)  
    • 公共事業費のうち国交省関連予算  
    • 公共事業関連予算の内訳(2018年度当初予算)  
    • インフラ保全の背景と期待されるITテクノロジー  
    • ITベンダーのIoTソリューション事例(社会インフラ/防災)  
    • ITベンダーのIoTソリューション事例(防犯/セキュリティ)  
    • 業務の外部委託(外部サービスの利活用)に関する見解  
    • 社会インフラ監視におけるIT活用に関するコメント~  
    • 日立グループでの主な入札案件(2017~2019年度)  
    • 三菱電機グループでの主な入札案件(2017~2019年度)  
    • 日本電気グループでの主な入札案件(2017~2019年度)  
    • 東芝グループでの主な入札案件(2017~2019年度)  
    • 富士通グループでの主な入札案件(2017~2019年度)  
    • パナソニックグループでの主な入札案件(2017~2019年度)  
    • 日本無線グループでの主な入札案件(2017~2019年度)  
    • 三菱重工グループでの主な入札案件(2017~2019年度)  
    • 沖電気グループでの主な入札案件(2017~2019年度)  
    • その他企業での主な入札案件(2017~2019年度)  
    • インフラ対象/インフラ構造物の定量データ  
    • 築50年を超えるインフラ割合
  • スマートシティにおける社会インフラIT
    • 国内スマートシティ動向   
    • MaaSにおけるデータ利活用   
    • データ利活用型スマートシティ   
    • 国内スマートシティ事例   
    • スマートシティ官民連携プラットフォーム
  • 海外における社会インフラ開発動向
    • アジアでの主なインフラプロジェクト  
    • 欧州での主なインフラプロジェクト  
    • 中東地域での主なインフラプロジェクト  
    • 米州・オセアニアでの主なインフラプロジェクト

第Ⅱ章 各論編

  • Ⅰ.道路IT
    • 道路関連ビジネスの事業構造
      • 道路の種類・管理主体・総延長  
      • 高速道路の種類・管理主体  
      • 橋梁、トンネルの総延長  
      • 主要道路メーカー一覧  
      • インフラ構造物の診断結果区分  
      • 道路施設での点検実施状況(2018年度)
    • 道路ITビジネスの現状と構造
      • 道路IT市場規模推移(2014~2019年度見込み)  
      • 道路管理者別の道路IT市場の内訳(2017~2018年度平均)  
      • 道路IT市場のカテゴリー別構成(2017~2018年度平均)  
      • カテゴリー別の主要道路ITプレイヤー一覧  
      • 道路IT関連プロジェクト一覧①:2018年度  
      • 道路IT関連プロジェクト一覧②:2018年度  
      • 道路IT関連プロジェクト一覧③:2018年度  
      • 道路IT関連プロジェクト一覧④:2018年度  
      • 道路IT関連プロジェクト一覧⑤:2018年度  
      • 道路IT関連プロジェクト一覧⑥:2018年度  
      • 道路IT関連プロジェクト一覧⑦:2018年度  
      • 道路IT関連プロジェクト一覧⑧:2018年度  
      • 道路IT関連プロジェクト一覧⑨:2018年度
  • Ⅱ.鉄道IT
    • 鉄道事業関連ビジネスの事業構造
      • 鉄道事業者一覧・営業距離  
      • 鉄道ITでの分野別主要プレイヤー一覧  
      • 鉄道事業における主な投資対象テーマ  
      • JRグループ各社の情報システム子会社一覧  
      • 大手IT事業者の鉄道IT164
    • 鉄道ITビジネスの現状と構造  
      • 鉄道関連IT市場規模推移(2014~2019年度見込み)  
      • 鉄道関連IT市場(2017~2018年度平均)  
      • 鉄道事業者別の構成(貨物含む)  
      • 東京メトロ設備の2019年度投資予算  
      • 鉄道ITビジネスにおける課題  
      • 鉄道総合研究所のITモニタリング研究テーマ
    • 鉄道ITビジネスの評価と展望  
      • 環境面での鉄道輸送の優位性  
      • 鉄道向けIoT活用事例
  • Ⅲ.空港IT
    • 空港関連ビジネスの事業構造
      • 日本の空港と管理主体  
      • 空港の利用状況  
      • 業務別の空港IT
    • 空港ITビジネスの現状と構造  
      • 株式会社方式での空港事業委託先(国管理空港)  
      • 空港IT関連プロジェクト一覧:2017~2019年度  
      • 国土交通省・航空局・空港整備予算  
      • 空港関連IT市場規模推移(2014~2019年度見込み)  
      • 空港IT市場のカテゴリー別構成(2017~2018年度平均)
    • 空港ITビジネスの評価と展望  
      • 空港コンセッションのイメージ    
      • 国管理空港の運営委託(コンセッション)に関する検討状況
  • Ⅳ.港湾IT
    • 港湾関連ビジネス  
      • 区分別港湾数/港湾管理者数一覧  
      • 港湾取扱貨物量の推移  
      • 主な港湾関連施設  
      • 用途分類と主な入港船舶の概略  
      • カテゴリー別の主要ダムITプレイヤー
    • 港湾ITビジネスの現状と市場構造  
      • 港湾IT市場規模推移(2014~2019年度見込み)  
      • 港湾IT市場のカテゴリー別構成(2017~2018年度平均)  
      • 港湾IT市場の地域別の内訳(2017~2018年度平均)  
      • 港湾IT関連案件一覧:(2017~2019年度)
  • Ⅴ.河川IT
    • 河川関連ビジネスの構造  
      • 水系別の河川分類    
      • 河川区分及び管理者    
      • 河川法・水防法・その他関連法規の対象範囲  
      • 河川管理施設のうち築50年を経過する施設割合の推移  
      • 河川関連ITシステムの概要  
      • 河川関連での業務区分
    • 河川ITビジネスの現状と構造  
      • 河川IT関連プロジェクト一覧:2017~2019年度
    • 河川IT市場規模  
      • 河川IT 市場規模推移(2014~2019 年度見込み)  
      • 河川IT 市場メーカーシェア(2017~2018 年度平均)  
      • 河川周辺でのITソリューション  
      • 河川管理における問題点・課題
    • 河川ITビジネスの現況評価と展望  
      • 河川管理における革新的河川技術プロジェクト  (3)河川ITの将来
  • Ⅵ.ダムIT
    • ダム関連ビジネスの事業構造  
      • ダム管理での事業主体    
      • ダムの用途と目的    
      • ダムの目的別分類  
      • ダム・堰コントロールシステム機能設計  
      • ダムITビジネスの位置づけとビジネス構成
    • ダムITビジネスの現状と構造  
      • 水管理・国土保全局ダム予算推移(百万円)    
      • 情報化施工に向けての5つの重点目標    
      • 情報化施工に向けての10の取り組み    
      • 情報化施工技術のイメージ  
      • ダムIT 市場規模推移(2014~2019年度見込み)    
      • ダムIT 市場メーカーシェア(2017~2019年度平均)  
      • カテゴリー別の主要ダムITプレイヤー  
      • ダムITモニタリングに関する背景要因
    • ダムITビジネスの評価と展望  
      • ダム・堰コントロールシステムの概要    
      • 有力ITベンダーのダムIT ビジネス    
      • 富士通:ダム管理設備システム システムイメージ    
      • 東芝:河川ダム管理設備システムのシステムイメージ
  • Ⅶ.水関連IT
    • 水関連ビジネスの事業構造  
      • 水関連の事業構造    
      • 水関連ビジネスでの業界構造    
      • 上水道関連業務での主なITシステム    
      • 地方公営企業の決算規模の推移(2013~2017年度)  
      • 地方公営企業における水関係事業の決算額(2017年度)    
      • 地方公営企業の事業数    
      • 水道法改正の概要
    • 水関連ITビジネスの現状と構造  
      • 上下水道向けでの主なIT開発事例  
      • 収集データ活用によるサービス提供可能性  
      • 水関連IT 市場規模推移(2014~2019年度見込み)  
      • 有力ITベンダー/設備・機器メーカーの水関連ビジネス
    • 水関連ビジネスの評価と展望  
      • 水道事業におけるコンセッション事業者の実施不可能/可能な範囲  
      • 水関連プロジェクト一覧:2017~2019年度
  • Ⅷ.防災/警察関連IT
    • 防災/警察関連の事業構造  
      • 防災/警察関連ビジネスの業務構成  
      • 主な防災/警察関連プロジェクト:2017~2018年度
    • 防災/警察ITの現状と構造  
      • 防災/警察IT市場規模推移(2014~2019年度見込み)  
      • 防災/警察IT市場のカテゴリー別の内訳(2017~2018年度平均)  
      • 防災/警察IT市場の地域別の内訳(2017~2018年度平均)  
      • 主要防災ITプレイヤー一覧
    • 防災/警察関連ITの現況評価  
      • 防災向けAI活用イメージ  
      • 有力IT事業者の防災/警察関連IT

…ほか

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関連リンク

■アナリストオピニオン
遠隔監視業務は次世代モニタリング(ITモニタリング)に移行する
センサーネットワークは社会インフラ化する
ITインフラモニタリングの期待と可能性
将来的にM2Mの社会インフラ化が進む

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調査要綱

調査対象:官公庁(国土交通省、経済産業省、総務省等)、地方自治体、公的機関(産業技術総合研究所、土木研究所、国土技術総合研究所、各種業界団体)、ITベンダー / SIer(システムインテグレーター)、通信事業者、建設事業者、重電メーカー、建設コンサルティング業など
調査期間:2019年6月~2020年1月
調査方法:当社専門研究員による文献検索 / 文献調査、直接面談調査、電話調査などを併用

※社会インフラIT市場とは:本調査での社会インフラIT市場とは、道路(交通管制含)、鉄道、空港、港湾の交通関連インフラ、河川インフラ、ダム関連インフラ、上下水道 / 浄水場 / 排水処理などの水関連インフラ、防災・消防・警察関連インフラの8分野の社会インフラ管理におけるIT関連事業を対象とした。

市場規模には、ハードウェア、ソフトウェア、工事(電気設備・通信設備)、SI、コンサルティング、回線利用料、サービスサポート、保守メンテナンス、要員派遣などを含み、インフラ運営事業者(国や地方自治体、高速道路事業者、鉄道事業者など)の発注金額ベースで算出した。

※社会インフラ向けITソリューションとは: 本調査における社内インフラ向けITソリューションとは、社会インフラ管理におけるIT関連事業のうち、ITベンダーが提供するIoTサービス(クラウドを利用したサービス)やAIサービス、AR/VRサービス、ドローン活用サービスなどを指す。尚、社会インフラ向けITソリューション市場は、社会インフラIT市場の内数。

<市場に含まれる商品・サービス>
社会インフラ管理におけるIT関連事業全般

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早川 泰弘(ハヤカワ ヤスヒロ) 上級研究員
産業調査/マーケティング業務は、「机上ではなく、現場を回ることで本当のニーズ、本当の情報、本当の回答」が見つかるとの信念のもと、関係者各位との緊密な関係構築に努めていきます。日々勉強と研鑽を積みながら、IT業界の発展に資する情報発信を目指していきます。

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