矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2019.08.01

国内デビットカード市場に関する調査を実施(2018年)

銀行主体のスマートフォンアプリを活用した即時引落しサービス「銀行Pay」は、取引金額は僅かであるものの、加盟店開拓を進めており、徐々に拡大していく状況で、2018年度2.4億円の見込み。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内デビットカード市場を調査し、J-Debit、ブランドデビット、銀行Payの事業者動向および将来展望を明らかにした。

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国内デビットカード市場の市場概況

2018年度の国内デビットカード市場規模は取扱金額ベースで、前年度比123%の約1兆4,006億円まで拡大する見込みである。その要因として、ブランドデビットの拡大があげられる。ブランドデビットは、国際ブランドや発行元(イシュア)によるテレビCMなど販促施策が功を奏したことに加え、新規参入事業者による取扱いの増加などを背景に、若年層やシニア層、主婦層などを中心に幅広いユーザーへの普及が進み、堅調に拡大している。

一方、J-Debitは、事業者間(BtoB)取引や小売店、特に家電量販店での大型家電の購入が減少した影響を受け、取扱高が減少している。また、銀行Payについては、取引金額は僅かであるものの、加盟店開拓を進めており、徐々に拡大していく状況にある。

【図表:国内デビットカード市場規模予測】

図表:国内デビットカード市場規模予測
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:取扱金額ベース
  • 注:2018年度見込値、2019年度以降予測値

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国内デビットカード市場の注目トピック

■2018年度の銀行Payの国内市場規模は2億4,000万円を見込む

銀行Payとは、スマートフォンアプリを活用したQRコード決済による銀行主体の即時引落しサービスである。なかでもマルチバンク対応の銀行Payは、各金融機関が提供する銀行Payを地域間で相互に流通可能なしくみを有しており、すでに大手銀行が参入している。複数の金融機関が国際ブランドよりも低い手数料で、かつ国際ブランドやイシュアを入れない形での新たな決済のしくみである銀行Payに対して、一定程度の期待と関心を持っていることから、金融機関の参入は引き続き増えていくとみる。また、銀行法の改正によりAPI(Application Programming Interface)が公開となったことも拍車をかけると考える。

また、一部の銀行Payについては、特定地域内で流通する電子地域通貨の取扱いが徐々に始まっている。こうした先進的な取組みを契機に、地域の金融機関において同様の取組みが拡がっていくことが期待される。

※「QRコード」は、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

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国内デビットカード市場の将来展望

国内デビットカード市場規模は取扱金額ベースで、2023年度には約3兆4,540億円まで拡大すると予測する。
その要因として、ブランドデビットの急速な拡大があげられる。特にJCBブランドを採用する地方銀行の参入や参入を検討している銀行が数十行に上っていることから、今後も堅調に拡大すると予測する。

また、若年層やシニア層、主婦層などを中心に幅広いユーザーへの普及が進んでおり、インターネット通販やコンビニエンスストアなどを中心に利用が増えてきているなど、さらなる市場拡大が見込まれる。

さらに、政府主導によるキャッシュレス化の推進とともに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、キャッシュレス化への様々な取組みなども市場拡大を後押しするものと考える。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • デビット市場規模推移(取引金額)
  • デビット決済サービスの取扱高シェア(J-Debit/ブランドデビット/銀行Pay別:2017年度)
  • デビット決済サービスの取扱高シェア(カード別:2017年度)
  • デビットカート市場規模予測(取引金額)
  • JCB消費NOWの概要

■J-Debit

  • 会員加入状況
  • 業種別年間取扱高(2016年6月~2017年5月)
  • J-Debitの概念図
  • 利用実績の推移
  • キャッシュアウトサービスの仕組み
■ブランドデビットの実態と展望
  • 参入状況(2018年12月12日時点)
  • 取扱高シェア(2017年度)
  • ブランドデビットサービス提供事業者市場規模推移(2013年度~2023年度)
  • りそな銀行の利用限度額
  • 取扱高の推移
  • ふくおかフィナンシャルグループにおけるキャッシュバック方法
  • スルガ銀行の各種インターネット支店
  • 発行枚数の推移
  • 取扱額の推移
  • イオン銀行における提携カード
■銀行Payの実態と展望
  • 銀行Pay市場規模予測推移(取引金額)
  • 各地域における地域通貨の数
  • アクアコインがめざす転々流通
  • 電子地域通貨の転々流通が構築する地域経済圏の方向性
  • 銀行Payを支援する主たる支援事業者のソリューション概要
  • 更新系APIとCAFISの即時口座振替との比較
  • 3種類の銀行Payにおける支払い完了までのステップの違い
■関連市場――ペイジーの動向
  • ペイジー収納サービスの方式
  • 取扱金額
  • 取扱件数
  • 利用者・収納期間・金融機関のサービス利用メリット
■プロセシング事業者の取組み状況
  • サービス概要
  • 特徴
  • 主たる顧客
  • ビジネスモデル

 

  • 日本における主たるFinTechベンチャー企業
  • FinTech系ベンチャー企業の市場規模推移予測(2016年度~2021年度)
  • イオン銀行
  • 沖縄銀行
  • 常陽銀行
  • 住信SBIネット銀行
  • セブン銀行
  • 飛驒信用組合(さるぼぼコイン)
  • ふくおかフィナンシャルグループ
  • みずほ銀行
  • 三菱UFJ銀行
  • 楽天銀行
  • りそな銀行
  • 琉球銀行
  • JCB

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調査要綱

調査対象:国内デビット決済サービス事業者等
調査期間:2018年10月~12月
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

※デビットカード市場とは:デビットとは、買い物などをした際に、その代金が銀行口座から即時に引き落とされるタイプの決済方法である。本調査におけるデビットカード市場とは、J-DebitおよびVisaならびにJCBなどの国際ブランド加盟店で利用できるデビット決済サービスに加え、スマートフォンアプリを活用したQRコード決済による銀行主体の即時引落しサービス(銀行Pay)をさし、市場規模は取扱金額ベースで算出している。

<市場に含まれる商品・サービス>
J-Debit、ブランドデビット、銀行Pay

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