矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2019.07.19

ポイントサービス市場に関する調査を実施(2019年)

ハウスポイントの広まりに加え、共通ポイントを導入する事業者が増加。引き続き拡大していくでろう市場は、コンビニのマルチポイント化に注目したい。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内ポイントサービス市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

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ポイントサービス市場の概況

2018年度の国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は1兆8,930億円と推計した。ハウスポイントの発行の広まりに加え、複数の共通ポイントを導入する事業者の増加に伴って、マルチポイント化(1社で数種類のポイントを発行)が進んで、今後、ポイント発行額は拡大していくと考える。こうしたことから、2019年度の同市場規模は1兆9,958億円になると予測する。

また、共通ポイントとハウスポイントの双方を発行する取組みや、導入していた共通ポイントを乗り換える事例も出ており、ポイントを巡る環境は変化しつつある。

【図表:ポイントサービス国内市場規模推移と予測】

図表:ポイントサービス国内市場規模推移と予測
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:ポイント発行額ベース
  • 注:2019年度以降は予測値

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ポイントサービス市場の注目トピック--マルチポイント化の進展

①共通ポイントとハウスポイントを併用する取組みが拡大
  • ハウスポイントと合わせて共通ポイントを導入することで、ハウスポイントのみを発行する場合よりも、ユーザのポイントカードの提示率を向上できる等の効果が得られる。
  • これにより、共通ポイントを導入した事業者は、ユーザの属性情報や、来店のタイミング・頻度の把握がより容易となる。
  • また、一部の加盟店では、一度の購買機会でハウスポイントと共通ポイントの双方を付与している。これらの企業はポイントを手厚く付与することで、ユーザにお得感を与えてポイントカードの提示を促し、会員の情報を収集しやすい体制を構築していると考える。

 

②コンビニエンスストアにおけるマルチポイント化
  • 小売業者等で、複数の共通ポイントを導入する事業者が増加している。その中でも、特にコンビニエンスストアでの動向に注目が集まっている。
  • これまでは、複数の共通ポイントを導入しているコンビニエンスストアは、ローソンのみであった。しかし、ファミリマートが、2019年11月より新たに楽天スーパーポイントとdポイントを導入することを発表した。店舗では、従来から導入していたTポイントを含め、3種類の共通ポイントが利用できるようになる予定である。
  • 多くのコンビニエンスストアが複数の共通ポイントを導入すれば、消費者は購買時の共通ポイント付与を当たり前と捉えるようになるであろう。その場合、共通ポイントを採用していないコンビニエンスストアでは、来店客数が減少する可能性がある。そのため、ハウスポイントを発行しているコンビニエンスストアにおいても、今後、共通ポイントの導入及びマルチポイント化が進んでいくと想定できる。今後のコンビニエンスストア各社における、共通ポイントを巡る動向に注目したい。

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ポイントサービス市場の将来展望

2023年度には国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は2兆4,332億円に至ると予測する。ハウスポイントの発行の広まりに加え、複数の共通ポイントを導入する事業者の増加に伴って、引き続き市場は拡大していく見通しである。

ハウスポイントを発行する企業は、従来通りポイント付与による販促や、ID-POSを用いた顧客分析から個客マーケティングの実施に結びつける取組みを進めていくだろう。また、ハウスポイント発行事業者が、自社の独自ポイントを共通ポイントと交換できるようにする等して、ポイント交換先を拡充していくことも考えられる。

また、共通ポイントを導入する企業においては、1社で複数の共通ポイントを発行するケースが益々増えていく。多くの加盟店で共通ポイントを使用できるようになれば、会員にとっては、購買時の共通ポイントの付与が当たり前となる。そのため、共通ポイントサービス提供事業者には、追加のポイントや特典の付与、スマートフォンアプリの機能拡充等、ポイントサービスの付加価値向上が要求されることとなる。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 業界・提供先別 共通ポイントの導入状況
  • 主要コンビニエンスストアの導入ポイント
  • 業界・提供先別 共通ポイント・ハウスポイントの発行状況
  • 国内ポイント発行額の推移(2016~2019年度予測:億円)
  • ポイント発行額の業種別シェア推移(2016~2023年度予測)
  • ポイント発行額の業種別シェア比較(2018年度)
  • カード媒体の種類と概要
  • リアル店舗における顧客情報の収集方法とそれぞれのメリット/デメリット
  • パレートの法則とFSPの概念
  • 国内ポイント発行額の推移(2018~2023年度予測)
  • 共通ポイントサービス/ポイント交換サービスの分類
  • 主要共通ポイントサービスの概要
  • 業界・提携先別 ポイントの発行状況
  • 主な加盟店の共通ポイントの脱退・乗り換え
  • 共通ポイントにおける期間限定ポイントの比較
  • ポイント付与(共通ポイントサービス提供事業者が利用者に共通ポイントを付与)
  • ポイント充当(利用者が消費する共通ポイントが加盟店の商品・サービスに充当)
  • 共通ポイントサービス市場規模推移(ポイント発行額ベース)
  • 2018年度シェア
  • 提携企業拡大に向けた取組み
  • 共通ポイントサービス提携事業者のスマートフォンアプリの現状
  • スマートフォンアプリを活用した取組み
  • 共通ポイントサービスにおけるデータの現状
  • データ分析やCRMに関連した取組み
  • 主要共通ポイントサービス提供事業者の課題
  • 主要共通ポイントサービス提供事業者の今後の方向性
  • 主要共通ポイントサービス提供事業者の市場に関する見解
  • 共通ポイントサービス市場規模予測(ポイント発行額ベース)
  • 2023年度シェア
  • 共通ポイントサービス提供事業者の実態
    • (株)NTTドコモ(dポイント)
    • (株)クラブネッツ(CNポイント)
    • (株)Tポイント・ジャパン(Tポイント)
    • 楽天ペイメント(株)(楽天ポイントカード)
    • (株)ロイヤリティ マーケティング(Ponta)
  • 主要ポイント交換サービスの概要
  • ポイント交換サービス市場規模推移(流通額ベース)
  • 主要ポイント交換サービス提供事業者の事業強化の取組み
  • 主要ポイント交換サービス提供事業者の課題
  • 主要ポイント交換サービス提供事業者の今後の方向性
  • 主要ポイント交換サービス提供事業者の市場に関する見解
  • ポイント交換サービス市場規模予測(流通額ベース)
  • ポイント交換サービス提供事業者の実態
    • (株)VOYAGE MARKETING(PeX)
    • ジー・プラン(株)(Gポイント)

■マイレージ

  • 主要マイレージサービスの概要
  • マイレージサービス提供事業者の会員拡大への取組み
  • マイレージサービス提供事業者の既存会員の活性化に関する取組み
  • マイレージサービス提供事業者の今後の方向性
  • マイレージサービス提供事業者の実態
    • ANA X(株)(ANAマイレージクラブ)
    • 日本航空(株)(JALマイレージバンク)
■流通系のポイントサービスの動向
  • 小売業者におけるポイントの発行状況
  • 主要コンビニエンスストアの導入ポイント
  • スーパーマーケットのポイントカード導入率推移(2015~2018年度)
  • レジ・クーポン®提供事業者の実態
    • カタリナ マーケティング ジャパン株式会社(レジ・クーポン®)
  • 主要な家電量販店のポイントサービスの比較
■ポイントサイト
  • 主要ポイントサイト運営事業者の概要
  • ポイントサイト市場規模推移(売上高ベース)
  • ポイントサイト市場規模予測(売上高ベース)
  • ポイントサイト運営事業者の実態
    • (株)オズビジョン(ハピタス)
    • GMOメディア(株)(PointTown byGMO)
■クレジットカード
  • ショッピング取扱高推移(イシュアベース)
  • クレジットカード市場のポイント発行額推移(2015~2019年度予測)
  • 主要カード発行会社のポイントを活用した施策一覧
■電子マネー
  • 主要電子マネーの実績動向
  • 非接触IC型電子マネーの決済額推移
  • 非接触IC型電子マネーにおけるポイント発行額推移
■FinTechに関連する取組み
■台頭するLINEポイント
  • LINEポイントの概要
  • LINEの主要サービスの比較
  • LINEポイントコネクトの機能の比較

 

  • 主要ポイント管理・顧客管理システム/CRM-FSPソリューション製品一覧
  • CRM-FSPの実践を阻害する要因
  • 主要ポイントソリューション提供事業者各社の強み
  • 自社の強みを活かした取組み
  • データ分析やCRMに関する取組み
  • スマートフォンアプリの活用に関する取組み
  • 主要ポイントソリューション提供事業者の課題
  • 主要ポイントソリューション提供事業者の事業方向性
  • 主要ポイントソリューション提供事業者の市場に関する見解
  • ポイントソリューション提供事業者の実態
    • 大日本印刷(株)(POINT TACTiX)
    • 富士通エフ・アイ・ピー(株)(ValueFront ポイントサービス

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関連リンク

■レポートサマリー
ポイントサービス市場に関する調査を実施(2022年)
ポイントサービス市場に関する調査を実施(2020年)
共通ポイント・ハウスポイントに関する法人アンケート調査を実施(2021年)

■アナリストオピニオン
価値向上を図る共通ポイント 他事業者との提携により活用範囲を拡大
ポイントカード発行の真の目的はFSP実現にあり

■同カテゴリー
[金融・決済]カテゴリ コンテンツ一覧

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調査要綱

調査対象:ポイント発行事業者や共通ポイントサービス提供事業者、ポイント交換サービス提供事業者、マイレージサービス提供事業者、ポイントサイト運営事業者、ポイント関連ソリューションベンダ等
調査期間:2019年3月~6月
調査方法:当社専門研究員による直接面接取材、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

※ポイントサービス市場とは:本調査におけるポイントサービス市場は、特定の企業やグループが提供するサービスや商品の購入等に対して、発行されるポイントやマイレージ等を対象とし、市場規模はポイントの総発行額を指す。
ポイントの総発行額には、特定の企業が発行するポイントやマイレージに加え、特定の決済(クレジットカード、電子マネー、キャッシュレスアプリ等)により付与されるポイント、業種・業態に関わらず提携先で利用できる共通ポイント等が含まれる。

<市場に含まれる商品・サービス>
ポイントサービス、共通ポイント、ポイント交換サービス、マイレージ、ポイントサイト、ポイントソリューション

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