矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2019.07.04

国内キャッシュレス決済市場に関する調査を実施(2019年)

モバイル決済が進展、特にQRコード決済の普及が急速に拡大しており、今後は2兆円を突破すると予測。今後のキャッシュレス社会の進展に寄与することが期待されている。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内キャッシュレス決済市場の調査を実施し、市場概況やサービス提供事業者の事業戦略、2023年度までの将来予測を明らかにした。

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国内キャッシュレス決済市場の概況

2018年度の国内キャッシュレス決済市場規模(現金以外の支払い手段での決済総額)は約82兆円に達し、2019年度は約89兆円を超える水準まで拡大すると予測する。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、訪日外国人客が日本においてもキャッシュレスで商品やサービスの支払いが出来るように、決済インフラの整備が進められている。その前段階として、2019年のラグビーワールドカップに向けては、特に割賦販売法の改正に伴い、加盟店におけるクレジットカード端末のIC化による不正使用対策や、海外で普及してきているコンタクトレスEMV(クレジットカードの認証手段である非接触IC規格(NFC)の国際規格統一によるコンタクトレス決済)への対応が急速に進んでいる

【図表:国内キャッシュレス決済市場規模推移と予測】

図表:国内キャッシュレス決済市場規模推移と予測
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:決済額ベース
  • 注:2019年度以降予測値
  • 注:その他にはキャリア決済等を含む

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国内キャッシュレス決済市場の注目トピック

■QRコード決済の普及拡大
新たな決済サービスとして、QRコード決済の導入事業者、及び利用者が急速に拡大している。国内QRコード決済市場規模は、今後は2兆円を突破する水準まで拡大するとみる。

QRコード決済は、中国で普及しているAlipayやWeChatPayの利用者を取り込むことを目的として、日本の加盟店での導入が進んできた。2018年に入り、日本国内でQRコード決済サービスを提供する事業者が急速に増加し、導入コストの低さや手数料率の低さを訴求し、導入企業の拡大に取組んでいる。また、QRコードはマーケティング施策との連携のしやすさにも特徴があり、スマートフォンアプリに組み込む形で導入されるケースも増えている。

こうしたなか、従来の決済サービス提供事業者ではなく、異業種からの参入が相次いでおり、従来では提供できないような大型キャンペーンを実施するなど、キャッシュレス決済市場に大きなインパクトを与えている。QRコード決済は、今後のキャッシュレス社会の進展に寄与することが期待されている。

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国内キャッシュレス決済市場の将来展望

2023年度の国内キャッシュレス決済市場規模は、約126兆円まで拡大すると予測する。クレジットカード決済を中心にプリペイド決済やデビット決済の拡大が進むとみる。

市場が拡大する要因としては、政府主導によるキャッシュレス化の推進により決済環境の整備が進み、コンタクトレス決済全体が拡大することが挙げられる。またQRコード決済をはじめとするスマートフォン決済(モバイルコンタクトレス決済)の拡大により、利用者の利便性や利得性が向上することで利用そのものが促進されることもある。

また、今後はAPI(Application Programming Interface)の公開により、新たな決済事業者の参入を促し、利用者向けに高付加価値決済サービスが創出される可能性のあることや、IoTの進展による新たな決済サービスの機会創出が期待されるほか、無人コンビニエンスストアの普及なども想定される。

一方で、キャッシュレス決済関連の事業者においては新たな収益源として、データマーケティングの高度化への取組みが必須であると考える。今後はポイントプログラムやクーポン、さらにはMA(Marketing Automation)やBI(Business Intelligence)などの周辺サービスと連携しながら、データを効果的に収集し、顧客データや決済履歴の利活用によるマーケティング施策やソリューションの提供など、新たなサービスによる収益源の確保が期待される。

※MA(Marketing Automation)とは、大量の見込み顧客や既存顧客を一元化し、自動的に評価し、設計したシナリオに基づいて、シナリオを自動実行させ、顧客を個別に育成することで確度の高い商談を創出するシステムやサービスをさす。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

第Ⅰ章 総論
  • 決済の全体像
  • キャッシュレス市場規模推移(2015~2019年度見込み)
  • キャッシュレス決済市場規模予測(2019~2023年度)

 

第Ⅱ章 オンライン決済サービスプロバイダーの動向と展望
  • オンライン決済サービスプロバイダー市場規模と予測
  • 楽天エコシステム メンバーシップバリュー概念図
  • EC市場規模推移
  • ECにおける決済サービス別の市場規模とシェア(2015~2017年度)
  • 決済方式別シェア(2017年)
  • オンライン決済サービスプロバイダー市場
    • 主要参入企業一覧
    • オンライン決済サービスプロバイダーの流通総額
    • EC決済サービス提供事業者の流通額(eコマースのみ)
  • 主要決済代行業者の実績
    • 取扱高推移・シェア
    • 営業収益推移
    • 決済件推移推移
    • 加盟店数
  • 決済サービスの特徴
    • 主要EC決済サービス提供事業者の決済方式一覧
    • 決済サービスプロバイダーの決済サービス拡充に関する取組み
  • 事業強化に向けた取組み
  • リアル展開に向けた取組み
  • 割賦販売法の改正に伴うシステム投資の動向
  • FinTech関連サービスに関する取組み、見解
  • 主要決済代行業者のサービス動向
  • キャッシュレス化や認証方法に対する見解
  • EC決済市場予測(2018年度~2023年度予測)
  • 主要サービス提供事業者の将来展望
  • 主要サービス提供事業者の課題
  • 後払い決済サービス市場
    • 主要参入企業とサービス/開始時期一覧
    • 主要参入企業の本体事業分野別強みの傾向
    • 主要参入企業の主要提携先
    • 主要参入企業の料金体系
    • 決済額(取引金額推移)2015年度~2019年見込み
    • 決済額(取引金額推移)2019年~2023年予測

 

第Ⅲ章 プリペイド決済市場の実態と展望
  • プリペイド決済市場規模推移(2015~2019年度見込み)
  • 前払式支払い手段の主な具体例
  • プリペイド決済市場の市場規模予測(2019年度~2023年度)
  • チャージチャネル別のメリット・デメリット
  • 非接触IC型電子マネーの動向と展望
    • 主要決済サービスの実績動向
    • 非接触IC型電子マネーの決済額推移(2015~2019年度見込み)
    • 主要発行事業者の加盟店拡充に向けた取組み
    • 発行事業者の利用促進に向けた取組み
    • 非接触IC型電子マネーの市場規模予測(2019年度~2023年度)
  • サーバー管理型電子マネーの種類別の特徴
  • サーバー管理型電子マネー市場予測(2019年度~2023度)
  • ハウス/汎用型プリペイドカードの動向と展望
    • 主要発行企業一覧(2015年以降)
    • ハウス/汎用型プリペイドカード市場規模推移(2015~2019年度見込み)
    • ハウス/汎用型プリペイドカードの市場規模予測(2019年度~2023年度)
  • ブランドプリペイドの主要参入企業のサービス一覧
  • ブランドプリペイド市場規模推移(2015年度~2019年度見込み)
  • ブランドプリペイド市場予測(2019年度~2023年度)
  • ギフトカードモール市場規模推移(2015~2019年度見込み)
  • ギフトカードモール市場予測(2019年度~2023年度)
  • 主要ネットワーク型電子マネー発行事業者一覧
  • ネットワーク型電子マネーの基本構造
  • ネットワーク型電子マネーの収益モデル
  • ネットワーク型電子マネーの市場規模推移と予測(2015~2023年度)

 

第Ⅳ章 デビット決済サービスの実態と展望
  • デビットカードの市場規模推移と予測
  • 主要参入事業者一覧
  • デビット決済サービス市場規模(2015度~2019年度)
  • デビットカードの市場規模予測(2019年度~2023年度)

 

第Ⅴ章 クレジットカード市場の動向と展望
  • ショッピング取扱高推移(イシュアベース)
  • ショッピング取扱高予測(イシュアベース)
  • カード発行会社の業績推移
  • 業績および事業実績等の状況
    • 営業収益
    • 有効会員数
    • カード取扱高(ショッピング)
    • カード取扱高(キャッシング)

 

第Ⅵ章 コンタクトレス決済の動向分析
  • コンタクトレス決済市場の概念図
  • コンタクトレス決済市場規模推移と予測
  • 主たるコンタクトレス決済サービス
  • コンタクトレス決済市場規模推移(プリペイド/ポストペイ別:2015~2019年度見込み)
  • コンタクトレス決済市場規模予測(ポストペイ/プリペイド別:2019~2023年度)
  • ポストペイ型非接触IC型電子マネーの決済額推移(2015~2019年度見込み)
  • ポストペイ型非接触IC型電子マネーの市場規模予測(2019年度~2023年度決済額ベース)

 

第Ⅶ章 モバイル決済市場の動向分析
  • QRコード決済の概念図
  • モバイル決済市場規模推移と予測(2017年度~2023年度予測)
  • QRコード決済市場規模推移と予測
  • QRコード決済の4つの形
  • 主要QRコード決済事業者の動向
  • 主要QRコード決済事業者の経緯
  • 主要QRコード決済事業者の戦略
  • 主要QRコード決済事業者のビジネスモデル
  • 主要QRコード決済事業者の実績動向
  • 主要QRコード決済事業者の事業拡大策
    • 会員拡大策
    • 加盟店拡大策
    • 営業展開策
  • 主要QRコード決済事業者の今後の展開
  • モバイル決済市場規模予測

 

第Ⅷ章 決済端末ベンダーの取組み状況
  • 決済端末市場規模推移と予測
  • 主要決済端末ベンダーの概要、特徴
  • 主要決済端末ベンダーの実績動向
  • 主要決済端末ベンダーの事業拡大策
  • 主要決済端末ベンダーの課題
  • 決済端末事業者の今後の展開
  • スマートデバイス決済端末ソリューションの動向
  • マルチ決済サービス(QRコード決済)提供事業者の動向
  • マルチ決済サービス提供事業者の動向

 

第Ⅸ章 新決済サービス及び周辺サービスの動向分析
  • 資金移動業者数の推移
  • 資金移動業者として登録している事業者の一覧
  • 資金移動業の実績推移(2010年度~2017年度)
  • 資金移動業に関する法規制、許認可、参入障壁等
  • 新決済サービス提供事業者の状況

 

第Ⅹ章 個別企業の動向と取組み
GMOペイメントゲートウェイ、SBペイメントサービス、ソニーペイメントサービス、デジタルガレージ フィナンシャルテクノロジー・セグメント(ベリトランス/イーコンテクスト)、ペイジェント、ゼウス、ネットプロテクションズ、ティーガイア、ウェブマネー(WebMoney)、ビットキャッシュ(BitCash)、バリューデザイン、富士通エフ・アイ・ピー、凸版印刷、イオン銀行、常陽銀行、住信SBIネット銀行、セブン銀行、飛?信用組合(さるぼぼコイン)、ふくおかフィナンシャルグループ、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、楽天銀行、琉球銀行、楽天カード、三菱UFJニコス、三井住友カード、イオンフィナンシャルサービス、JCB、クレディセゾン、トヨタファイナンス、セディナ、オリエントコーポレーション、NTTドコモ、ジャックス、インコム・ジャパン、PayPay、LINE Pay、Origami、PAY(PAY.JP)、Paidy(Paidy)、Stripe、Kyash、パナソニック、オムロン ソーシアルソリューションズ、Ingenico Japan、Pax Japan、トランザクション・メディア・ネットワークス、GMOフィナンシャルゲート株式会社

…ほか

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関連リンク

■レポートサマリー
モバイル決済市場に関する調査を実施(2018年)
EC決済サービス市場に関する調査を実施(2018年)
EC決済サービス市場に関する調査を実施(2016年)

■アナリストオピニオン
キャッシュレス4.0~デジタル通貨の台頭によるキャッシュレス社会の進展~

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調査要綱

調査対象:国内の主要ペイメントサービスプロバイダー(PSP)、クレジットカード会社、プリペイド発行事業者、デビットカード発行事業者、QRコード決済サービス提供事業者、決済ソリューション提供事業者、端末ベンダー等
調査期間:2018年12月~2019年4月
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、文献調査を併用

※キャッシュレス決済市場とは:本調査におけるキャッシュレス決済市場は、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカードなどの現金以外の支払い手段で決済(支払)された金額を指し、市場規模は決済額ベースで算出している。また、その他にはキャリア決済等を含む。

<市場に含まれる商品・サービス>
クレジットカード、デビットカード、プリペイドカードのほか、オンライン決済サービス提供等

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高野 淳司(タカノ ジュンジ) 主任研究員
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