矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2017.01.24

eコクピット世界市場に関する調査を実施(2016年)

今後はモバイル端末との連携、情報系と車両の制御系を融合させて表示する、eコクピットが実用化されるものと考え、2022年の世界市場は800万台超を予測。

「eコクピット世界市場に関する調査を実施(2016年)」 小見出し一覧

 

車載情報系システムの方向性

現下、モバイルネットワークにおける情報の大容量化や高速化、また自動運転システムの進展に伴い車車間・路車間通信、ドライバモニタリングなどが想定されるなか、車載機、いわゆるカーナビゲーションシステムやカーオーディオ・映像受信といった車載情報系システムには2つの方向性があるものと考える。


ひとつはApple社のCarPlayやGoogle社のAndroid Autoなどに代表される車載OSにより、スマートフォンなどのモバイル端末と車載機を連携させるものであり、主に小型車や新興国向けの車両に搭載される車載情報系システムである。


もうひとつは高級車から搭載されるとみられるeコクピットである。eコクピットとは、センターディスプレイ、クラスタディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ(HUD)等を統合した車載HMI(Human Machine Interface)システムである。eコクピットは先進運転支援システム(ADAS; Advanced Driving Assistant System)とも連携し、運転者の状態を検知するとともに、運転者に警告・警報を行うシステムになるものと期待されており、将来は情報系と車両の制御系システムを総合して表示するシステムになるものとみられる。


こうしたなか、自動車メーカー各社は車載機に参入してきているIT事業者との差別化を図るべく、こうした情報系と車両の制御系システムを総合して表示するシステムの研究開発を進めている。

カーナビゲーションシステムやカーオーディオ・映像受信といった車載情報系システムはかつて、入力(スイッチ、タッチパネル、音声認識等)と出力(ディスプレイ、音声ガイド等による表示)が主な機能であったが、ここにきて第3の機能として情報の統合制御(表示選出)が加わった。この背景には現在普及の進んでいる先進運転支援システム(ADAS)搭載車が増加するなか、車両情報や外部環境情報など、運転者に対する情報量が大容量になることなどから、運転者に負担をかけることなく、表示内容に序列をつけ、必要な情報から伝えられるような表示選出機能が求められることがある。また、安全の面からも運転者への情報提供のみならず、運転操作支援における重要な役割を担うことになるものとみる。

【図表:車載HMIシステムの主な機能】

【図表:車載HMIシステムの主な機能
  • 矢野経済研究所作成

▲小見出し一覧に戻る

 

eコクピットの世界市場規模推移予測

【図表:eコクピット、カーナビゲーション・ディスプレイオーディオ(DA)の世界市場規模予測】

【図表:eコクピット、カーナビゲーション・ディスプレイオーディオ(DA)の世界市場規模予測】
  • 矢野経済研究所推計
  • 注:メーカー出荷数量ベース
  • 注:PND(Personal Navigation Device)を除く
  • 注:eコクピットとは車載カメラとの連携、危険警告、ヘッドアップディスプレイ(HUD)による緊急表示などを行う車載HMI(Human Machine Interface)システムを対象とする。注:ディスプレイオーディオ(DA)とはナビゲーション機能をもたない「ディスプレイ+AV機能(AM/FMラジオ程度)」製品である。オプションのリアビューカメラを装着すれば駐車支援システムにもなる。またスマートフォンと連携させれば、スマートフォン上のアプリケーション(音楽配信、ナビゲーション、SNSなど)をDAのモニター上で表示できる。

2016年のeコクピット世界市場規模はメーカー出荷数量ベースで、62万5,000台の見込みである。


2013年から2015年まではセンターディスプレイのカーナビゲーションおよびDA(ディスプレイオーディオ)が主流であり、2016年には第一世代eコクピットといわれるものが主に欧州の自動車メーカーから純正品として製品化されたが、まだ一部に留まっている。


現行のeコクピットはセンターディスプレイ、クラスタディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ(HUD)の統合型であるが、今後はモバイル端末との連携、近距離通信、デジタル地図、カーナビゲーション等の情報系と、先進運転支援システム(ADAS)を中心とする車両の制御系を融合させて表示する、eコクピットが実用化されるものとみる。


2016年から2022年までのeコクピット世界市場の年平均成長率(CAGR)は54.0%とみており、2022年には833万6,000台まで拡大するものと予測する。今後、eコクピットは自動運転システム搭載車の普及に伴い、増加していくものと考える。

▲小見出し一覧に戻る

 

参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 車載HMIの3つの役割
  • 車室内の表示・操作機器
  • 人と自動車のインタフェース
  • 自動運転のレベル0~5における機能内訳
  • 自動運転クラウドの現在
  • 自動運転クラウドの近未来
  • 監視カメラシステム・(総市場)世界エリア別構成2014年(台数ベース)
  • 欧州におけるeコクピット(車載セントラルコンピュータ)の概念と現状
  • 車載HMIシステムの推移(~16年/~20年/20年~近未来)
  • これまでの車載表示制御(分散型によるもの)
  • 2013年の車載表示制御第0.7世代eコクピット(統合HMI=セントラルコンピュータ)
  • 第1世代eコクピットの概念図
  • レベル3自動運転システムの全体構造例
  • 車載HMIの市場構造変化(今まで→2030年)
  • 日欧米中における乗用車のeコクピット/カーナビ/DA搭載実数・比率
  • 日本における乗用車のeコクピット/カーナビ/DA搭載実数・比率(2013~2022年)
  • 西欧5カ国における自動車のeコクピット/カーナビ/DA搭載実数・比率(2013~2022年)
  • 米国における自動車のeコクピット/カーナビ/DA/バックミラーモニタ搭載実数・比率(2013~2022年)
  • 中国における自動車のeコクピット/カーナビ/DA搭載実数・比率(2013~2022年)
  • 日米欧中のeコクピット搭載実数・比率(2013~2022年)
  • eコクピットと連携する制御系システム
  • eコクピットと融合する情報系システム
  • 入力系システム
  • 出力系システム
  • eコクピットによる変化
  • 車載HMIシステム一覧 外部機器取得情報
  • 車載HMIシステム一覧 ドライバーモニタリング
  • 車載HMI/テレマティクスサービスの3分類
  • 車載HMI統合制御(表示選出)システム
  • HMIワンチップ化へのOEMの姿勢
  • 予防安全技術とHMI技術の融合
  • クルマにおけるHMI/情報通信ADASの位置付け
  • ドライバ・ディストラクションによるHMI制御の処理フロー
  • HMIの統合ロードマップ
  • ディスプレイ統合化の動向
  • 車載HMIの品目別搭載時期
  • 新しいHMIの導入
  • 車載HMIの方向性と、重要度増す表示系
  • 車載用ディスプレイの搭載部位及び目的
  • 車載用ディスプレイ 部位別市場規模予測(純正+市販、枚数ベース、2013~2022年予測)
  • eミラーの働き
  • eミラーのモニタ位置
  • HUDカラー化の歴史
  • これまでのHUDの調達
  • コンバイナ型HUDの調達
  • 車両あたりのカメラ数
  • 車載カメラの品目別単価
  • 世界の自動車販売推移(2011~2020年、台数、WW・日・欧・米・中・その他)
  • 世界の車載カメラ搭載実数・比率推移(2011~20年、台数、欧米日中、リア/フロント/サイド/車室内/赤外線)
  • 世界の車載カメラ搭載実数・比率推移(2011~20年、台数、欧米日中、リア/フロント/サイド/車室内)
  • 搭載位置による車載カメラ実数・比率(2011~2020年、台数、リア/フロント/サイド、欧米中日)
  • 搭載位置による車載カメラ実数・比率(2011~2020年、台数、車室内/赤外線、欧米中日)
  • 欧州の車載カメラ搭載実数・比率推移(2011~20年、台数、欧州、リア/フロント/サイド/車室内/赤外線)
  • 欧州の車載カメラ搭載実数・比率推移(2011~20年、台数、欧州、リア/フロント/サイド/車室内)
  • 米国の車載カメラ搭載実数・比率推移(2011~20年、台数、米国、リア/フロント/サイド/車室内/赤外線)
  • 米国の車載カメラ搭載実数・比率推移(2011~20年、台数、米国、リア/フロント/サイド/車室内)
  • 中国の車載カメラ搭載実数・比率推移(2011~20年、台数、中国、リア/フロント/サイド/車室内/赤外線)
  • 中国の車載カメラ搭載実数・比率推移(2011~20年、台数、中国、リア/フロント/サイド/車室内)
  • 日本の車載カメラ搭載実数・比率推移(2011~20年、台数、日本、リア/フロント/サイド/車室内/赤外線)
  • 日本の車載カメラ搭載実数・比率推移(2011~20年、台数、日本、リア/フロント/サイド/車室内)
  • 車載アプリ別 周囲検知センサとカメラ需要
  • OEMが既に市場投入しているドライバモニタリング装置一覧
  • ドライバモニタリングで計測する対象・内容
  • デンソーの市販HMIユニット「くるくるピ
  • 既存の主要居眠り運転防止装置一覧
  • 既存の主要車内アルコール検出システム一覧
  • 既存の生体データ協調システム一覧
  • 研究・開発中の主要視線検知システム一覧
  • 研究・開発中の主要生体データ協調システム一覧
  • ドライバモニタリングの品目別搭載時期
  • 監視カメラシステム・(総市場)世界エリア別構成2014年(台数ベース)
  • 市場投入されているジェスチャー認識システム一覧
  • 研究・開発されているジェスチャー認識システム一覧
  • 研究・開発されている触感インタフェースシステム一覧
  • 主要各社 車載音声認識の開発・研究状況
  • 車載音声認識アプリの搭載ロードマップ
  • 市場投入されている主要な『ウェアラブルデバイス ×車載HMI』一覧
  • デンソーの市販HMIユニット『くるくるピ』
  • デンソー『くるくるピ』のコントローラデバイスバリエーション例
  • デンソー『くるくるピ』のシステム構成
  • デンソー『くるくるピ』のサービス例
  • くるくるピのサービス提供者のメリット
  • 研究・開発されている主要な『ウェアラブルデバイス ×車載HMI』一覧
  • 研究・開発されている主要な車載タブレット一覧
  • AR技術の車載HMI利用に動いている主要企業一覧
  • 車内照明のHMI利用に動いている主要企業一覧

▲小見出し一覧に戻る

 

関連リンク

■アナリストオピニオン
eパレット(e-Palette)は2020年代の『どこでもドア』である
「あなたは見られている!」 ドライバモニタリングの裏側で密かに進む自動運転時代のビジネスモデル

■同カテゴリー
[周辺機器]カテゴリ コンテンツ一覧
[アプライアンス(専用端末)]カテゴリ コンテンツ一覧
[ソフトウェア]カテゴリ コンテンツ一覧
[ITS]カテゴリ コンテンツ一覧

▲小見出し一覧に戻る


調査要綱

調査期間:2016年1月~9月
調査対象:国内・海外の主要自動車メーカー、一次部品メーカー(Tier1)等
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

※eコクピット/車載HMI(Human Machine Interface)とは:本調査におけるeコクピットとは車載カメラとの連携、危険警告、ヘッドアップディスプレイ(HUD)による緊急表示などを行う車載HMI(Human Machine Interface)システムを対象とする。将来的にはカーナビゲーションのような情報や音楽・映像配信などのインフォテインメント(情報・娯楽)機能のみならず、クルマそのものの基本機能(走る+曲がる+止まる)に加え、先進運動支援システム(ADAS; Advanced Driving Assistant System)と連携した表示システムとなる。

森 健一郎(モリ ケンイチロウ) 主席研究員
市場の分析は、数字だけには留まりません。得られた数字の背景には、開発担当のパッションや、販売担当のため息、消費者の感覚の変化・・・など様々な人間くささがあります。こうした背景を踏まえたコメントを丹念に拾い、市場の将来像を予測分析していきたいと考えています。

YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。

YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。

東京カスタマーセンター

03-5371-6901
03-5371-6970

大阪カスタマーセンター

06-6266-1382
06-6266-1422