矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2016.12.14

次世代型モニタリングの可能性調査を実施(2016年)

IoT関連テクノロジーを活用した次世代型モニタリングは、テスト導入から普及段階へ。2030年頃からは、中小メーカー分を含めたほぼすべての製造機器・設備でその活用が見られると予測。

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次世代型モニタリングとは

【図表:次世代型モニタリングの概念図】

【図表:次世代型モニタリングの概念図】
  • 矢野経済研究所作成

次世代型モニタリングとは、近年注目されるIoT関連テクノロジーを活用した遠隔監視システムで、センサーネットワークやM2Mなどで収集した膨大なデータを、クラウドやビッグデータなどの技術で集積し、解析・アナリティクス・AIテクノロジーなどを用いて分析・判断・評価を行う仕組みである。
従来型の遠隔監視との違いは、IoT関連テクノロジーを用いて、低コストで高利便性の機能を実現することである。例として、製造業における設備保全をあげれば、時間を基準とする時間基準保全(TBM;Time Based Maintenance)という予防保全から、状態基準保全(CBM;Condition Based Maintenance)への移行、さらに最近では故障予知・保全予測への期待が高まっている。また、高度経済成長期に急速に整備・普及が進んだ国内の社会インフラは、既に築50年が経過した施設も多く、その保全対策は喫緊の課題となっている。

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分野別の次世代型モニタリングの普及予測シナリオ

次世代型モニタリングは、工場・製造及び社会インフラ・防災分野でテスト導入や実証試験が始まっており、徐々にその普及が進むとともに、建設業や運輸・倉庫業などの現場作業者向け健康管理(ヘルスケアモニタリング)へと適用領域が広がっていくと予測する。これらの3分野における普及予測を、下図にとりまとめた。

【図表:次世代型モニタリングの普及予測シナリオ】

【図表:次世代型モニタリングの普及予測シナリオ】
  • 矢野経済研究所作成
  • 注:本調査における次世代型モニタリングとは、IoT関連テクノロジー(クラウド/ビッグデータ、解析・アナリティクス/AI・機械学習等)を活用した遠隔監視のための仕組みを指す。本調査では、ITベンダーから外販されるサービス/ソリューションを対象とし、ユーザ企業・団体が自社で開発したシステム(オンプレミス)や各種機器・設備メーカーが提供する保守/メンテナンスのためのサービスは除く。
  • なお、ITベンダーから外販されているサービス/ソリューションには、「Facteye」、「メンテりてぃくす」、「DoctorCloud」、「Facility Monitoring Service」「Operational Data Management & Analytics」、「Industrial IoT」、「MMCloud」などがある。

■工場・製造分野
2020年頃までは、組立製造業やFA機器・ロボット導入工場、プロセス製造業(プラント)などでの大手企業が主導し、2020年頃からは年商規模500~2,000億円程の中堅・準大手メーカーが普及の中心になる。さらに2030年頃からは、中小メーカー分を含めたほぼすべての製造機器・設備で次世代型モニタリングが標準設備となり、その活用が見られると予測する。

■社会インフラ・防災分野
2020年頃までは、人命に関わるような、ないしは、社会的な影響が甚大な領域から優先的に適用されると考える。そのため短期的には、防災関連(冠水や河川監視、のり面監視など)での導入が見込まれる。2020年以降になると、高速道路や直轄国道、鉄道を中心とした主要な社会インフラ(インフラ構造物)への導入が始まる。2030年前後には、地方自治体レベルの社会インフラ(インフラ構造物)への普及が進むと予測する。

■健康管理(ヘルスケアモニタリング)分野
現場作業者向けヘルスケアモニタリングは、2016年頃から建設業を中心にテスト導入や実証試験が始まっており、比較的早い時期に普及期に入る。建設業や運輸・倉庫業などの現場作業では、屋外作業や高温下での作業、高所作業など、厳しい環境下での仕事が少なくない。特に近年では、熱中症対策が現場作業における大きな課題となっており、そうした業務へのヘルスケアモニタリング活用への期待は大きい。また近年、健康経営/医療経営といったコンセプトが企業に浸透しつつあり、この事も作業者の健康管理に注目が集まる要因となっている。
2020年頃までには、大手ゼネコンの建設現場作業者、長距離ドライバーなどの健康管理及び安全管理に活用されてくると見る。その後2030年頃までに、中堅規模ユーザへの浸透や、製造業や警備業、倉庫業、公共セクター(電力・ガス施設等)などでの適用業務・業種の拡大が進み、多くの作業現場において普及する見通しである。2030年頃には、現状の定期健康診断や産業医の配置、ストレスチェックの義務化といった取り組みと同様に、従業員の健康管理での標準の扱いになる可能性もあると予測する。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

■遠隔監視の現状とITモニタリング(次世代モニタリング)
  • 遠隔監視での対象分野・領域
  • 遠隔監視/ITモニタリングの範囲
  • 遠隔監視とITモニタリング
  • ITモニタリングで活用されるICT技術
  • AIの概要図
  • AI活用のロードマップ(2015年~2030年)
  • 設備保全の変遷
  • CBMの変遷予想
  • CBM適用領域での浸透度合い
  • FAとICTの融合イメージ
  • スマート工場/デジタル工場への取り組み
  • インダストリー4.0 プラットフォーム
  • インダストリー4.0プラットフォーム運営委員会メンバー
  • インダストリアル・インターネットにおけるデータ・知見の流れ
  • 道路インフラ構造物の概況
  • JR東日本のスマートメンテナンス構想
  • ヘルスケアモニタリングの評価割合
  • 主要ベンダーのヘルスケアモニタリングへの取り組み
■ITモニタリング市場規模
  • 工場・製造向けITモニタリングシステムの普及予測(累計)
  • 健康管理向けITモニタリングシステムの普及予測(累計)
■ITモニタリングの将来見通し
  • 工場・製造でのビジネスモデルの変遷予想
  • 社会インフラ・防災でのITモニタリング普及予測
  • 健康管理(ヘルスケアモニタリング)でのITモニタリング普及予測
■工場・製造で利用する生産設備・機器/ユーティリティ設備
  • 工場での遠隔監視のイメージ   
  • 利用している生産設備・機器/ユーティリティ設備の概要
■現状での遠隔監視/ITモニタリングへの取り組み   
  • 遠隔監視/ITモニタリングへの取り組み(工場内)   
  • 遠隔監視/ITモニタリングへの取り組み(工場外)
■今後の遠隔監視/ITモニタリングへの取り組みの方向   
  • 今後の遠隔監視/ITモニタリングへの取り組み(工場内)   
  • 今後の遠隔監視/ITモニタリングへの取り組み(工場外)
■現在のIoTへの取り組み   
  • 現在のIoTへの取り組み
■今後のIoT活用の方向   
  • 今後のIoT活用の方向
■遠隔監視対象の社会インフラ・防災施設
  • 遠隔監視の対象となる社会インフラ・防災施設   
  • 遠隔監視/監視対象の社会インフラ
■遠隔監視/ITモニタリングへの取り組み
  • 遠隔監視/ITモニタリングへの取り組み
■遠隔監視の問題点・課題
  • 遠隔監視での問題点・課題
■今後の遠隔監視/ITモニタリングへの取り組み   
  • 遠隔監視/ITモニタリングの方向
■社会インフラ監視におけるIoT(ITモニタリング)への取り組み   
  • 現在のIoTへの取り組み
■社会インフラ監視におけるIoT(ITモニタリング)活用の方向   
  • 今後のIoT活用の方向
■現場作業者の健康管理が求められる背景   
  • 厳しい作業環境のある現場
■健康管理に対する取り組み   
  • 作業者の健康管理への取り組み
■ヘルスケアモニタリングへの取り組みと評価   
  • ヘルスケアモニタリングの評価割合
■ヘルスケアモニタリング導入での想定トリガー   
  • トリガーと想定されるイベント
■ヘルスケアモニタリング導入での課題と対策   
  • ヘルスケアモニタリング導入での課題と対策
  • ヘルスケアモニタリングの可能性
  • DoctorCloud(日立グループ)
  • ODMA(Operational Data Management & Analytics)予兆監視モデル(富士通)
  • コルソス CSDJシリーズ(NECプラットフォームズ)
  • MMCloud(安川情報システム)
  • Facteye(CEC)
  • Industrial IoT(横河ソリューションサービス)
  • CareQube+(クオリカ)
  • メンテりてぃくす(TIS)
  • Super CMS-10000(JFEアドバンテック)
  • i-SENSOR2(応用地質)
  • 斜面監視システム(沖電気工業)
  • 電源レス映像監視システム(ブレインズ)
  • ユビキタスウェア/バイタルセンシングバンド(富士通)
  • ユビキタスウェア/ロケーションバッジ・タグ(富士通)
  • Machine Fitness System(新川電機)
  • ばらまき型傾斜計(オサシ・テクノス)
  • T-MCMA(高田工業所)
  • 炭酸ガス地上漏洩常時監視システム(中外テクノス)
  • 次世代機関状態監視システム「CMAXS e-GICSX」(三井造船)
  • その他の遠隔監視/ITモニタリング関連事例
■<ベンダー調査>
  • NECプラットフォームズ株式会社
  • TIS株式会社/クオリカ株式会社
  • 株式会社シーイーシー
  • 富士通株式会社
  • 安川情報システム株式会社
  • 横河ソリューションサービス株式会社
■<ユーザ調査:工場・製造>
  • 製造1:輸送用機械製造
  • 製造2:飼料製造
  • 製造3:非鉄金属製造
  • 製造4:化学品製造
  • 製造5:非鉄金属製造
  • 製造6:業務用機器製造
  • 製造7:酒類製造
  • 製造8:食品製造
  • 製造9:自動車部品製造
  • 製造10:工業計器製造
  • 製造11:輸送用機械製造
  • 製造12:化学品製造
  • 製造13:電気機械製造
  • 製造14:食品製造
  • 製造15:非鉄金属製造
  • 製造16:食品製造
  • 製造17:酒類製造
  • 製造18:業務用機械製造
  • 製造19:半導体製造装置製造
  • 製造20:食品製造
  • 製造21:食品製造
  • 製造22:情報通信機器製造
  • 製造23:電子機器製造
  • 製造24:飲料製造
  • 製造25:食品・食品原料製造
  • 製造26:非鉄金属製造
■<ユーザ調査:(自治体)社会インフラ・防災>
  • 社会インフラ・防災1:河川管理部門(河川/防災・維持管理)
  • 社会インフラ・防災2:道路保全・橋梁管理部門(橋梁・トンネル/維持管理)
  • 社会インフラ・防災3:下水道管理部門(管理センター)
  • 社会インフラ・防災4:道路保全部門(道路・危険個所/防災)
  • 社会インフラ・防災5:道路維持・管理部門
  • 社会インフラ・防災6:上下水道部門
  • 社会インフラ・防災7:河川・下水道管理部門(河川/防災・維持管理)
  • 社会インフラ・防災8:道路維持・管理部門(道路/防災)
  • 社会インフラ・防災9:水道部門(上下水道、浄水場)
  • 社会インフラ・防災10:河川管理部門
  • 社会インフラ・防災11:下水道施設部門
  • 社会インフラ・防災12:道路保全・管理部門
  • 社会インフラ・防災13:道路・河川管理部門(道路/防災・維持管理)
  • 社会インフラ・防災14:河川工務部門
  • 社会インフラ・防災15:下水道・下水ポンプ施設部門(下水道・浄水場/維持管理)
  • 社会インフラ・防災16:道路維持部門
  • 社会インフラ・防災17:道路/橋梁・アセット管理部門(橋梁/維持管理)
  • 社会インフラ・防災18:道路環境維持・管理部門(道路/維持管理・防災)
  • 社会インフラ・防災19:河川・ダム管理部門(河川・ダム/維持管理・防災)
  • 社会インフラ・防災20:道路保守管理部門
  • 社会インフラ・防災21:道路管理部門(橋梁、トンネル管理)
  • 社会インフラ・防災22:河川部門
  • 社会インフラ・防災23:道路保全部門(道路・危険個所/防災・維持管理)
  • 社会インフラ・防災24:土木交通・流域政策部門
  • 社会インフラ・防災25:道路維持部門

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関連リンク

■レポートサマリー
国内工場・製造分野への次世代モニタリングシステム普及率を予測(2018年)

■アナリストオピニオン
遠隔監視業務は次世代モニタリング(ITモニタリング)に移行する

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調査要綱

調査期間:2016年8月~11月
調査対象:ITベンダー、ユーザ企業・団体(地方自治体・公共団体、各種製造業、建設業、運輸・倉庫業、サービス業等)
調査方法:電話調査を主体に、一部弊社専門調査員による直接面談調査及び文献調査を併用

※次世代型モニタリングとは:本調査における次世代型モニタリングとは、IoT関連テクノロジー(クラウド/ビッグデータ、解析・アナリティクス/AI・機械学習等)を活用した遠隔監視のための仕組みを指す。本調査では、ITベンダーから外販されるサービス/ソリューションを対象とし、ユーザ企業・団体が自社で開発したシステム(オンプレミス)や、各種機器・設備メーカーが提供する保守/メンテナンスのためのサービスは除く。

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早川 泰弘(ハヤカワ ヤスヒロ) 主任研究員
産業調査/マーケティング業務は、「机上ではなく、現場を回ることで本当のニーズ、本当の情報、本当の回答」が見つかるとの信念のもと、関係者各位との緊密な関係構築に努めていきます。日々勉強と研鑽を積みながら、IT業界の発展に資する情報発信を目指していきます。

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