矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2016.08.10

クラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)市場に関する調査を実施(2016年)

IoTにも牽引され、拡大するクラウド基盤サービス

クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場の概況

2015年のクラウド基盤サービス市場は、事業者売上高ベースで前年比39.1%増の1,260億円と引き続き大きく成長した。ユーザー企業での導入事例の公開などにより、企業のエンタープライズ分野でクラウド基盤サービスを活用するケースが増加していることや、複数のクラウドを適材適所に使い分けるハイブリッドクラウド/マルチクラウドといった手法の利用が大規模なユーザー企業を中心に拡大していること、企業内における情報のデジタル化進展などにより、クラウド基盤サービス市場は順調に成長を続けている。
特にクラウド基盤サービス市場を牽引しているのは、PaaS(Platform as a Service、以下 PaaS)である。PaaSは、ITインフラの構築や運用保守が不要というだけでなく、提供されている様々なツールを組み合わせることで、競合他社との差異化につながるアプリケーションを開発でき、ビッグデータや機械学習、IoT(Internet of Things、以下IoT)※のバックエンドとしても有望視されており、近年急速に市場が拡大している。

【図表:クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場規模推移と予測】

【図表:クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場規模推移と予測】
  • 矢野経済研究所推計
  • 注:事業者売上高ベース
  • 注:市場規模にSaaS(Software as a Service)を含まない
  • 注:表中のCAGRは2013年から当該年までの年平均成長率
  • 注:2016年以降は予測値

※参考資料:
センサーネットワークシステム数を予測(2016年)」(2016年7月15日発表)
ビッグデータ市場に関する調査結果2016」(2016年3月31日発表)

注目すべきクラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場の動向

■クラウドエコシステムの進展
クラウド基盤サービスの活用は普及期に入った。本格的な普及期に入ったことでクラウド基盤サービス提供事業者には、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客の利用量拡大、顧客との長期にわたる関係構築などが求められるようになった。そのためには、できるだけ多くのパートナー企業※1のクラウド向けサービスを自社のクラウドエコシステムに取り込むことが必要である。クラウドサービス提供事業者は、パートナープログラムの刷新や新設などによって、サービスベンダーがパートナーになりやすい環境やパートナー同士が連携しやすい仕組みをつくり、エコシステム(多くの企業が共存共栄をはかれるビジネスの仕組み)の拡大を図っている。近年は営業支援や情報提供など金銭以外のインセンティブを重視するパートナー企業が多く、パートナープログラムもサービスの充実が重視されている。

■ハイブリッドクラウド/マルチクラウドの利用増で、情報システム部門の運用負荷が増加
ユーザー企業では、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドを利用してビジネスを強化する動きが活発化しているが、一方では情報システム部門の運用負荷の増加にもつながっている。こうした運用負荷の軽減や最適化のために、複雑化したクラウド環境を統合管理するマネージドクラウドサービスを提供する事業者が増加基調にある。今後は、クラウド基盤サービス市場の成長とともに、クラウド支援サービス市場も拡大していくと予測する。

※1参考資料:
ECサイト構築市場/ECサイト運営代行市場に関する調査結果2015」(2016年2月25日発表)
DMPサービス市場/MAサービス市場に関する調査結果2015」(2015年12月14日発表)

クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場の将来展望

クラウド基盤サービスの利用は本格化し、機能の充実や使いやすさが求められるようになった。近年、IoTが注目されているが、自社でIoT関連のサービスをゼロから構築することは、技術的にも、また費用面においても負担が大きい。しかし、クラウド基盤サービス提供事業者が提供するIoTプラットフォームを活用すれば簡単にIoTを導入できる。
これまで、高い技術力や資本力を持たないとIoTビジネスに取り組むことができないと考えられてきた。しかし、クラウド基盤サービスを活用すれば、それらを持たずともIoTビジネスに取り組むことができると考える。中堅・中規模のユーザー企業の中にも、クラウド基盤サービス提供事業者が提供するIoTプラットフォームを中心としたPaaSを利用し、IoTビジネスに積極的に取り組むユーザー企業が出始めている。そうした動きにも後押しされ、クラウド基盤サービス市場は、2016年以降も高成長を維持していき、2019年のクラウド基盤サービス市場規模(事業者売上高ベース)は、3,500億円に達すると予測する。

関連リンク

■レポートサマリ
クラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)市場に関する調査結果 2015
クラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)市場に関する調査結果 2014


調査要綱

調査期間:2016年5月~7月
調査対象:国内クラウド基盤サービス提供事業者等
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリングを併用

※クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービスとは:本調査におけるIaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)とは、いずれもパブリッククラウド(サービス提供事業者のクラウド基盤)を利用し、インターネット経由で提供される仮想化技術、自動化技術等を施したクラウドコンピューティング環境をさす。市場規模は事業者売上高ベースにて算出した。なおSaaS(Software as a Service)は含まない。

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小山 博子(コヤマ ヒロコ) 上級研究員
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