矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2016.05.16

EC決済サービス市場に関する調査を実施(2016年)

インターネットショッピングの浸透やスマートフォンの普及によるEC市場の伸長に加え、現金が主流であった公共料金や家賃、教育費などで決済サービスの利用が増加。

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EC決済サービスの市場概況

ネットショッピングの浸透やスマートフォンの普及により、消費者がより多くの商品情報にアクセスできるようになり、場所を選ばずにインターネットを通じて、気軽にショッピングができる環境が整った。また、ECサイトに加えて、リアル店舗の強みを生かしたO2O(Online to Offline)やオムニチャネル※1への取組みにより、消費者に対して最適な消費体験(UX:ユーザーエクスペリエンス)を提供する試み※2が進展している。

また、EC市場の伸長に加え、今まで現金決済が主流であった生活関連分野(公共料金や家賃、教育、冠婚葬祭などの費用)における決済サービスの利用が増加しており、2014年度のEC決済サービス市場(ECサイト向けの決済サービス提供事業者取扱高ベース)は、前年度比12.2%増の8兆3,138億円まで拡大した。

※1.オムニチャネルとは、実店舗やオンラインストアなどのあらゆる販売チャネルや流通チャネルを統合すること、及びそうした統合チャネルの構築によって、どのような販売チャネルからも同じように商品を購入できる環境をさす。
※2.参考資料:クレジットカードショッピング市場に関する調査結果2015(2015年11月11日発表)

【図表:EC決済サービス市場規模推移と予測】

【図表:EC決済サービス市場規模推移と予測】
  • 矢野経済研究所推計
  • 注:ECサイト向けの決済サービス提供事業者の取扱高ベース
  • 注:2015年度以降は予測値

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EC決済サービスの注目すべき動向

■越境ECによるEC決済サービス拡大の可能性※3
近年、注目を集める越境ECによるEC決済サービスの拡大も期待されている。現状、日本のECサイト運営事業者は、越境ECの事業展開に関しては慎重であり、越境ECによるEC決済サービスの規模拡大は限定的であるという見方もある。しかしながら、今後、訪日外国人客が日本滞在中に購入した商品を帰国後に越境ECで購入するなどの消費行動を起こすことは十分に考えられる。

■決済サービスの多様化への対応
ECサイト向けの決済サービス提供事業者は、従来からのクレジットカード決済に加え、クレジットカード情報入力が不要でIDとPWでログインすれば使えるID決済やキャリア決済を、ECサイト運営事業者への提案ラインナップに加えることで、他の決済サービス提供事業者との差別化に取組んでいる。今後は、海外向けコンテンツ販売のための多通貨決済や、加盟店を支援する後払い決済などを軸としたサービス展開を推進する事業者が増加すると考える。

■FinTech系スタートアップの台頭※4
FinTech(フィンテック)系スタートアップ(ベンチャー企業)の台頭により、さまざまな新決済サービスが誕生している。具体的には、従来よりも手数料率が低い決済サービスや、携帯電話番号やメールアドレスを活用して決済を可能とする後払いサービスなどの新決済サービスが挙げられる。現状では、加盟店向けのサービスが主流であるが、今後はIDを活用して、その利用履歴やインターネット上の情報に基づいた与信情報で決済ができるサービスといったイシュア(カード発行会社)向けの決済サービスの展開が期待されている。

■商品受取方法の多様化
ECサイト運営事業者は、送料を有料にすると、リアル店舗との価格競争力を保てないケースが出てくるため、大手ネットショップを中心に送料無料化を推進する動きが出てきている。それに伴い、商品受取方法の多様化が進んでいる。具体的には、駅に設置した専用ボックスで好きな時間に商品を受け取ることができるサービスや、コンビニエンスストアなどと提携し、自宅の近くのコンビニエンスストアで商品を受け取ることができるサービスなどが徐々に増加している。

※3.参考資料:ECサイト構築市場/ECサイト運営代行市場に関する調査結果 2015(2016年2月25日発表)
※4.参考資料:国内 FinTech(フィンテック)市場に関する調査結果 2015(2016年3月10日発表)

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EC決済サービスの将来予測

2020年の東京オリンピック開催予定に向けて、今後も訪日外国人客の増加が見込まれ、利便性向上のためにキャッシュレス化推進の機運が高まることなどに関連して、EC市場の拡大が期待できる。他にも、オムニチャネルの進展や商品受取方法の多様化、越境ECの拡大などにより、EC市場は引き続き伸長すると考える。また、今まで現金決済が主流であった領域における決済サービスの利用率の上昇や新決済サービスの台頭により、消費者の利便性が向上し、EC決済サービス市場も拡大基調を維持していく。2020年度のEC決済サービス市場(ECサイト向けの決済サービス提供事業者取扱高ベース)は、15兆6,288億円まで拡大すると予測する。

今後、新しいテクノロジーを活用した決済サービスが多数開始されるが、ユーザーのさまざまなニーズに基づいたサービスのみが、長く利用される決済サービスとして浸透していくと考える。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • オンライン決済サービスプロバイダー市場の全体像
  • オンライン決済サービスプロバイダー市場規模
  • オンライン決済サービスプロバイダー市場予測
  • EC市場規模推移
  • 年齢階級別インターネット利用率の推移(個人)(平成24年度末~平成26年度末)
  • EC利用頻度(2014年:n=28,719)
  • 情報通信機器別インターネットの利用状況
  • インターネット利用時の不安の有無
  • インターネット利用時の不安の内容
  • ソーシャルメディアの利用状況(個人)
  • ソーシャルメディアの利用状況(法人)
  • デジタルテレビなどのインターネット接続機能の接続状況
  • デジタルテレビなどのインターネット接続機能の利用状況
  • デジタルテレビなどのインターネット接続機能の利用目的
  • デジタルテレビなどのインターネット接続機能の利用意向(世帯)
  • ECにおける決済サービス別の市場規模とシェア(2014年度)
  • 決済方式別シェア(2014年度)
  • EC市場規模予測
  • 主要参入企業一覧
  • オンライン決済サービスプロバイダーの流通総額
  • EC決済サービス提供事業者の流通額(eコマースのみ)
  • 主要EC決済代行業者の取扱高推移
  • 主要EC決済代行業者の営業収益推移
  • 主要EC決済代行事業者の決済件数推移
  • 主要EC決済代行業者の加盟店数
  • 主要EC決済サービス提供事業者の決済方式一覧
  • 決済サービスプロバイダーの決済サービス拡充に関する取組み
  • 決済サービス提供事業者の営業チャネル強化への取組み
  • 主要決済サービス提供事業者の考えるECにおける重点分野
  • 主要決済サービス提供事業者の対面分野の強化に関する取組み
  • 主要サービス提供事業者のシステム投資の動向
  • 主要決済代行業者のサービス動向
  • 主要決済代行業者のシステムやサービスの対応状況①
  • 主要決済代行業者のシステムやサービスの対応状況②
  • EC決済市場規模予測
  • EC決済市場規模予測
  • 主要新決済サービスのポジショニング
  • 主要参入企業一覧
  • 主要参入企業の特徴一覧
  • ECにおけるFinTech系のスタートアップの市場規模予測
  • 主要参入企業とサービス/開始時期一覧
  • 主要参入企業の本体事業分野別強みの傾向
  • 主要参入企業の主要提携先
  • 主要参入企業の料金体系
  • 決算額(取引金額推移)
  • 決算額(取引金額推移)2014年~2020年予測
  • ECサイト構築/運営代行市場規模推移(2013~2015年度見込み)
  • ECサイト構築/運営代行市場規模予測(2016年度~2020年度)
  • 訪日外客数推移(2008年~2014年)
  • 加盟店端末のIC化対応の状況
  • ショッピング取扱高推移(イシュアベース)
  • ショッピング取扱高シェア(イシュアベース)
  • 主要25社の営業収益
  • 主要19社の業績推移
  • 主要カード会社別取扱高推移(2010年度~2016年度予測)
  • ショッピング取扱高予測(イシュアベース)
  • モバイル決済端末ソリューション市場予測
  • ソフトバンク・ペイメント・サービス
  • GMOペイメントゲートウェイ
  • econtext Asia Limited(ベリトランス/イーコンテクスト)
  • ソニーペイメントサービス
  • ペイジェント
  • ゼウス
  • テレコムクレジット
  • ユニヴァ・ペイキャスト
  • Cloud Payment
  • ルミーズ
  • ネットプロテクションズ
  • キャッチボール
  • ヤマトフィナンシャル
  • 佐川フィナンシャル
  • エクスチェンジコーポレーション(Paidy)
  • メタップス(SPIKE)
  • BASE(PAY.JP)
  • Stripe
  • Boku Network Services, Inc
  • Kyash

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関連リンク

■レポートサマリー
EC決済サービス市場に関する調査を実施(2020年)
ECサイト構築市場/ECサイト運営代行市場に関する調査結果2015
国内キャッシュレス決済市場に関する調査を実施(2019年)
クレジットカード市場に関する調査を実施(2018年)
クレジットカードショッピング市場に関する調査結果2015
ECサイト構築支援サービス市場に関する調査を実施(2017年)
プリペイド決済市場に関する調査を実施(2016年)
ブランドプリペイド市場に関する調査結果2015
国内FinTech(フィンテック)市場に関する調査を実施(2019年)
国内FinTech(フィンテック)市場に関する調査結果 2015

■アナリストオピニオン
キャッシュレスによる店舗等の支援を
キャッシュレス4.0~デジタル通貨の台頭によるキャッシュレス社会の進展~

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調査要綱

調査期間:2015年11月~2016年1月
調査対象:ECサイト向けの決済サービス提供事業者PSP:ペイメントサービスプロバイダー、モバイル・キャリアビリング・アグリゲーター等を含む)
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

※EC決済サービスとは:本調査におけるEC決済サービスとは、ECサイト運営事業者と決済サービス提供事業者との間に入り、ECサイト運営事業者において発生する決済業務を代行するサービスをさす。

※EC決済サービス市場とは:本調査におけるEC決済サービス市場とは、ECサイト向けの決済サービス提供事業者の取扱高ベースで算出した。

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高野 淳司(タカノ ジュンジ) 主任研究員
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