矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2022.05.16

コロナ禍におけるBtoC ECの動向‐BtoC ECにおいて取扱高が拡大するコード決済(オンライン)とBNPL-

横ばいに推移したBtoC EC市場

経済産業省の「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によれば、2020年の日本国内のBtoC EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、19兆2,779億円(前年比0.43%減)となった。
うち最も構成比が高い分野が物販系分野12兆2,333億円(前年比21.71%増)となっており、これにサービス系分野4兆5,832億円(前年比36.05%減)、デジタル系分野2兆4,614億円(前年比14.90%増)が続いている。また、EC化率に関しても8.08%(前年比1.32ポイント増)と年々加速している。新型コロナウイルスの影響による巣ごもり消費に伴って、物販系分野のBtoC EC市場は大きく拡大した。一方で、サービス系分野で大きな割合を占めている旅行サービス等が激減したため、BtoC EC市場全体としては横ばいに推移した。

【図表:BtoC EC市場規模推移】

【図表:BtoC EC市場規模推移】

経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」
注:上段: 決済額、下段: 前年度比
注:BtoCのみのデータを掲載

BtoC EC市場の展望

国内におけるBtoC EC市場では、コロナ禍の巣ごもり消費の高まり等を背景に、物販・デジタルコンテンツ等において、大手ECモールやECサイトの流通額が拡大している。ただし、これらの領域に関しては巣ごもり消費の反動という点から、同様のペースでの長期的な拡大は難しいだろう。
また、コロナ禍において外出自粛となったことで、小売事業者や飲食事業者等がオンラインの購買チャネルを設けるようになっている。モバイルオーダーや飲食デリバリー等の利用が増え、オンライン診療も実現するなどして、EC市場の裾野が広がっている。
今後、BtoC EC市場は、裾野の拡大に加えて、旅行等の新型コロナウイルスの影響を受けて減少した領域の消費が回復していくことから、拡大すると予測する。

BtoC ECにおける決済手段

次に、BtoC EC市場を決済手段別にみていく。まず、決済手段としてはクレジットカードによる取扱高が大きく、半分以上を占めている。また、最近急速に取扱高を拡大している決済手段としては、コード決済(オンライン)とBNPL(後払い決済サービス)等のオンライン決済サービスが挙げられる。

コード決済(オンライン)の動向

主要コード決済サービスにおいて、リアルだけでなくオンラインでの決済が可能となっている。たとえば、PayPayはPayPayモールやヤフー関連サービス、d払いはAmazon等のECで決済できる。
オフラインでコード決済サービスの利用が急拡大するなか、オンラインにおいて従来キャリア決済を利用していたユーザーがコード決済(オンライン)へシフトする流れも出ている。今後コード決済サービスはスーパーアプリ化に向けて様々な機能の拡充に取組むと予測され、多くの人々の日常生活にさらに浸透していくだろう。それに伴って、ECにおいてコード決済(オンライン)により決済するケースも増えていくと想定でき、コード決済(オンライン)の取扱高は一層拡大するとみる。

BNPLの動向

クレジットカードを用いずに、商品の受取り後に支払いができる、BNPLの市場が拡大している。本稿ではBNPLとは、事前に利用者を審査することがなく、購買時等のタイミングのたびに審査を行い、購買後に決済するサービスを指す。BNPL市場は拡大基調にあるものの、コロナ禍では、未払いリスクに対する懸念から加盟店の審査を厳しくする動きもみられる。
ユーザーとしては、若年層や主婦層等のクレジットカードを利用しない層を中心に利用が広がっている。なお、クレジットカードを所有しているユーザーにおいても、普段使用しないECサイトでの購買等でBNPLの利用がみられる。また、配達人に現金を渡すことを敬遠する層も増えており、特にコロナ禍を通じて配達人と対面して決済することを避けるニーズが高まっているため、代引きからのシフトが進むなどして、BNPLの利用は拡大するだろう。<
コード決済をはじめとするキャッシュレス決済の進展に伴って、通常のコンビニ決済の利用は高止まりしつつあるが、BNPLの支払い方法としてのコンビニ決済は増加しているとみる。また、支払い方法としてコンビニ決済以外では銀行口座等を設けているケースがある。

BtoC ECとオンライン決済サービスの相乗効果

今後もBtoC EC市場の更なる拡大が見込め、コード決済(オンライン)やBNPLの取扱高は付随して拡大すると見込む。さらに、ECモールやECサイトが新たなオンライン決済サービスに対応するなどして決済手段が拡充されるにつれて、BtoC ECを利用できる環境は一層整備され、BtoC EC市場のさらなる拡大へとつながるだろう。

井上圭介

関連リンク

■レポートサマリー
EC決済サービス市場に関する調査を実施(2021年)
国内コード決済市場に関する調査を実施(2021年)
国内キャッシュレス決済市場に関する調査を実施(2021年)
クレジットカード市場に関する調査を実施(2021年)

■アナリストオピニオン
BNPLはクレジットカード市場にとって脅威となるか

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井上 圭介(イノウエ ケイスケ) 研究員
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