矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2021.10.25

連携する楽天グループのFinTechサービス 楽天ペイアプリから各種楽天サービスの利用へと広がる

楽天グループ株式会社は、2021年10月12日(火)~13日(水)にオンラインイベント「Rakuten Optimism 2021」を開催した。同イベントは楽天グループとして最大規模のものとなった。以下では楽天ペイを中心に楽天グループのキャッシュレス決済を取り上げる。

楽天グループのFinTechサービス間の連携

楽天グループの主なFinTechサービスとして、楽天カード、楽天ペイ、楽天銀行、楽天証券、楽天生命保険、楽天損害保険が挙げられる。これらのサービスにおいて、楽天カードや楽天銀行の口座を通じて楽天ペイへチャージできるなど、併用するメリットがあるため、サービス間の連携が深い。
特に、楽天カードの発行枚数は約2,300万枚(2021年6月時点)、取扱高は約12.9兆円(2020年度第3四半期~2021年度第2四半期)に及び、圧倒的な存在感を誇っている。さらに、2021年6月よりユーザーが2枚目の楽天カードを発行できるようになっており、クレジットカードの使い分けや、国際ブランド・デザインの選定などのニーズへの対応に取組んでいる。

【図表:楽天FinTechサービス間の連携】

【図表:楽天FinTechサービス間の連携】

出所:Rakuten Optimism 2021「より身近な金融サービスに - ユニークな楽天FinTech経済圏 -」

現在、楽天会員のうち4人に1人は楽天ペイメント株式会社経由で流入している。
同社が注力しているサービスが、スマートフォン決済サービス「楽天ペイ」である。
楽天ペイアプリは、コード決済サービスの楽天ペイ(アプリ決済)だけではなく、楽天ポイントカードや、コンタクトレス決済の楽天Edyなども利用可能であり、楽天グループの各種決済サービスを集約している。

楽天ペイアプリの三層構造

楽天ペイアプリの特徴として三層構造が挙げられる。三層構造は支払原資レイヤー、ID/IFレイヤー、決済認証方法レイヤーから成る。
楽天グループは、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどの様々な決済手段を設けており、それらを支払いに充てる原資としている。特に2020年の発行ポイント数が4,700億ポイントにも上る楽天ポイントが支払いに充当されることで、ユーザーの購買活動が促進される。さらに、支払原資の拡充に努めており、2021年1月に楽天ペイ(アプリ決済)で楽天銀行口座からの即時支払いが可能となり、同年2月より暗号資産を楽天キャッシュへチャージできるようになっている。楽天キャッシュは楽天グループの各種サービスで利用できるオンライン電子マネーであり、楽天ペイ(アプリ決済)や楽天ポイントカードアプリを利用して加盟店での支払いに充てることができる。

また、決済認証方法では、コンタクトレスやバーコード・QRコードなどの様々なプロトコルを決済のインターフェイスとして用意し、それらのインターフェイスを介して認証できるようにしている。2020年5月より楽天ペイアプリ上でSuica発行を可能にするなどして、インターフェイスの拡充にも取組んでいる。さらに、同年12月からこの「楽天ペイのSuica」へ楽天ポイントによるチャージが可能となり、決済認証方法と支払原資ともに拡大している。鉄道を利用する機会が多い日本において、「楽天ペイのSuica」は日常生活との親和性が高い。

支払原資レイヤーと決済認証方法レイヤーを結んでいるのが、ID/IFレイヤーの楽天IDである。2021年8月時点、楽天会員数は1億2,380万に上り、多くの利用者の日常生活に楽天IDが浸透している。また楽天経済圏に属する店舗も拡大を続けている。膨大な利用者と加盟店の双方が、楽天グループサービスのエコシステムを支える基盤となっている。
支払原資と決済認証方法を拡張することで、利用者と加盟店の幅広いニーズに応えつつ、キャッシュレス化を推進している。2020年11月に機能追加された「ポイント払い 瞬間チャージ」により、店舗での楽天ポイント利用時にポイント残高が不足した際、即座に楽天キャッシュをチャージして決済できるようになった。これにより、ポイント不足分を追加で他のキャッシュレス決済や現金で支払う手間が減り、利用者の利便性向上を図っている。

※「QRコード」は、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

【図表:楽天ペイアプリの三層構造】

【図表:楽天ペイアプリの三層構造】

※楽天ペイアプリの三層構造について説明する楽天ペイメント株式会社 代表取締役社長 中村晃一氏
出所:Rakuten Optimism 2021「進化、浸透する楽天のキャッシュレス決済」

楽天ペイアプリの機能拡充

楽天ペイメントは2021年8月に楽天ペイアプリのUIをアップデートし、機能拡充に取組んだ。楽天ペイアプリから、楽天カードの利用明細と楽天銀行の預金残高が、各アプリに遷移することで確認可能となった。また、証券口座を保有しなくても楽天ポイントを用いて気軽に投資の疑似体験ができるポイント運用や、ゴルフ場予約サイト「楽天GORA」のゴルフ場でのサインレスチェックイン機能、来店ポイントアプリ「楽天チェック」、レシートを送信することで楽天ポイントが付与されるRakuten Pashaなどが利用可能となった。
楽天ペイアプリからこれらのサービスが利用可能となることで、楽天ペイアプリの利便性が向上し、各種サービスのクロスユースが促進されるだろう。

【図表:楽天ペイアプリのUIアップデート】

【図表:楽天ペイアプリのUIアップデート】

※楽天ペイアプリのUIアップデートについて説明する中村氏
出所:Rakuten Optimism 2021「進化、浸透する楽天のキャッシュレス決済」

今後の更なる展開に注目

このように、楽天ペイアプリから様々な機能が利用できるようになるとともに、支払原資と決済認証方法が拡充されている。今後も同様の取組みが進むと想定できるが、特に東日本旅客鉄道との連携強化が注目される。たとえば、「楽天ペイのSuica」へクレジットカードによるオートチャージ機能の搭載や、JREポイントをチャージできるようになるなどの取組みが成し遂げられれば、一層利便性は向上するだろう。楽天ペイアプリの今後の展開に目が離せない。

井上圭介

関連リンク

■レポートサマリー
国内コード決済市場に関する調査を実施(2021年)
ポイントサービス市場に関する調査を実施(2020年)
国内コンタクトレス決済(非接触決済)市場に関する調査を実施(2020年)
国内キャッシュレス決済市場に関する調査を実施(2019年)

■アナリストオピニオン
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