矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2021.01.28

マルチポイント化が進む中、携帯キャリアと提携を進める共通ポイントの動向

4大共通ポイント(楽天ポイント、dポイント、Tポイント、Ponta)において、携帯キャリアとの紐づけが進んでいる。
2020年5月より、KDDIが付与しているau WALLETポイントはPontaに統一された。これにより、携帯電話やau PAYなどのauサービスの利用によって、Pontaポイントを蓄積できるようになり、Pontaの活用範囲が拡大している。

複数の共通ポイント発行をはじめとするマルチポイント化の進展

また、加盟店においてマルチポイント化が進んでいる。マルチポイントとは一つの店舗で複数のポイントを発行することを指す。特に、複数の共通ポイントを導入する事業者が増加している。

従来、共通ポイントは1業種1社で導入されることが原則であった。しかし、後発の楽天ポイントとdポイントは、当初から加盟店に他の共通ポイントの併用を認めることで、提携企業を拡大してきた。後発の共通ポイント2サービスの開始を機にマルチポイント化が一層加速している。

複数の共通ポイントを導入する店舗が増えるにつれて、共通ポイント事業者にとって、いかにして自社のポイントカードの提示を増やしていくかが、重要な取り組みとなる。複数の共通ポイントを導入している加盟店では、以前から導入している共通ポイントの発行額が依然として多い。しかし、1~2年後には会員の行動も変化し、加盟店が新規導入した共通ポイントの利用が活発化する可能性がある。その際、従来利用していた共通ポイントのユーザーが減少することが考えられ、共通ポイント市場の勢力図は大きく変わるかもしれない。

携帯キャリアの競争が共通ポイント市場の明暗を分ける

今後利用が増える共通ポイントはいずれであろうか。携帯キャリアの会員を増やした共通ポイントの利用が増え、発行額が拡大すると考える。

KDDIとロイヤリティ マーケティングが提携したことで、4つの共通ポイントすべてが携帯キャリアと紐づけられた。

携帯電話の利用に対して付与される共通ポイントは、加盟店での消費に充当されることも多く、送客効果も見込まれる。実際にdポイントでは、2019年度の利用額1,998億円のうち加盟店で消費されるポイントは約6割を占めている。

携帯キャリアが原資を負担する共通ポイントの発行には、加盟店への共通ポイント会員の送客効果が期待できる。そのため、キャリア会員の送客を期待する加盟店において、共通ポイントの導入、ひいてはマルチポイントの採用が増えると予測する。

以下で各共通ポイントと携帯キャリアの動向をみていこう。

楽天は2020年4月よりMNO事業を本格展開している。楽天の回線エリアにおいて基本的にデータを無制限で使用できるRakuten UN-LIMITプランでは、300万人を対象に利用料金を1年間無料とするキャンペーンを実施し、2019年11月時点でMNOの契約申し込み数は約179万に至っている。

今までは他の共通ポイントに比べて、dポイントには携帯電話経由でのポイント発行額が多いという特徴があった。ただし、KDDIとロイヤリティ マーケティングの提携や、楽天の携帯キャリア事業への参入に伴い、この特徴は、他の共通ポイントとの差別化要素ではなくなりつつある。しかし、NTTドコモの2019年度の携帯電話契約数は8,033万にも及んでおり、現在携帯キャリアにおいて同社は優位な立場にある。

他の共通ポイントが携帯電話経由でのポイント発行を強める姿勢をみせるなか、TポイントではPayPayボーナスへの還元に移行しつつある。2019年8月以降、ソフトバンクは携帯電話の長期継続特典を期間固定TポイントからPayPayボーナスに変更している。

2020年5月より、auの携帯電話料金の支払いによって、Pontaポイントが蓄積できるようになった。これまで他の3種類の共通ポイントは、携帯電話の利用によってポイントが蓄積されるが、Pontaに関しては携帯キャリアと紐づいていなかった。KDDIとの提携により、KDDIグループ経由で発行されるPontaポイントが加盟店で消費されることになり、加盟店におけるPontaの販促効果が高まると考える。

楽天ポイント・Pontaの販促効果・発行額の向上に期待

携帯キャリア事業への進出・提携により、楽天ポイントとPontaでは、販促効果の向上を期待する店舗での共通ポイント導入や、発行額拡大が見込める。

今後、携帯キャリア各社が料金の値下げ競争を進めるなか、会員数を増やした携帯キャリアに紐づいている共通ポイントの送客効果が高まると考える。店舗では送客効果の高い共通ポイントの導入や、マルチポイントを採用している店舗においては、携帯電話料金の支払いを通じて蓄積しているポイントなど、ユーザーに浸透している共通ポイントの利用が活発になるだろう。

携帯電話契約数をみると、現在NTTドコモが他社よりも多くなっているが、今後楽天モバイルはもちろん、auやソフトバンクも契約数を伸ばす可能性がある。そのなかで、MNO事業を本格化した楽天モバイルに紐づいている楽天ポイントと、ロイヤリティマーケティングとの提携によりauと紐づくようになったPontaの販促効果向上が期待でき、発行額が伸びるとみる。

井上圭介

関連リンク

■レポートサマリー
ポイントサービス市場に関する調査を実施(2020年)
ポイントサービス市場に関する調査を実施(2019年)
ポイントサービス市場に関する調査を実施(2018年)

■アナリストオピニオン
価値向上を図る共通ポイント 他事業者との提携により活用範囲を拡大
マルチポイント化が進む中、店舗から求められる共通ポイントとは?
ポイントカード発行の真の目的はFSP実現にあり

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井上 圭介(イノウエ ケイスケ) 研究員
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