矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2017.12.26

IT保守サービス事業者が注視したい市場とは

8%台の高成長を示す第三者保守サービス市場

IT保守サービス事業者が注視したい市場に「第三者保守サービス市場」と「EOSL保守サービス市場」がある。

「第三者保守サービス」とは、製品メーカーではない第三者企業が提供するITシステムのハードウェアの保守サービスのことである。具体的なサービス内容は「オンサイト又はセンドバックでの修理・メンテナンス、代替部品の提供」などである。
また、「EOSL保守サービス」とは、製品メーカー保守終了(End Of Service Life)後にメーカーではない第三者企業が提供するITシステムのハードウェアの保守サービスのことである。具体的なサービス内容は「オンサイト又はセンドバックでの修理・メンテナンス、代替部品の提供」などである。
なお、一般的に言う「マルチベンダ保守サービス」とは、複数メーカー製品の保守対応窓口を一本化して請け負うサービスのことである。第三者保守サービスとの相違点は、製品メーカーによる自社製品の保守も含まれている点である。また、一次受付対応のみを行い、実際の保守業務はメーカー等にエスカレーションするケースも含まれている。

2016年度の第三者保守サービス市場は、前年度比113.2%の86億円となった。
第三者保守サービス市場が成長しているのは、煩雑な保守対応を一本化して外部に任せたいというニーズが高まっており、その際に柔軟な対応をできる第三者保守サービスを利用したいと考える企業が増えているためである。

米国ではITの保守業務をハードウェアメーカー以外の第三者企業に委託するケースも多いが、国内では保守業務はハードウェアメーカーに委託するケースがほとんどである。しかしながら、最近では、コスト削減等を目的に第三者保守サービスを利用する企業が国内でも増加しつつある。
また、IT技術の幅が広がる中で、IT技術者の不足が進んでいるため、総合的にサービスを展開しているITサービス事業者等がITコンサル、システム開発、運用、保守などの各工程において専門特化を進めており、保守分野において第三者保守サービス事業者を協業先として保守業務を委託するケースも出始めている。そのような専門特化の流れを背景にしたITサービス事業者の動向も第三者保守サービス市場の成長を後押ししていくと推測する。

一方、市場成長のマイナス要因には「クラウド化」がある。オンプレミスからクラウドへの移行が進めば、ユーザー企業にとってシステムケアの必用がなくなるためである。そのため、第三者保守サービスへの需要が減退する可能性がある。しかしながら、オンプレミスのシステムはまだまだ多いため、第三者保守サービスが普及する余地は十分に残されていると考える。

「第三者保守サービス市場」の2014~2020年度の年平均成長率(CAGR)は8.7%で推移し、2020年度には、112億6千万円に達すると予測する。

【図表:第三者保守サービス市場規模推移予測 (2014年度~2020年度)】

【図表:第三者保守サービス市場規模推移予測 (2014年度~2020年度)】

矢野経済研究所推計

2020年の東京オリンピックの影響でEOSL保守サービスの利用が増加

「EOSL保守サービス」に関しても、「第三者保守サービス」と同様に、2014~2020年度の年平均成長率(CAGR)は8.3%と高いペースで推移し、2020年度には、82億5千万円に達すると予測する。

EOSL保守サービス市場が伸びている理由は、「コスト削減効果が期待されている」ためである。システムをリプレースすると多額のコストが掛かるが、メーカー保守では、まだ安定稼働しているシステムをメーカーの保守切れになったというだけの理由で入れ替えねばならない。EOSL保守であればそれを避けることが可能となるため、EOSL保守サービスを利用する企業が増えている。特に震災以降「無駄な金を使わない」という風潮が高まっており、その傾向が強まっている。
またメーカーの保守切れのタイミングとリプレースをしたいタイミングが合わないため、次のリプレースまで延長したいというニーズもあり、それもEOSL保守サービスの利用を増やしている。特に、2020年のオリンピックの前の2018~2019年のシステム更改に向けて、リプレースを止めている企業が多く、それがEOSL保守の利用を増やしている。
その他、環境問題を背景にした利用も増えている。環境問題が言われるようになったことで、顧客企業は以前ほど新品にこだわらなくなってきており、「使える装置を捨てるのはもったいない」という風潮が広がりつつある。

一方、市場成長のマイナス要因には「クラウド化」がある。オンプレミスからクラウドへの移行が進めば、ユーザー企業にとってシステムケアの必用がなくなるためである。そのため、EOSL保守サービスへの需要が減退する可能性がある。しかしながら、オンプレミスのシステムはまだまだ多いため、EOSL保守サービスが普及する余地は十分に残されていると考える。

「第三者保守サービス市場」と「EOSL保守サービス市場」の市場規模は小規模ではあるが、上記のように高い成長率を予測できる市場であるため、保守サービス事業者はその動向を注視しておく必要があるだろう。

関連リンク

■レポートサマリー
第三者保守/EOSL保守サービス市場に関する調査を実施(2017年)

関連マーケットレポート
石塚 俊(イシヅカ タカシ) 主席研究員
「業界関係者の方が把握すべき情報、知りたい情報とは何なのか」と常に考えながら、調査活動を行っています。「もっとこのような情報が欲しい」などといったご要望がありましたら、いつでもお気軽にご相談下さい。

YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。

YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。

東京カスタマーセンター

03-5371-6901
03-5371-6970

大阪カスタマーセンター

06-6266-1382
06-6266-1422