矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2020.01.22

【アナリストオピニオン】5G導入を目前に控える国内市場と相次いで参入する中国メーカーの見通し③

2020年以降、日本市場でも5G商用サービスを開始

2020年春には大手3社が揃って第5世代移動体通信サービス(5G)を開始する。サービス開始当初は東名阪を中心にエリア構築が進められ、対応スマートフォンも春から夏にかけて複数のメーカーから発売される見通しとなっている。その際にはサムスン電子、シャープをはじめとするメーカーから製品が導入される可能性が高い。
動向が注目されるのは(米)Apple「iPhone」の次期モデルが5G対応となるかどうかである。日本では4GLTE普及の際にも iPhoneが大きな役割を果たした経緯があり、5Gでも同様の期待が集まるのは想像に難くない。

一方で総務省は大手3社に対して早期に5G網をMVNOに開放するように求めている。インフラ整備との兼ね合いもあるが 、MVNOへの開放はSIMフリー製品の動向とも密接に関連してくるため、導入初期は開発力のある大手が有利にビジネスを展開する筈である。  

第4の通信事業者として免許を交付された「楽天モバイル」は大手3社がほぼ横並びでサービス拡大を図るのに対して大きく出遅れる事が予想される。既に複数の行政指導を受けており、首都圏エリアに於いても品質が確保されていない状況に於いて期待する事は先ず不可能であり、これまでの新規事業者以上に苦しい戦いを強いられるのは間違いない。

中国メーカーの可能性

国内の携帯電話市場は成熟化が進む中、大手通信事業者各社は安定した顧客基盤を元にビジネスを展開している。MVNOによる「格安スマホ」は普及は進むものの、総務省が想定する13%前後の普及率には程遠く、未だ8%前後に留まっている 。
今後、契約数の伸びが期待できるのは、自動車へのDCMモジュール搭載をはじめとするIoTカテゴリであり、特にコンシューマ市場では大きな伸びを期待するのは難しい。

端末ビジネスについても「iPhone」が絶対的な強さを発揮するものの、高額であるが故に今後はリーズナブルな製品に乗り換える動きが加速するかもしれない。しかし、国内のスマートフォンメーカーは開発力が減退しており、シャープを除き出荷台数が年々減少傾向にある。中国メーカー各社は国内メーカーの弱体化に呼応する形で市場を拡大させていくのではないかと予測する。特にOPPO、Xiaomiの2社はプロモーションやブランド構築に投資をする可能性が高く、早期に家電 量販店に専用コーナーを設置して販売人員を大量投下してもおかしくはない。少なくとも現在の国内メーカーにそういった投資を行う余力があるとは到底思えない。(賀川勝)

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/278

賀川 勝(カガワ スグル) 上級研究員
新興国が先進国に取って替わり世界経済を牽引している現在、市場が成熟化するスピードも早くなっています。そのような状況下でお客様にとって本当に価値ある情報を最適なタイミングでご提供出来る様、常に心掛けております。

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