先日、地域通貨を電子化するソリューション「Welcome!STAMP」を提供するギフティを取材した。代表的な成功事例には長崎県内関係離島市町や東京島しょ地域などでの導入が挙げられる。
こうした成功事例を見て、学生時代(観光学部)に「地域通貨は離島では流行りやすい」と学んだことを思い出した。ここでは地域通貨の普及が進む要因について軽くふれていきたいと思う。
ご存知のとおり、地域通貨は地域限定で発行、利用されている通貨のことである。地域通貨を活用することで、観光客の消費額増加や、地域経済の活性化などの効果が見込まれる。加えて、「使わないともったいない」と、観光客のリピートにもつながりやすい。
しかしながら、地域経済活性化に向けて地域通貨を導入したものの、失敗しているケースはよく目にする。それは、地続きで地域ごとの区切りが曖昧であることや、地域内でも事業者がそれぞれの方針を持ち、地域通貨を利用できる場所がわかりづらいことなどが要因として挙げられる。そもそも決済手段である地域通貨は、利用できる場が少ないなど、利便性が低ければ利用されない。つまり、「ここの店舗は使えるけれど、あそこのお店では使えない」ということが頻繁に起こると、流通しづらいのである。
一方で、離島ははじめから利用できる地域が明確に区切られ、分かりやすい。地続きの場所と比較すると決済シーンも少なく、参入事業者も多くない。そのうえ、参入事業者は「地域を盛り上げたい」という共通の想いを抱いているケースが多い。そのため、離島は比較的地域通貨が流通しやすい環境となっている。
現状、全国には多岐にわたる地域通貨が存在する。そうした地域通貨が流通しているかは、その通貨自体の認知度や、もちろん運営に関する補助金の有無なども関係してくる。地域通貨をはじめ、今後も地方創生に向けた取組みに大いに着目していきたい。(宮川典子)
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