矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2019.02.19

ウェアラブルEXPOで見た最新技術①「結ぶ」ことが可能 組紐の技術を用いたウェアラブルセンサー

東京ビッグサイトで開催された「第5回 ウェアラブル EXPO(1/16~18)」を訪れた。展示されていた最新技術について数回に分けて紹介する。第1回は関西大学と帝人が共同開発した「圧電組紐」である。

圧電組紐とは、ポリ乳酸繊維を使用して圧電体を組紐状にしたウェアラブルセンサーである。圧力を加えると電気エネルギーを発生する圧電体と様々なものに加工しやすい紐の特性を併せ持っている。日本の伝統工芸である「組紐」の技術を用いることにより、1本の紐で「伸び縮み」「曲げ伸ばし」「ねじり」といった動きのセンシングを可能にした。これらの特性により、目的に合わせて様々な長さ、太さ、形状に調整できる。最短で1cm程度あれば、センサーとして使えるとのことであった。

例えば、サッカー用のスパイクの外側に配置すれば、スパイクのどの面で蹴ったのか、どれほどの力がかかっており、どれほどの力をボールに与えたかを分析できる。また、テニスラケットのガットに使用すれば、ストリングス一本ごとにボールに与える力を計測できる。医療の現場でもチョーカー等の形にし、ファッション性を加えながらも鋭敏に反応を示すセンサーとして脈波や嚥下、咳などを識別する生体センサーとしての活用が期待されている。

従来の圧電体では、強い衝撃がかかる箇所での計測が課題とされていたが、圧電組紐は柔軟性があり、様々な分野での活用が期待できそうだ。

(石神 明広)

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