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電子ペーパーディスプレイに関する調査結果

08/05/21
電子ペーパーはあらゆる社会的な潮流の後押しを受け、加速度的な普及を実現する可能性が大いにある。要因としては省エネ・省電力化によるCO2排出量の削減に対する意識の高まりやペーパーレス化に代表される省資源への社会的な取組みが挙げられる。
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電子ペーパーは紙・ディスプレイ媒体にかわる今後の社会的・環境的技術

電子ペーパーはあらゆる社会的な潮流の後押しを受け、加速度的な普及を実現する可能性が大いにあるといえる。要因としては省エネ・省電力化によるCO2排出量の削減に対する意識の高まりやペーパーレス化に代表される省資源への社会的な取組みが挙げられる。

平成12年にグリーン購入法が制定され、再生資源の活用が推進されてはいるものの、紙の原材料採取のための森林伐採は深刻化している。環境保全に関する取り組みには、紙に変わる新しい媒体が必要であり、電子ペーパーは書籍やコピー用紙の代替として、従来の紙媒体の一部を担って行く可能性は高い。

近年、欧米を中心に海外で電子ペーパー市場は立ち上がったばかりであるが、その一方で、国内における電子ペーパー市場はまだこれからの状況である。デバイスの高機能化に向けた研究開発は日夜続けられている。なかでも、デバイスベンダー各社が注力している分野はカラー化と応答速度の向上である。同技術分野の発展は、鮮明なカラー化を実現することで、広告やPOP、ポスター、漫画、週刊誌等の大きな市場を狙うことが可能となるからである。現段階において、既存の技術レベルで実現可能な電子書籍や電子新聞等から徐々に製品化され、販売が開始されている。

電子ペーパー市場参入企業各社による有望なアプリケーションとして、電子棚札や広告、電子書籍、電子新聞等が挙げられる。中でも、電子書籍の実用化は有望との見方がある。その背景として、大型書店並みのコンテンツ(約9万点)を取り揃え、2007年10月に米国で本格的な電子書籍ビジネスを開始したAmazon「Kindle」があり、これに対する期待が大きいようである。実際に米国では、納品まで6週間待ちの状況が続いていること等から、一般ユーザーにも大きな注目が集まっていることは明らかである。ただ、日本国内では新聞の宅配等のように、すっかり定着している業界の流通体系を変えることは容易ではないとの見方から、国内市場では受け入れに時間が掛かるとの見方もある。

図1 電子ペーパー市場規模(数量ベース)、図2 電子ペーパー市場規模(金額ベース)
図1 電子ペーパー市場規模(数量ベース)、図2 電子ペーパー市場規模(金額ベース)

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電子ペーパー実用化に向けての課題はカラー化、耐久性、反射率の向上

将来的には、広告掲示板や大型看板等への用途拡大が期待されている電子ペーパーであるが、そこにはコントラストの向上、カラー化や耐久性等の技術面 の課題が存在する。一例では、電子新聞のような白黒表示の場合、現状でも必要機能を備えていると考えられるが、その一方で、広告掲示板や大型看板等、精彩 なカラーを必要とする用途では、デバイスが十分な機能を満たしているとはいいがたい。また、広告や看板は通常、屋外での利用が中心である為、紫外線や熱・ 衝撃に対する耐久性も必要である。

さらにもう一つの課題は、広告や看板等の本来の目的において、商品の訴求効果を充分に伝えるためには、文字が読めるという必要最低限のレベルでは不 十分であり、デザインの質感や表現加工まで表現できなければならないということである。したがって、電子ペーパーディスプレイが紙媒体や従来のディスプレ イに代わる第三の表示デバイスとなるには、コントラストやカラー化等の表示技術レベルの向上が必要とされる。

将来的には、カラー化や耐久性等への技術課題の克服次第で有望アプリケーションはさらなる拡大を見せるであろう。

今後の国内の電子ペーパー市場規模としては、数量ベースでは2007年度121,502千枚(前年度比105%)、2008年度137,563千枚 (前年度比113%)、2010年度346,059千枚(前年度比252%)、2012年度487,389千枚(前年度比141%)と予測する。金額ベー スでは、2007年度2,997百万円(前年度比119%)、2008年度4,874百万円(前年度比163%)、2010年度36,308百万円(前年 度比745%)、2012年度70,882百万円(前年度比195%)と予測する。

図3 開発ロードマップ(フレキシブルディスプレイ) 、図4 国内主要製品導入ロードマップ

表3 電子ペーパーのアプリケーション

POP (車内広告/
店内広告等)
電子ペーパーの参入企業からはPOP市場を有望アプリケーションに位置づける企業は多い。ただ、先行している液晶や有機EL等も積極的にデジタルサイネージの製品化を展開し始めており、競争は熾烈なものになると考えられる。電子ペーパーがPOP用途で普及するには、カラー化等の視認性の向上と低価格化が鍵になるであろう。・当社が広告会社向けに行った需要先調査では、価格もさることながらデザインの再現性の低さを指摘する意見が多く見受けられた。実施された実証実験等を見て、印刷と比べると色や文字の再現性が難しいという印象を受けるようである。・広告コンテンツはデザイナーが紙の質や表現加工にまでこだわって制作しており、文字が読めれば良いレベルでは価値が低い。イメージを伝える役割を広告は担っている為、視認性の向上は広告媒体として必須なのである。ただ、新聞社と同様に広告関連会社も電子化に対する関心は大きい。中でも交通広告を取り扱う企業にとって、車両内の張替えにかかる労力や線路を挟んだ張替え作業のリスクを軽減したいという意識は強い。
電子新聞 フランスの経済紙「レゼコー」は2007年9月から電子ペーパー端末を使ったビジネスを開始した。1996年に導入したインターネット版の新聞購読が好調であった背景を踏まえ、新聞紙発行コストの約4割を占める印刷費を大幅に削減したいとの意向があった様子である。・日本の新聞社でも電子新聞に対する関心は高い。電子ペーパー端末に関する説明会には毎回新聞社の担当者が詰めかけ、端末のスペックやコンテンツのフォーマット、配信の仕組み等について質問が飛び交う等、導入に向けた関心は高まっている。その背景には、若者の活字離れや少子化等から発行部数の低下が懸念されている他、レゼコーのような海外での電子新聞の出現により、従来の宅配によるビジネスモデルを再考する必要に迫られている様子が汲み取れる。
RF-ID  電子ペーパーによる表示機能の付いたRF-IDについては、コスト的な面から、普及が始まるのは2010年頃からと見受けられる。表示機能付きのICカードがある程度普及した段階で、RF-IDも普及が始まると考えられる。・元々、ICタグに記録された情報が目に見えないため別途印刷する必要があり、タグと印刷物を対にする作業が発生してしまう、という課題解決の発想から始まったものである。
電子棚札 1998年に日本で初めて電子棚札が導入されて以来、液晶を使った棚札がスーパー等の小売店に加速度的に普及してきた。その要因には、POSレジの販売価格と売り場の表示価格の一致による「信頼度の向上」や「適正な利益確保」、「業務の省力化」が小売業の管理業務に大きな変革をもたらしてきたことにある。液晶で普及が進んだ棚札市場を置き換えるには、それに勝るメリットを提供することが必要となる。・電子ペーパーを新規のラインナップに加えている棚札ベンダーからは、液晶では不可能なバーコードやQRコードの読み取りが可能になる点が大きな違いとの認識であった。フルドット電子ペーパーの採用は、価格以外にも商品名、原産地、メッセージ、バーコード、QRコードの表示を可能とし商品情報や販売情報等、活用シーンを拡大することができる等、新製品の有力なラインナップとして期待がある。
電子書籍 かつて、2004年2月に電子書籍端末「ΣBook」が松下電器産業より発売され、同年4月には、E Inkの電子ペーパーを搭載した「リブリエ」がソニーより発売された。電子ペーパーを搭載した電子書籍の相次ぐ上市で市場は幕を開けたが、売れ行きは振るわず約7,000台という結果に終わった。しかしながら、2007年秋に米国でAmazon「Kindle」が発売されたこと等をきっかけに、日本の業界関係者を中心に電子書籍は再び注目を集め始めている。・2004年に売れ行きが芳しくなかった要因には、サービス面やビジネスモデル面、電子書籍端末自体の使い勝手に課題があるといわれてきた。電子書籍を購入しても、利用できるコンテンツが少ない。さらには、デジタルコンテンツのレンタル貸しという新しいビジネスモデルは定着が難しかったようである。Amazon「Kindle」が注目される所以は、そのようなかつての敗因をうまくカバーしている点にあるといえる。例えばAmazon「Kindle」のコンテンツは約9万点ともいわれており、大型書店並みの品揃えである他、3Gデータ通信機能を搭載しPCとのケーブル接続や無線LANアクセスポイントを使うことなく、キャリアSprint圏内であればどこでもKindleストアから書籍が購入できる。さらに、購読した新聞等は更新を意識せず毎朝、自動的にダウンロードされる仕組みを採用している。料金面でも、初期に数百ドルを支払えばキャリアとの煩わしい契約や通信料金が発生しない等、ユーザーにとって魅力的な工夫がされている。
携帯電話 日本の携帯電話加入者数が1億人を突破した。多機能化する携帯端末はインターネットやテレビ、ゲーム等の活用が定着することで我々にとっての一番身近なデジタル機器へと変貌を遂げた。熾烈な競争の中、機能面のみならずデザイン性でも参入各社は差別化を展開し、デザイン用途として背面版に電子ペーパーを採用したカシオ日立モバイルコミュニケーションズ製の「W61H」がAUから2008年春モデルにラインナップされている。しかし、携帯電話の用途は今やテレビやゲーム等、幅広いアプリケーションを兼ねている為、静止画をメインとした電子ペーパーがメインディスプレイを担うのは難しいと考えられる。・携帯電話が普及していない地域等では、前述の「MOTOFONE F3」のようなシンプル、かつ低価格な機種の導入は有効であると考えられるが、高機能な機種が低価格で購入できる日本のユーザーには、時代錯誤な印象を与えかねない。よって、日本では、電子ペーパーの採用はデザイン用途として採用されるケースの方が有望であろう。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

■開発ロードマップ(電子ペーパー)
・開発ロードマップ(フレキシブルディスプレイ)
・国内主要製品導入ロードマップ
・参入企業(調査企業)開発ロードマップ

■2012年の分野別市場規模予測と今後の市場見通し
・2012年需要分野別市場規模推移
・2012年公共・事業者向け需要分野別予測
・2012年一般消費者向け需要分野別市場規模予測
・2012年サイズ別市場規模予測

・・・ほか

調査要綱

調査対象 電子ペーパーデバイスベンダー、ソリューションベンダー(計14社)
調査期間 2008年1月~2008年5月
調査方法  当研究所専門調査研究員による直接面接取材及び電話によるヒアリング取材

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