Yz Report - 最新市場調査レポートサマリー -
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「おサイフケータイ」市場に関する調査結果

08/05/29
「おサイフケータイ」対応端末の契約者数は2007年3月末に2,890万契約まで達したが、利用率は低水準。その理由をあらゆる角度から分析し、「おサイフケータイ」市場が飛躍するためのキーワードを抽出。
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おサイフケータイの魅力と障壁

おサイフケータイの利便性はもはや社会的に広く知られるものとなっており、老若男女を問わず、すでに重要なインフラとしての役割を担い始めている。交通サービスがその最たるものとしてサービス全般を引っ張ってきた感はあるが、おサイフケータイに格納されている様々な機能もまた、近年その存在感を示し始めている。

具体的には、量販店のポイントカードや各種プリペイドカード、会員証、クレジットカードなど、1990年代から爆発的にその種類が増えたカード類のすべての持ち運びや管理は、消費者にとって大きな負担となっていたが、おサイフケータイでは、それらサービスを日常的に持ち歩く携帯電話に一本化することができる利便性にある。

おサイフケータイは従来のカードによる電子マネーサービスに比べて、様々なシステム特性がある。主要鉄道会社の提供する携帯電話機能を利用した決済システムや、電子マネー利用履歴/残額などの液晶画面での確認、また大手クレジットカード会社による多様なクレジットカード会員証が一つのアクセスポイントに収納できるサービスや購入履歴の確認、多様な特典を受けられること等がある。これらはおサイフケータイシステムの持つ可能性において、ほんの一例に過ぎない。

その一方、課題として、携帯電話それ自体は硬く、重量もあるため、かざす際にリーダ(読み込み専用機器)及び携帯電話自体に負荷をかけるということが挙げられる。これに対し、電子マネー機能付ICカードであれば、財布・カードケースに収納したままでの決済が可能であり、リーダ側にダメージを与える可能性は低いことも事実である。

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おサイフケータイのビジネスモデルとインフラへの課題

おサイフケータイビジネスは、当初、おサイフケータイアプリケーションをダウンロードする際に発生するパケット通信料ぐらいしか見当たらず、参入企業各社がどのようにして一定の利益を確保するのかが明確ではなかった。しかし現時点では、確固とした収益性の存在を見出した金融、交通、小売分野など、さまざまな分野への広がりをみせている。

事実、2001年、国内での最初の非接触ICカード鉄道系サービス、IC乗車券「Suica」が開始して以来、その明快な利便性とユーザーサイドの使い勝手の良さは社会的に着実な支持を集め、その後の各私鉄間による連携の結果、急速に拡大した。

このような鉄道系の躍進の反面、おサイフケータイビジネスのメインソリューションとなる電子マネービジネスの標準化への道のりは困難を極めている。多くの電子マネービジネス参入企業各社の認識として、どうしても自社サービスでインフラを築きたい、限界まで自社サービスでユーザーに付加価値を訴求したい、という思惑が先行し、ポストペイとプリペイドでの方式はもとより、リーダライタの独自の規格やサービスの複雑化など、インフラ整備への取り組みは難しい様相を呈している。

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クレジットサービス・小額決済と携帯電話事業者の戦略

携帯電話を使用した小額決済を含めたクレジット決済分野には、収益性の観点からも大きな可能性がある。一人の顧客の獲得に対し、携帯電話事業とクレジット決済事業からの二面的な収益が発生することで、従来の2倍の価値を持つことになり、携帯電話事業者はクレジット決済事業を取り組むことで大きな相乗効果が得られる。

そのため、携帯キャリアはおサイフケータイを足がかりにした金融決済分野への進出に大きな意気込みを見せている。その一方で、携帯キャリア間におけるサービスの競合が、今日のおサイフケータイサービスにおけるユーザビリティの実現に悪影響を及ぼしていた。こうした状況を受け、主要クレジットカード会社及び、大手携帯キャリアは2005年10月、おサイフケータイビジネス決済の共通化を目指す「モバイル決済推進協議会」を設立した。

各社歩み寄りの取り組みがある一方で、前述のモバイル決済推進協議会においてもなかなか足並みが揃わないのも事実である。約60兆円の少額決済市場は参入企業各社が競合関係を激化するほどに魅力的な市場である以上、新規参入企業も後を絶たない。

その一方で強力な既存インフラを保有する後発が台頭してきている。なかでも大手小売流通チェーン店で利用できる電子マネーが伸張しており、今後は他の電子マネー規格と共通の決済端末を設置しているグループ外店舗での利用も計画している。こうした取り組みはおサイフケータイビジネスの拡大の一役を担うだろう。

図1 おサイフケータイ対応機種契約者の推移
図1 おサイフケータイ対応機種契約者の推移

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現状の「おサイフケータイ」ビジネスの課題・問題点

現在のおサイフケータイビジネスのシステムには、ユーザーサイドがアプリケーションのダウンロードや各種登録、設定作業という電子手続きが必要である。消費者サイドとしては、携帯電話から受けるサービスがあくまで利便性に終始する以上、導入時に掛かる手間は煩雑であると感じるユーザーも多い。このような電子手続きについて、若年層に抵抗感は少ないものの、使用頻度の極めて高いクレジットカードをおサイフケータイと連携させることは、購買力のあるとされる中高年層にとっては、導入意欲を著しく失わせる結果ともなりえる。

概して、おサイフケータイがそれらの登録や機種変更時の操作を乗り越えてまでメリットを感じられるサービスかどうかも実感に至っていないようである。

その一方で、ユーザーサイドの独特な課題としては、カードにあるブランド効果をどのようにおサイフケータイに取り込むかといったテーマがある。アイデンティティとしてのクレジットカードを所有するユーザーにとって、同カードは利用者の自尊心やソーシャライズにおいて大きな利用価値を持っており、おサイフケータイではこれらの重要な特性を十分に発揮できないこともある。

サービス取扱店舗の視点から見ても、おサイフケータイシステムの導入はイニシャル・ランニングコストがかかりすぎる点なども指摘されており、今後はこうした課題にどう対応していくのかが重要となり、おサイフケータイビジネス市場の成長にはユーザーと参入企業の双方に利便性を認められることが必要となる。

おサイフケータイビジネス市場の成長には購買力のあるユーザーと導入企業、双方に利便性を認められることが必要

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

■主な対応サービス分野別一覧(おサイフケータイ)
・クレジットサービス(ポストペイ型電子マネー)
・プリペイド型電子マネー
・「ショッピング・メンバーズカード」
・航空・鉄道
・チケット
・オンラインショッピング
・その他(多目的アプリ・ツール)
■おサイフケータイの主な対応サービス概要
■おサイフケータイ搭載端末の概要
・キャリア別搭載端末一覧
■おサイフケータイ対応機種契約者数の推移
■おサイフケータイ対応機種契約者数の推移(キャリア別)
■おサイフケータイ対応機種契約者数キャリア別シェア
■ICカードの需要分野別構成比推移グラフ(数量ベース)
■バイオメトリクス市場
・需要分野・用途別市場
■電子マネー市場
・電子マネービジネスの市場概況
・電子マネーブランド別一覧
・有力電子マネーの累積発行枚数
・有力電子マネーの一日当たりの平均取扱件数
・有力電子マネーの利用金額総市場規模
■RF-ID(無線ICタグ)市場
・国内RF-ID(無線ICタグ)の総市場規模推移と需要予測
・需要分野別構成比推移グラフ(数量ベース)

・・・ほか

調査要綱

調査対象 通信事業者(キャリア)とICカード関連ベンダー、携帯端末ベンダー
調査期間 2008年1月~2008年5月
調査方法  弊社専門調査研究員による直接面接取材及び電話によるヒアリング取材

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