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2008年版 自動車ECU/組み込みソフトウェアの開発戦略
「2008年版 自動車ECU/組み込みソフトウェアの開発戦略」 小見出し一覧
- 自動車メーカの肩に重くのしかかるECU開発コスト
- 「組み込みソフトウェア開発」と「ECU統合化」がメーカの生き残りを左右
- 世界中で巻き起こる「カーエレクトロニクス産業再編成の渦」
- トヨタ・ホンダ・日産・三菱の「ECU統合化」に対する動向
- 参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧
- 関連リンク
自動車メーカの肩に重くのしかかるECU開発コスト
自動車の電子化(カーエレクトロニクス化)は急激に進んでいる。現在のカーエレクトロニクス(カーエレ)システムは、ナビに代表されるインパネ周辺の情報通信系、無線通信や多様なセンサを利用したアクティブセーフティ系、HVなど環境対応車両向けのパワートレーン制御系などの高度な技術に支えられた機能を実現しなくてはならない。
とくにレクサスのような最近の高級車では、搭載されているECU(エレクトロニクス・コンピュータ・ユニットの略)の数が100個以上にものぼり、車両1台あたりのECU周辺コストの割合は30%から40%にも達しているという。さらにハイブリッドカーのECUは120個にものぼり、ECU開発には多大な開発資産を投入し長期間にわたりかかり切りの状態になるものまである。一般車においても30~50個程度のECUは搭載している。
ここで問題になるのが、増え続けるECUのハードとソフトを開発し、年に多数の新車を世に送り出してゆく開発マンパワーと開発設備を新規に保持し続けられる体力を世界の自動車メーカのなかで何社が持っているかということである。
とりわけ今後BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国)やVISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)諸国で普及する低価格なスモールカー車両にカーエレシステムを搭載するためには、低価格なコスト実現しなくてはならない。ところがカーエレシステム開発にはたいへんな人件費がかかってしまう。
普通、1個のカーエレクトロニクス・システムユニットを設計検討するには、ハードとソフト開発で10~40人の開発チームを結成している。この開発・設計チームが長期間にわたって固定化されるわけであるから、年に新型車を何台も計画しているカーメーカやサプライヤ(部品メーカ。カーエレメーカ)は人材がいくらあっても足りない。こうした人件費などの開発資産を投入し、増加した新規採用システムにも同様な開発方法を採用し続けると、そこでかかるコストは自動車メーカの肩に重くのしかかることになる。自動車メーカにいくら資産が豊富にあったとしても、重いコストによって開発体制が爆発崩壊に陥る危険も出てくるほどだ。
「組み込みソフトウェア開発」と「ECU統合化」がメーカの生き残りを左右
そこで、人材不足を補い人件費を下げる目的で、近年急速に導入が進んでいるのが、「組み込みソフトウェア」と「ECU統合化」だ。
(1) 組み込みソフトウェア
新車開発といっても採用するシステムの基本機能は共通であることが多く、約60%程度は過去に開発した類似システムの基本ベースが流用できるともいわれている。基本動作や共通部分を組み込みソフトウェアとして持てば、多種多様のECUに用いることが可能になるわけで、その分が開発コスト削減につながるわけだ。
(2)ECU統合化
これまでのカーエレクトロニクス・システムユニットにはそれぞれ専用のECUが搭載されており、ECU内にはそれぞれのソフトが入っていた。たとえば3つのユニットを制御するには、3つのECUと、その内部に1つずつ入っているソフトが計3つ必要であった。
だがECU統合化によって、ひとつのECUが3つのユニットをまとめて制御するようになってきた。これまで3つあったECUのうち2つを削減してしまい、残りの1つだけで3つのユニットを制御しようという考え方だ。ECUが2つ減った分、コスト削減につながる。その場合、ECUはひとつになっても、ECU内に3つのソフトが組み込まれており、その3つの組込みソフトによって3つのユニットが制御されることになる。
こうした車両開発の大きなうねりは10年前のモジュール開発に始まり、グローバル化開発・生産と続き、2007年に入ってカーエレクトロニクス装置のECU統廃合と組み込みソフトウェア開発方法に進展してきた。まさにこれらは自動車メーカ、部品メーカ、およびその関連メーカにとって企業の存続をかけた一大イベントであるといえよう。
各メーカは、(1)組み込みソフトウェア導入と(2)ECU統合化によるコスト削減の余力を、下記のような新技術開発に振り向けなくてはならない。
a)環境対応対策
b)省燃費対策
c)交通安全対策
d)新エネルギー動力対応
この新技術開発の達成如何によって、各メーカ、とくに自動車メーカが近未来においても生き延びていけるかどうかが決定するといっても過言ではない。また、自動車部品メーカは系列の維持・存続ができるか、既得したシステムやユニット(ECUユニット)の商権を維持できるかどうかも、この新技術開発の達成にかかっている。
まさに(1)組み込みソフトウェア導入と(2)ECU統合化は、自動車メーカ、部品メーカの生き残りをかけた戦いの決め手になるといえよう。しかも、自動車の海外現地生産が主流となっていく流れの中で、この戦いは世界レベルで行なわれることになる。
世界中で巻き起こる「カーエレクトロニクス産業再編成の渦」
ECUの数を減らすのだから、あるTier1サプライヤ(一次請け部品事業者)はECUビジネスの担当から外され、ユニットのアッセンブラ(最終組み立て業者)の立場に移行せざるを得なくなる。そのメーカはECUビジネスのチャンスを失ってしまうのだ。逆に戦いは世界レベルで行なわれることになるため、強い技術力を持つTier2サプライヤ(二次請け部品事業者)は、世界中から注文を受けられる可能性も出てくる。
たとえば、これまでIT業界や家電業界向け組込みソフトウェア開発のアウトソーサとしてやってきたソフトウェアメーカが、自動車業界向け組み込みソフトウェア市場において主役として登場してくることもありうる。
このようにして、「ECU統合化と組み込みソフトウェア開発」の動きに伴い、世界中で、カーエレクトロニクス産業再編成の渦が巻き起ころうとしている。
トヨタ・ホンダ・日産・三菱の「ECU統合化」に対する動向
現在の日本車におけるECU搭載状況を調査すると、トヨタ車がもっとも多くのECUを搭載しているのがわかった。複数のECUが同じ部位で個別制御を行なっている場合、基板統合や制御ICのASIC化によるIC統合および複数のECUの同居統合化などの方向性が見られる。ここで日本を代表する自動車メーカ各社における「組み込みソフトウェア開発」と「ECU統合化」に対する動向とその特徴を列記してみよう。
a) トヨタ自動車
トヨタにもっとも多くECU部品を供給しているメーカはデンソーで、その種類も多い。ASIC化している製品も多々見られる(エンジン統合制御、シャシ統合制御、パワートレーン制御など)。しかし、まだBODY制御系に関してはメータとエアコンの統合制御ECU以外見られない(当社推定による)。
b) 本田技研工業
ホンダ圏は旗艦的車両であるレジェンドにおいてECUの統合化が見られるが、他の車両ではほとんど統合化の例がなく最新の車両から2~3見られる程度である。ホンダ車の設計標準化の方法や設計方法そのものは、トヨタの標準化データベース作成の段階にまだないのではないか。個々の設計者がもつノウハウや知恵の社内共有がまだ進んでいないものとみられ、ようやく標準化と統合化を本格的に研究、推進していく段階にあると推測される(当社推定による)。
c) 日産自動車
日産のECU統合化は徐々にではあるが、着々と進んでいる。長期におよぶ大幅コストダウン方策である「日産リバイバルプラン」で、部品単位でのコストダウンも限界に達しつつあり、さらに部品メーカも系列解体でコストダウンを続ける体力がない状態にあるとの判断がなされたのではないか。会社全体として標準化や統合化を推進して、コストダウンを図らなければやって行けない状態にあるからこそ、日産にはこの設計思想が投入された。エンジン・パワートレ-ン系から統合化が進み、最近ではボディ電装系の統合化計画も進行中だ(当社推定による)。
d) 三菱自動車工業
三菱は会社存続の危機感から、思い切った統合化を実施した。コルトでメータとエアコンのECU統合化を実施したのを皮切りに、アウトランダーでETACS(新世代電子プラットフォーム)システムというボディ電装統合ユニットを開発・装備した。30種類のSW、入力信号を制御し、4種類の通信バスを介してエンジンルーム内にJ/B(ジャンクションブロック)として統合化した(当社推定による)。
参考:このレポートに掲載されている主な分析データ一覧
- 世界の組み込みソフトウェア開発標準化のエリア別動向
- 車載用組み込みソフトウェアの特徴
- 世界を駆ける自動車用ソフト・ハードの開発標準化の流れ
- ECU統廃合の方式
- 電子電装ユニット(ECU)装備一覧表(トヨタ・日産・ホンダ・三菱/システム部位の統合化状況/サプライヤシェア/機能/センサ/アクチュエータ/寸法/重量/メモリ/通信方式、他)
- 何故、ECU統合化はボディ系で動くか…の理由
- トヨタ、ホンダ、日産、三菱、GM、BMW、などの統合制御実例
- 組み込みEMB開発のメーカ間競争領域と強調開発領域
- 主要組み込みソフト開発メーカの開発内容/今後の動向/課題
- 自動車用組み込みソフト開発メーカ相関図(部品別にみたソフトメーカ⇔サプライヤ⇔自動車メーカの相関図)
- 自動車用組み込みソフト開発会社のソフト開発要員&資本金でみたポジショニング
- メーカ別/車載システム組み込みソフト開発ツール導入実績一覧表
関連リンク
■同テーマのレポートサマリ
自動車用組み込みソフトウェア市場の調査結果 2009
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調査対象 下記の団体・企業について自動車ECU/組込みソフトウェアの開発戦略について調査を実施(調査対象地域:国内、欧米)
- 国家機関、研究団体
・国内:JASPAR、TOPPERS、J-MAAB など
・海外:AUTOSAR、OSEK、EASIS、MAAB など - 自動車メーカ
・国内:トヨタ、日産、本田技研、三菱自工、富士重工、いすゞ など
・海外:BENZ、BMW、VW、AUDI、PSA、ポルシェ、ルノー、GM、FORD など - サプライヤ
・国内:デンソー、アイシン精機、アイシンAW、アドヴィックス、アルパイン、 ケーヒン、ザナヴィ、東海理化、日本精機、日立製作所、富士通テン、ホンダエ レシス、三菱電機、矢崎総業、ユーシン など
・海外:ボッシュ、コンチネンタル、ATENA、TRW、など - 組み込みソフトウェアメーカ
・国内:トヨタ系、日産系、ホンダ系、独立系 ほか 39社 - 組み込みシステムメーカ
NECエレクトロニクス、ルネサス、富士通、東芝、など - 組み込みソフト開発ツールベンダ
dSPACE、vector、エレクトビット、WindRiver、ガイオテクノロジー、Netdimenshion、Softech など
調査期間 2007年8月~12月
調査方法 弊社専門調査員による直接面接調査及び電話・メール取材、当社データベース、過去実施の調査データからの考察
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東京カスタマーセンター TEL:03-5371-6901 / FAX:03-5371-6970
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