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2017.12.04
急成長するRPA市場、ソリューションおよび参入事業者の多様化が進む

RPAとは、ホワイトカラー職種(バックオフィス・間接部門)の業務オペレーションに対する、ソフトウェアロボットによる業務自動化の取り組みを指す。機械学習や人工知能といった認知技術を活用し、ソフトウェアロボットが文章・画像・音声などを認識することで、これまで人間のみが対応できると想定されていた単純作業、もしくはそれ以上に高度な作業を人間に代わって処理できる。これまで産業用ロボットが「物」を対象としたブルーカラー業務で活用されてきたことに対し、RPAは「情報・データ」を対象としたホワイトカラー業務での取り組みである点が大きな違いである。

広義のRPA(RPAはAIを含むとする定義)には、3つの段階が存在すると定義されている。Class1ではルール化が可能な定型業務の自動化を、Class 2では機械学習やAIを含む一部非定型業務の自動化を、Class 3では分析・判断・意志決定などの高度な自動化を実現する。狭義のRPAとは、Class1部分のみを指す。本稿では、広義のRPA(Class1~3)を前提として記述を進める。

【図表:RPAの3つの段階】

【図表:RPAの3つの段階】

矢野経済研究所作成

Class1の実現にはマクロルールエンジン・画面認識・ワークフロー、Class 2・3の実現にはAI・自然言語解析・ビッグデータ解析・画像認識・音声認識・非構造化情報処理といった技術が必要となる。Class 2・3については、指示を踏まえて自ら考え能動的に処理を行うことができるとして、今後、広範なホワイトカラーの業務を置き換えてゆくことになると期待されている。

【図表:RPAのClass1~3と実現のための技術・適用対象の業務例】

【図表:RPAのClass1~3と実現のための技術・適用対象の業務例】

矢野経済研究所作成

加えて、ロボットを効果的に運用にするには、現状業務をそのままロボット化するのではなく、業務プロセスの改善を行うことが望ましい。BPM ・BPMS と連携させることで、現在の業務プロセスを可視化し、ロボットの運用に適した整備に近付けることができる。
RPA市場では時折、ロボットを人間に例え、「画像認識=目」「音声認識=耳」と例えることがある。これに加え、2017年7月、日本IBMが提供を開始した「IBM Robotic Process Automation with Automation Anywhere」では、「全体を統括するBPMは中枢神経、論理的な判断を行うBPMSは左脳、直観力で稼動し創造性を持つAI/Cognitiveを右脳」と見立てている。

現時点で実現しているのはほぼClass1が過半であるが、技術的に見れば従来からあるテスト自動化ツールやExcelマクロと大きな変わりはないようだ。しかし、業務の自動化作業に必要とされる知識や作成にあたっての支援機能、開発工数などがマクロ記述によるアプローチとは大きく異なっており、高度なプログラミング技術を持たなくとも、作業者自身でも、低コストで業務自動化を実現するロボットを開発できる。また、現行の業務プロセスや既存システムの変更が必要となるシステム開発と比較し、RPAは既存プロセスやシステムを現状のまま生かしつつ、小規模な単位での自動化を実現することができる。つまり、少量多品種業務に対する自動化へのハードルが低くなった。これこそがRPAが大きく広がった要因の一つであろう。

日本国内においては、2016年前半から、第四次AIブーム、ビッグデータ活用への注目、「人口減少による人手不足」「生産性向上」に関する議論の高まり、政府の「働き方改革」への取り組みといった要因を背景に、RPAブームとも呼べる盛り上がりを見せている。2016年後半には有力事業者や有識者を中心として関連団体が設立された。加えて、コンサルティング事業者、SIベンダー、人材派遣業者、BPO事業者、複合機メーカーなど様々なプレイヤーがRPA関連ソリューションの提供を開始し、参入事業者およびソリューションの多様化が進んでいる。

■RPA導入に適する業務・適用の条件
RPAは通常のシステム開発・導入に比べ、早い段階で自動化の効果を実現できる。ただし、業務によってRPA適用への向き不向きは存在するため、まずは適すると考えられる業務を抽出し、導入試行段階で実施効果を評価した上で、どの業務から優先的に自動化を進めるべきかを判断していく事になる。RPA適用による効果が見込める業務の特徴は以下の通りである。

【図表:RPA導入に適する業務】

【図表:RPA導入に適する業務】

矢野経済研究所作成

■急成長するRPA市場、ソリューションおよび参入事業者の多様化が進む
今後数年にわたって、政府は働き方改革を推進する方針である。労働人口減少やグローバル競争の激化といった要因も影響し、RPA市場は急速に拡大していく。

RPAと従前のITシステムの決定的な違いは、①業務環境・業務要件変更への柔軟性、②実装期間と導入コストの低さ、③個々の業務担当者本人が自動化を実現できること、である。RPAは業務を業務効率改善と生産性向上に効果を発揮するが、人的リソースの再配置により付加価値業務の割合を増やし、競争力向上にも寄与する。現在、日本国内において一部の先進的な企業ではClass1(定型業務の自動化)の導入を行い知見を蓄積し、更にその何割かは自らソリューションベンダー側に立つべく事業化に着手している。未導入の企業でも、その多くがRPAの汎用性・創出効果・着手容易性に興味を持っており、自社環境と親和性の高い事例に注目している。

現時点で技術としてはほぼ確立しているClass1のRPAについては、技術的難易度は然程高くないため、ユーザー企業の業務プロセス改革にどこまで深く関われるかが、ソリューションベンダーにおける差別化要素の一つとなっている。また、ごく一部ではあるがClass2(一部非定型業務の自動化)のRPAを提供する先進的なソリューションベンダーが現れ始めている。Class2のソリューション実現は多くのベンダーにとって注力してゆきたいポイントの一つであり、協業による技術提携や自社研究によって、ソリューション化への試みが今まさに進んでいる。2018年以降、多くの企業でソリューション提供が始まるであろう。
Class3(高度な自動化)は現時点では実現に至っていないが、技術進歩の進展とともに遠くはない将来、実現されるだろう。ルールにない処理の判断、手書き文字の読み取りや音声認識、ビッグデータ分析など、更に高度な機能がRPAに付与され、人的リソースに代替される業務範囲が広がり、多様性を増していく。

RPA、ソフトウェアロボットの浸透は、これまで定型的なホワイトカラー職種に就いていた人間の業務の一部を代替する、つまり余剰の人的リソースが発生することになる。「RPAは人間の仕事を奪うのではないか」といった懸念の声に対し、「RPAの浸透によって定型業務から解放された人間は、高度で付加価値性のある業務を獲得し、心身の健康を維持できるような働き方とワークライフバランスを実現できる」という説明を行うケースもある。
個々の従業員のモチベーション維持を考えても、高度な業務へのシフトは多くの人間にとって好意的に受け止められるだろう。とはいえ、「RPAなどによる業務代替化の浸透(=省人化)」「労働人口の減少(=労働人口不足)」、それぞれが進む速度やバランスによっては、RPAが間接的に雇用減に繋がる可能性はある。

その一方で、RPAの浸透によって新たに生まれる雇用もある。「RPAを前提とした業務推進、組織体制の構築」が多くの企業で当たり前のものとなった先には、「①業務内容・②RPAが操作対象とする業務環境・③RPAの開発と運用」という3点の知識を有した人材が必要とされるようになり、RPAと人間の協業を支援する新たな役割(新たな仕事)が生まれる。

オフィスにおけるロボット活用は、現時点ではまだ黎明期にある。長い眼で見たとき、RPAの台頭は、個々の労働者に対し「ワークライフバランスを実現し、心身の健康を維持しながら、仕事・育児・介護を行う」という機会を与え、「自身の雇用を維持し、ロボットに代替されぬ能力を獲得し続けるための研鑽に取り組む」という向上心を与え、「特定の業務領域に固執せず、企業・業界・社会といった広い視野をもってビジネスに取り組む」といった貢献意識を与えるかもしれない。RPAの存在は、人間の労働意識の質を、これまで以上に高めてくれるのではないだろうか。そして、ロボットの質だけではなく、「ロボットと人間の協業」こそがソリューション提供事業者とユーザーにおけるテーマの主軸となっていくのではないか。今後も市場動向に注目していきたい。

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加藤 佳奈(カトウ カナ)研究員

ICT先進国である我が国において、どの業種においても「ICT利活用」が企業の課題解決および成長における重要項目になっています。個々の事象を明らかにするだけでなく、「本質的な課題」と「業界・市場全体における位置づけと影響」、そして「将来予測」の観点を含めた調査・分析を行うことで、企業の成長・発展のお役に立ちたいと考えています。

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