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2017.05.11
省人化イノベーションにリソースを集中せよ

2017年4月18日、経済産業省は、2025年までにセブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズの全ての取扱商品(推計1000億個/年)に電子タグを利用することについて、一定の条件の下で各社と合意することができたと公表した。そして、それを踏まえて各社と共同で「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定した。
その<宣言文>とは、以下の通りである。

  • 2025年までに、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズは、全ての取扱商品(推計1000億個/年)に電子タグを貼付け、商品の個品管理を実現する。
  • その際、電子タグを用いて取得した情報の一部をサプライチェーンに提供することを検討する。
  • 2018年を目処に、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズは、特定の地域で、取扱商品に電子タグを貼付け、商品の個品管理を実現するための実験を開始する

 

従来から流通業では、バーコードに代わる新たな自動認識のシステムとして、長年RFID(電子タグ)を有力候補として検討してきた。しかし、パッケージやラベルへの印刷のみで済むバーコードと比較すると、RFIDはコスト面で大きなビハインドがあり、その採用は近年開始されたアパレル業界の一部に留まっていた。
従来のバーコードの代わりにRFIDが全商品に採用されることの効果は大きい。流通業者においては在庫管理や検品、棚卸での読み取りの高速化が図られ、店舗でのバックヤード業務が大幅に効率化されるだろう。また、一般消費者にとっても、レジの高速化、自動化が図られる可能性が高く、更には最近注目されている無人レジの実現も一気に近づくことになる。店舗経営の面では、大きな損害を与えている万引きの防止にも効果を発揮することで、利益率が大幅に改善する可能性がある。更に食品業界においてはトレーサビリティの実現にも効果的であり、食の安心安全につながる可能性がある。

しかし、これだけメリットがあるのにRFIDが普及してこなかったのには、当然理由がある。まずRFID自体の単価が高く、バーコード並みにすべての商品に貼り付けるには全く採算が合わないことがある。例えば単価10円のお菓子にも、それを上回るコストのRFIDを貼り付けるのかという問題もなる。大量に普及して生産規模が拡大すればコストはある程度下がるため、最初に投資をして強制的に流通するインフラが構築されれば一定のコストダウン効果は期待できる。しかし、コストが安くなったとしても、コンビニに並んでいる何万点もの商品すべてにRFIDを貼り付ける手間が発生する。当初はコンビニがその作業と費用を負担するとしても、普及の最終段階ではメーカーにその役割を担ってもらうことが期待されるが、本当にメーカーが最終的に協力してくれるのかという課題が残る。また、流通の各段階で読み取りの機器を設置するなど、それ以外のコストもかかってくることになる。何しろ、パッケージへの印刷だけで済むバーコードの普及でさえ、10年以上かかったのである。

しかし、経済産業省が旗振り役とは言え、なぜ、それだけ普及への障壁が高いはずのRFIDに関して、「1000億枚宣言」に至ることができたのか。私はその背景に今後の日本が迎える深刻な人手不足があると考える。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2010年には8,000万人以上いた生産年齢人口(15~64歳の人口)は、2030年に6,700万人ほどになり、「生産年齢人口率」は63.8%(2010年)から58.1%(2030年)に下がる。今後の日本においては生産年齢人口が大幅に減少して行くことはもはや抗いようのない事実である。しかもここにきて景気は回復基調であり、完全失業率は3%を切って空前の水準となっており、様々な業界で人手不足が顕在化しつつある。
最近の物流業界や飲食業界でしばしば話題になるように、働き手の不足が企業の成長の足かせとなったり、人手不足が原因で倒産にまで追い込まれるケースなども起こりつつある。流通業界やサービス業も同様であり、店舗スタッフがなかなか採用できないことから、レジのセルフ化や受付業務のロボット化等、様々な取組が各所で進められるようになってきている。

こうした人手不足が国内経済の成長の引き下げ要因になるという意見は根強く、単純労働に関しては、海外人材の受け入れを認めるべきという意見も根強い。それはそれとして、私は特に賛成、反対のいずれの立場も取らないが、まずはICTによって解決できる部分も相当あると思われる。
物流業界においては、自動運転やドローンの活用、テレマティクスの活用、サービス業ではロボットの活用も有望だ。また上記に見られるように、流通業ではRFIDが普及すれば、業務の効率化による人件費の削減も期待できるだろう。

米国に後塵を拝することが多い日本のICT業界であるが、世界最速で迎えるこの人手不足社会への対応を千載一遇のチャンスとして、世界の最先端を行く省人化テクノロジー開発にリソースを一点集中させてもいいのではないか。

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野間 博美(ノマ ヒロミ)理事研究員

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